昨今では価値観の多様化や社会情勢の変化に伴って、葬儀もさまざまな形態がとられるようになりました。「直葬」もそんな中で注目されている供養形態の一つで、従来の葬儀を簡略したものです。形式が異なる分、一般的な葬儀とは異なる作法が必要となりますが、直葬を行う場合、挨拶状は必要なのでしょうか。
葬儀における挨拶状とは、お葬式に参列してくださった方や弔電に対して、感謝と法要が無事終了したことを伝えるための礼状を指します。直葬は通夜式や告別式を省略する形式で、式の参列者がいないため不要のようにも考えられますが、マナー上の観点ではどのような扱いになるのでしょうか。
この記事では、直葬を行う上での挨拶状の必要性や実際的な書き方の例などをご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
<この記事の要点>
・直葬でも故人が亡くなったことを周知するために挨拶状を送る
・挨拶状は故人の死後1週間~2週間以内に送るが、香典を受け取った場合は四十九日法要後でも問題ない
・直葬の挨拶状を出すタイミングが年末に近い時期であれば、喪中はがきで代用できる場合もある
こんな人におすすめ
直葬をお考えの方
直葬後の対応方法を知りたい方
直葬のあいさつじょうの例文を知りたい方
まず直葬を執り行うにあたっての挨拶状の必要性についてですが、直葬の場合でも挨拶状を送るケースが多いようです。なぜ葬儀の参列者がいないのにもかかわらず挨拶状を出すのか、それは一般的な葬儀とは挨拶状を出す目的が異なるからです。
一般的な葬儀の場合、挨拶状は「一連の法要が無事終了したことの感謝と報告」のために出しますが、直葬では「故人が亡くなったことの周知」が主目的となります。
直葬では通夜式や告別式を行いませんが、火葬に立ち会った身近な親族や後から故人が亡くなったことを知った方から香典を受け取る場合があります。こういった場合は一般的な葬儀と同様に香典返しを行いますが、この時はできる限り挨拶状も添えましょう。
この際の挨拶状は香典をいただいたことのお礼の意味で送りますが、葬儀の際のお礼や弔問の感謝といったよく使われる文はふさわしくありませんので、使用しないようにしましょう。
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直葬の場合でも挨拶状を送る場合があるということをお伝えしました。こちらでは実際に挨拶状を送るにあたって気をつけるポイントを見ていきましょう。挨拶状はどのようなタイミングで誰に出せばよいのか、どのような内容を書くのかなど気になる点を解説します。
一般的に挨拶状は、四十九日の法要が終わった後に出しますが、直葬では挨拶状を出すタイミングが異なります。葬儀を省略すると故人の死が周りに伝わりにくいため、このことを周知しなければさまざまな不都合が生じる可能性があります。そのため、直葬の場合は四十九日法要を待たずに故人の死後1週間~2週間前後で挨拶状を送るのです。
しかし香典をくれた方については、当然故人の死について認知していますのでこの限りではありません。この場合は通常通り、香典返しに添えて四十九日法要後に送っても問題ありません。地域によっては四十九日を特に重要視しない場合もありますので、こういった場合は住んでいる地域の風習に合わせるのが無難です。
挨拶状を出す相手は、どこからどこまでというような厳密な決まりはありません。「あの人のところには届いたのに自分には届かなかった」という風にとられることがあっては今後の人間関係に影響を与えかねませんので、慎重に決めたいところです。
挨拶状を出す相手を決めるうえでの指針としては、故人が親しかった友人や知人・故人と家族の仕事の関係者・交流がある親族を中心に選ぶのが目安となります。迷った場合は、年賀状のやり取りがある相手を参考にする、というのも考慮に入れると良いでしょう。
直葬を執り行う場合は、ごく近しい身内以外は最後のお別れの場に立ち会うことができず、逝去の事実を遅れて知らされることになるため、気分を害する方もいるかもしれません。そういった方のフォローのためにも、挨拶状には、葬儀にお招きせずに直葬を執り行ったことへのお詫びの一文を入れることを心がけるようにしましょう。
