
作成日:2019年05月10日 更新日:2021年10月15日
葬儀や法事に適した靴とは?喪服の身だしなみマナーを足元から徹底解説
葬儀や法事といったフォーマルな場では、マナーを守った身だしなみが求められます。喪服の着用に加えて、喪服に合った靴も用意しなければなりません。葬儀や法事に際して、どのような靴を履けばよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、弔事の場における身だしなみマナーの中でも足元に注目し、葬儀や法事で履いても問題のない靴についてご紹介します。葬儀や法事といった弔事の場に適した靴の具体例に加えて、ストッキングや靴下の選び方も分かる内容です。

【もくじ】
・葬儀・法事ではファッション性よりもマナーを優先する
・葬儀・法事にふさわしい靴の素材・色とは?NG例もご紹介
・【男性編】葬儀・法事にふさわしい靴の特徴とは?靴下の選び方もチェック
・【女性編】葬儀・法事に適した靴の特徴とは?適したストッキングの解説も
・体調や年齢に応じて歩きやすいものを選ぶのはOK
・ペディキュアをしている人は要注意
・【子ども・学生編】葬儀・法事に適した靴は?靴下はどうする?
・葬儀・法事の後は靴の手入れを忘れずに
・和装の際は喪履き草履を選ぼう
・よくある質問
・まとめ
葬儀・法事ではファッション性よりもマナーを優先する
葬儀や法事はフォーマルな場ですから、身だしなみではファッション性よりもマナーを優先しなければなりません。ただし、葬儀や法事では故人との関係性に加えて、「亡くなってから何年後の法事か」によって、適した服装が異なります。
葬儀における服装は、準喪服が基本です。遺族や親族、会葬者と関係性にかかわらず、準喪服の着用が主流といえます。通夜に限っては、「急な悲報で準備をする時間がなかった」とするために、参列者は略喪服の着用も可能です。
四十九日から三回忌までの法事では、遺族や親族は準喪服を着ることが多いものの、参列者は略喪服でも問題ありません。
三周忌以降の年忌法要では、親族や参列者ともに略喪服を着る傾向にあります。法事の案内状に「平服でお越しください」とあった場合、「平服は略喪服のことである」と捉えましょう。
葬儀や法事で着る喪服の種類には多少の差があるものの、それぞれの服装に合わせて靴を選ぶ必要があります。なお、葬儀や法事に適した靴は「弔事用の靴」として共通するため、いざというときに備えて1足持っておくと便利です。

葬儀・法事にふさわしい靴の素材・色とは?NG例もご紹介
葬儀や法事で履く靴を選ぶ際には、素材と色をチェックします。葬儀や法事に適した靴の素材・色がある一方で、避けなければならない素材・色もあるからです。
男女共通で気を付けたい要素として、葬儀や法事に適した靴の素材・色をご紹介します。靴を準備するに当たって、中敷きの色にも注意しましょう。
葬儀・法事に履いて行く靴は黒色で
葬儀や法事にふさわしい靴の色は、無地の黒色です。明るい色や柄の入ったデザインなど、ファッション性の高い靴は、弔事の場において適していません。葬儀や法事における身だしなみマナーを守ることは、故人をしのんだり遺族を慰めたりする意味合いもあるからです。
たとえ黒色に近い落ち着いた色味だとしても、茶色・グレー・ネイビーといった色は避けましょう。マナーを重んじる葬儀や法事では、老若男女問わず「黒色・無地のシンプルな靴」が適しています。
靴の素材は本革・合成皮革・布が望ましい
葬儀や法事に適した靴の素材は、本革・合成皮革・布など光沢感がない素材です。エナメルなど光沢感のある素材は派手な印象を与えるため、葬儀や法事では避けなければなりません。
同じ本革だとしても起毛に仕上げたスエード素材は、殺生を想起させることから避ける必要があります。
同様の理由で避ける素材としては、バイソン柄やクロコ柄など型押しの柄です。
中敷きの色も控えめに
葬儀に履いていく靴を選ぶ際、意外と気にしないのが靴の中敷きです。靴を履いていれば中敷きは見えませんが、葬儀や法事でも靴を脱ぐ場面が訪れることもあります。その際に、靴の中があまりにも派手だと、他の人からひんしゅくを買うかもしれません。
そのため、靴を選ぶ際には、中敷きについても気に留めておきましょう。どうしても中敷きが派手な靴しかない場合は、100円ショップなどにも売っている中敷きを購入し、靴に入れる方法も有用です。
【男性編】葬儀・法事にふさわしい靴の特徴とは?靴下の選び方もチェック
弔事の場における男性の服装は、ブラックスーツが主流になりつつあります。ブラックスーツに合わせる靴としては黒色の無地、なおかつ内羽根のストレートチップのデザインが最適です。
その他、弔事用の靴選びでは避けたいデザイン、葬儀や法事に適した靴下についてもご紹介します。
デザインは内羽根のストレートチップが最適
男性の靴では、内羽根のストレートチップが適しています。ストレートチップとは、つま先部分に1本の直線が真横に入っているデザインを指します。革靴のつま先部分に何も施さない、シンプルなデザインのプレーントゥでもマナー上の問題はありません。
内羽根における羽根とは、甲にある靴ひもを通すパーツのことです。内羽根では、ひもを通す部分が甲の革に入れ込められている、あるいは甲の革と一体化しています。内羽根の特徴は、甲部分のスッキリとしたデザインです。
内羽根のストレートチップ(あるいはプレーントゥ)は、葬儀や法事をはじめとした冠婚葬祭で重宝します。
男性が弔事の靴を選ぶ際に避けたいデザインとは?
革靴のつま先部分のデザインは、さまざまです。W字型で鳥の翼のような飾り革をつなぎ合わせたウイングチップ、U字型の飾り革をつなぎ合わせたUチップは、ファッション性の高い靴に用いられます。
黒色・無地で紐がある革靴だとしても、ウイングチップやUチップの靴は弔事用としてはふさわしくありません。
また、紐を通すパーツが甲を覆うように取り付けられている外羽根も、カジュアル寄りのデザインのため避けます。
つま先の形状が鋭いポインテッドトゥも、弔事用の靴としてはふさわしくない形状です。その他、紐がないタイプの革靴(ローファーやスリッポンなど)、金具が付いたデザインの靴(モンクストラップなど)も弔事用の靴としては適していません。

