仏教にはさまざまな宗派があり、死に関する考えや葬儀の作法もさまざまです。この記事でご紹介する浄土宗の葬儀は、現在一般的な風習として行われている流れとほぼ同じですが、それぞれの儀式にはどんな意味が込められているのでしょうか。
この記事では、浄土宗の葬儀の特徴、法要、マナーについてご紹介します。
<この記事の要点>
・浄土宗の葬儀は営む場所によって「堂内式」「三昧式」「自宅葬」の3つの形式がある
・浄土宗の法要では先祖の霊を成仏させるために追善供養するのではない
・浄土宗の葬儀では焼香の回数に決まりはない
こんな人におすすめ
浄土宗の葬儀の流れが知りたい人
浄土宗の法要について知りたい人
浄土宗の法事のマナーを押さえたい人
浄土宗の葬儀は、亡き人を極楽浄土にお送りし、阿弥陀さまのもとでさとりへの歩みが進むことを願う法要です。
中国から日本に伝わってしばらくは、仏教は貴族など特権階級の人のものとなっており、民衆からとても遠い位置にありました。しかし時代が進み、貴族政治が破綻し始めると、誰もが救われる教えが渇望されるようになりました。そうした民衆を救うために、念仏の教えを広めようと現れたのが法然(ほうねん)上人です。法然上人は、万人救済の宗教は、口称念仏(くしょうねんぶつ)の一行にあるのみという確信を得て、承安五年(1175年)に浄土宗を開宗しました。
その後、社会に広く受け入れられた浄土宗は法然の死後、弟子たちによっていくつかの派に分かれました。現在は、知恩院門跡でもある浄土門主を長とし、全国に分布する浄土宗寺院約七千ケ寺を47教区に分け、教義を広めるため教化を行っています。
浄土宗の教えは「専修念仏」です。ひたすらに仏に帰依して南無阿弥陀仏を唱えれば、必ず仏の救済を受けて、浄土に生まれることができるというものです。
ただし、ここで言う念仏は、他力本願の念仏で、念仏を唱えることによって阿弥陀仏の本願力により浄土往生が叶うのです。『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』に説かれる「至誠心(しじょうしん)」「深心(じんしん)」「廻向発願心(えこうほつがんしん)」の3つの心が起きれば、阿弥陀仏に救われて極楽浄土に往生し、その後で仏に生まれるとされています。
浄土宗では、営む場所によって葬儀を以下の3つに分けています。
① 寺院や斎場を借りてする「堂内式」
② 火葬場や墓地でする「三昧式」
③ 故人の自宅でする「自宅葬」
本来は、堂内式が浄土宗の葬送儀礼です。
浄土宗葬儀は、死者を仏弟子とする儀式と、仏弟子となった故人を浄土に導く引導(いんどう)です。
引導の儀式「下炬(あこ)」では、2本のたいまつのうち1本を「厭離穢土(えんりえど)」(この世を離れること)に見立て、他方を「欣求浄土(ごんぐじょうど)」(浄土を求めること)に見立てて、穢土の方を捨て、一方のたいまつで死者の往生を祈ります。
また、浄土宗の葬儀では、「念仏一会」があります。念仏一会とは、僧侶とともに参列者一同が「南無阿弥陀仏」と念仏を繰り返すことで、故人が阿弥陀如来の救いを得ることを祈るものです。また、これには参列者と阿弥陀如来の縁を結ぶ意味も込められています。
その他、臨終から骨上げまで、現在一般的な流れとして広まっている葬儀の風習が、浄土宗葬儀の流れと言えます。葬儀日程は一般的に、亡くなった日の夜を「仮通夜」、翌日の夜に「通夜」を行い、その翌日に「葬儀」「告別式」を行って荼毘(だび)にふします。ただし、お寺の都合などもありますので、住職と相談することを忘れないようにしましょう。
また、一般的な葬儀についての記事もありますので参考にしてください。
法事は、故人を供養する行事です。ただし浄土宗の教えでは、念仏を唱えている人は阿弥陀如来のお迎えを受けて極楽浄土へ往生するので、あの世で迷い苦しんでいる先祖の霊を成仏させるために追善供養するのではありません。故人を偲ぶとともに、自分自身も救いを求めて念仏の教えに触れるのが、法事を営む意味とされています。
現代では、葬儀の運営は葬儀社に任せることが多いですが、大切なお経をあげていただく住職との連携を忘れないようにしましょう。また、参列する際、喪家が浄土宗とわかっている場合はその作法に従い、失礼のないように心がけましょう。
参考動画:<浄土宗>葬儀におけるお焼香の作法(やり方)【小さなお葬式 公式】 動画が見られない場合はこちら
浄土宗では、焼香の回数の決まりは特になく、1回で問題ありません。
焼香の回数は、宗派によりさまざまです。1回行うのは一心不乱の心、2回行うのは戒香と定香を焚いて智慧の火で供養すること、3回行うのは三毒煩悩を焼き尽くして清浄を保つことが意味されています。焼香は心を込めて行うことが大切とされており、回数にこだわる必要はないようですが、回数の意味は知っておくと良いでしょう。
参考動画:<浄土宗>葬儀の際の数珠の持ち方【小さなお葬式 公式】 動画が見られない場合はこちら
浄土宗では通常、二連の数珠を使用します。「日課数珠」という、2つの輪がつながっている独特のものです。これは、法然の弟子のひとりが、念仏の数を数えるのに便利なよう考えたものだと伝えられています。
持ち方は、合掌したときは両手の親指と人差し指の間に掛けて、親指の後ろの方に垂らします。合掌していないときには、左手の手首に掛けるのが作法です。浄土宗では、手の平の間で音をたてることはしませんので注意しましょう。また、数珠を畳の上にじかに置くのもマナー違反です。
葬儀に使用する壇なども葬儀社が用意してくれることが多いですが、浄土宗の葬儀の執り行い方について分からないことがあれば確認・相談をしながら、適切な形で進められると良いでしょう。
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参考:浄土宗の葬儀に対応「小さなお葬式」
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