事後報告になってしまった件や葬儀へお招きしなかったことへの謝罪を記して、今後も良いお付き合いができるように気を配ることを心に留めておくことが重要です。
直葬の挨拶状を出すタイミングが年末に近い時期であれば、喪中はがきで代用できる場合もあります。喪中はがきを出す時期は11月中旬から12月初旬頃ですので、このタイミングと挨拶状を出すタイミングが重なれば兼用で出すことを考えても良いでしょう。
ただ、喪中はがきで挨拶状を兼ねるために本来のタイミングから遅らせて出すことは避けてください。故人が逝去した事実は速やかに共有したほうがトラブルの回避につながり、より良い人間関係の構築につながることもあります。
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続いて、直葬の際に用意する挨拶状の例文をご紹介していきます。一般的な葬儀を行った場合の挨拶状との違いや、喪中はがきで伝える場合の例文を参考までにご覧ください。
直葬の場合の挨拶状は、故人の逝去を知らせることが主な目的となります。まず故人の死因ですが、あまり生々しい書き方をすると刺激が強すぎることもあるので相手を気遣った表現を心がけましょう。
そして、葬儀を直葬で行ったことの報告と通知が遅れたことのお詫び、生前お世話になったことのお礼などを書いていきます。以上を踏まえて父が病気で亡くなった場合の挨拶状の例文をご紹介いたします。
父 ○○儀 かねてより療養中でしたが
去る~月~日逝去いたしました
葬儀は近親者にて滞りなく相済ませました
故人生前中はひとかたならぬご厚誼を賜りまことにありがとうございました
ご厚情に深謝し謹んでご通知申し上げます
お知らせが遅くなりましたことを深くお詫び申し上げます
令和~年~月~日 (住所など)(喪主名)
喪中はがきで伝える場合は、故人の逝去の報告に加えて、年末年始の挨拶を遠慮する旨と生前お世話になったことへの感謝とお礼を書き記し、年末の挨拶も忘れずに添えましょう。
喪中はがきには拝啓・敬具はいらない点や、挨拶状の共通するマナーとして文中に句読点は用いない点にご注意ください。以下例文となります。
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
父 ○○が~月~日に○○才にて永眠いたしました
本年中に賜りましたご芳情に厚く深謝致しますとともに
みなさまに良い年が訪れますようお祈り申し上げます
明年も変わらぬご交誼のほどよろしくお願い申し上げます
令和~年~月~日 (住所など)(喪主名)
香典返しの挨拶状は、香典をいただいたことへのお礼と忌明けをお知らせするために送るものです。謹啓・拝啓などの頭語から始まって葬儀への参列や香典のお礼を伝えますが、直葬の場合は参列のことには言及する必要はありません。
続いて、法要が滞りなく終了したこと・香典返しの品を送ったことをお知らせし、挨拶を書面で済ませることのお詫びから敬白で結ぶのが基本となります。具体的な書き方は以下の例文をご参照ください。
謹啓
先般 父 ◯◯ の死去の際はご鄭重なる弔詞を頂き
且つ過分なお供物を賜りましてご芳志の程誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして~月~日に四十九日忌を迎え滞りなく法要を営むことができました
忌明けに際しまして供養のしるしまでに心ばかりの品をお届け致しました
何卒ご受領くださいますようお願い申し上げます
本来であれば拝趨の上お礼申し上げるべきところではございますが
書中をもって失礼ながら謹んでご挨拶申し上げます
敬白
令和~年~月~日 (住所など)(喪主名)
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直葬を執り行った際の挨拶状の書き方や一般的な葬儀の挨拶状との違いを解説してきました。葬儀の場における挨拶状は、故人と生前親しくしてくれていたことへのお礼状でもあります。
マナーや形式に配慮することは、故人のために気を配っていただいたことへの敬意を表すことにもつながります。ぜひこの記事を参考に、お礼の言葉を考えてみてください。
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