靴下は黒色・無地を選ぶ
葬儀や法事では、男性は黒色の無地の靴下を着用します。靴と同様に、黒色に近い色合いだとしても、ネイビーやグレーといった色は避けたほうが無難です。靴を脱いだ時や椅子に座る時などに素肌が見えないよう、ミドル丈(ふくらはぎ~ひざ下)の靴下を選びましょう。
カジュアルな印象が強い、くるぶし丈の靴下や柄物の靴下はふさわしくありません。なお、控えめなワンポイント刺しゅう程度の黒色・無地の靴下ならマナーの許容範囲内です。

【女性編】葬儀・法事に適した靴の特徴とは?適したストッキングの解説も
女性の場合、葬儀や法事で和装を着ることもありますが、一般的にはブラックフォーマルなどの洋装が多い傾向にあります。
洋装に合わせる弔事用の靴としては、黒色を基調としたシンプルなパンプスが最適です。その他、弔事用の靴選びで気をつけたい注意点、ストッキングの選び方を解説します。
黒色のパンプスが最適
女性が葬儀・法事で履く靴としては、黒色を基調とするシンプルなデザインのパンプスが最適です。同じ黒色でも、スニーカーやサンダルなどは葬儀や法事の場には適していません。ローファーを履く人もいますが、喪服には不釣り合いのためパンプスを選択しましょう。
また、プレーンな黒色のパンプスでも、つま先部分が丸く仕上げられているプレーントゥ(ラウンドトゥ)が適しています。
ポインテッドトゥよりもつま先が鋭くなく、角張ったデザインのスクエアトゥでも許容範囲内です。葬儀や法事で履く靴としては、先の尖っていない無難な形状をおすすめします。
弔事にふさわしくないパンプスとは?
黒色・無地で、つま先部分が丸みを帯びたシンプルなパンプスは、弔事用の靴として重宝するでしょう。パンプスにはさまざまな種類があり、以下のようなデザイン・形状のものは避けなければなりません。
・リボンが付いていたり透け感があるファッション性が高い靴
・スパンコールやフリルがあしらわれた華美な靴
・つま先が鋭いポインテッドトゥのデザインの靴
・つま先やかかとが見える靴
・金属製の留め具やビジューなどきらびやかな装飾がある靴
・ピンヒールやウェッジソール、スタックヒールなどデザイン重視の靴
弔事用のパンプス選びでは、トゥ(つま先部分)のデザインや形状にも気をつけます。先が尖っているポインテッドトゥの他、中のつま先が見えるオープントゥも葬儀や法事の場には適していません。
黒色・無地のパンプスでも、華やかさをプラスする素材や装飾品を使用したものはNGです。ストラップや留め具もない、シンプルなデザインのパンプス弔事にふさわしくないパンプスとは?を選びましょう。
ヒール部分では、デザイン重視のヒールを避けます。ヒールが細いデザインのピンヒール、足裏とヒール部分が一体化した厚底のようなウェッジソール、積み重ねた木の板や革で形成されるスタックヒールなどは避けましょう。
ヒールの太さ・歩く時の音にも要注意
近年では、専用の葬儀会館などで葬儀を営むスタイルが主流です。床が大理石やフローリング仕様であることが多いため、歩く際にヒールの音が響いてしまうこともあります。
ヒールの音が出やすいピンヒールは、弔事の場では避けたほうがよいでしょう。ファッション性の高いアイテムを避けるという意味でも、ピンヒールは弔事の場では好ましくありません。
また、ヒールが太いとマナー違反となりますが、細すぎても音が目立ちます。高さ3センチ~5センチのミドルヒールの中でも、安定感を重視した比較的太めのヒールがおすすめです。
足のサイズに合っていないパンプスは、ヒールの音が目立ちます。パンプス選びでは歩く時の音も考慮し、合ったサイズ・ヒールの太さに注目しましょう。

パンプスに合わせてストッキングも黒色を選ぶ
葬儀・法事で履くストッキングの色は、パンプスに合わせて無地の黒色が基本です。準喪服なら肌色のストッキングでも問題ないと考えるかもしれませんが、どの状況においても黒色のストッキングの着用が無難といえます。
厚さの目安としては、「肌が少し透ける程度」が適切です。ストッキングがあまりにも厚いと、マナー違反と捉えられるケースもあります。
商品パッケージに記載のデニール数でいえば、30デニールのストッキングが弔事の基本です。タイツだとカジュアルな印象になるため、避けましょう。
夏場になると蒸れてしまうため、ストッキングを脱ぎたいと感じる人もいるかもしれません。ただし、どれだけ暑くても葬儀や法事の場では、素肌を見せるのはマナー違反です。どうしても我慢できない場合は、冷感タイプを着用しましょう。
体調や年齢に応じて歩きやすいものを選ぶのはOK
葬儀や法事に参列する際に、体調が優れないこともあるでしょう。例えば、妊娠中は葬儀に参列しなくてもよいと聞くこともありますが、冠婚葬祭のマナーの観点からするとそのような決まりはありません。
妊娠中であれば体調を崩しやすいですし、足の不自由な方や年配の方など、一般的なマナーとされているパンプスを履いて歩くのが難しいこともあるでしょう。このような場合であれば、自分が歩きやすいと思える靴を履いても問題ありません。

ペディキュアをしている人は要注意
葬儀や法事の場では、原則として肌が少し透ける程度のストッキングの着用が求められます。ペディキュアをしている場合、ストッキングから派手なネイルが透けて見えてしまうかもしれません。
どうしてもペディキュアを落とす時間がないのであれば、タイツで隠すという方法があります。本来、葬儀や法事にふさわしいのは30デニール以下のストッキングです。しかし、タイツでも60デニール以下であれば、足の透け感もあり許容範囲といえます。
ただし、タイツ自体がマナー違反とされることもあるため、できれば除光液を購入し、ペディキュアを落としておきましょう。最近ではコンビニでも100円程度で売られていますので、葬儀に参列する前に立ち寄って購入しておくことをおすすめします。
【子ども・学生編】葬儀・法事に適した靴は?靴下はどうする?
子どもや学生にも、弔事用として履ける靴があるものの、大人ほどマナーを守る必要はありません。
しかし、選んだほうがよい・避けたほうがよい靴や靴下の色があります。制服がある学生の場合には校則指定の靴や靴下が基本ですが、フォーマルな場にはふさわしくないアイテムに要注意です。
子ども・学生はスニーカーやローファーでもOK
子どもや学生の場合、大人ほど葬儀や法事で履く靴にこだわる必要はありません。幼児~小学生で制服がない場合、黒色に近い色味のスニーカーやローファーも許容範囲内です。制服がある学生は、普段から制服に合わせている、校則指定の靴で許容されるでしょう。
幼児~小学生の子ども用の靴の中には、フォーマルな場にふさわしい黒色・無地の靴が販売されています。1足持っておくと、節目ごとのイベントでも重宝するアイテムです。
派手なデザイン・色の靴は避けたほうが無難
子どもの年齢が若いほど、葬儀や葬儀に適した靴の範囲が広いといえます。しかし、子どもに履かせる靴を選ぶのは親である以上、派手な色や柄、デザインの靴は避けたほうが賢明です。キャラクターがあしらわれたスニーカー、ローラーシューズ、歩くと光る・音が鳴るスニーカーなどは避けましょう。
子ども・学生は着用できる靴下も幅広い
子どもや学生は着用できる靴下も幅広く、黒無地や白無地の靴下でも問題ありません。学生で制服を着て行くときには、校則指定の靴下も着用できます。ただし、くるぶし丈の靴下やルーズソックス、派手な色柄の靴下はフォーマルな場にはふさわしくありません。
幼児~小学生の年齢でフォーマルな服装や靴に合わせる場合、タイツも着用できます。子どもにタイツを履かせる場合、派手な色柄は避け、黒色やネイビーを選びましょう。
葬儀・法事の後は靴の手入れを忘れずに
カビは「湿度が80%以上」など、風通しが悪い場所で増えやすいという特徴があります。防水スプレーは、靴全体の通気を防ぐために役立ちます。定期的なパンプスのお手入れをしたら、最後に防水スプレーを使用しましょう。
また、防水スプレーは水だけでなく、汚れに対しての効果もあります。葬儀や法事に履いて行く際は、当日雨が降りそうな天気でなくても、防水スプレーをかけることが大切です。葬儀や法事を終えた後は、汚れをしっかりと落としておくことも大切です。
和装の際は喪履き草履を選ぼう
葬儀や法事の場面で、和装を着ることがあるかもしれません。黒喪服を着る場合でも、じゅばん・半襟・足袋を除いて、帯締め・帯揚げ・バッグなど人目に付くものはすべて黒色で統一する決まりがあります。
喪履き草履」といいます。台や鼻緒などもすべて黒色で統一されていますので、事前に準備しておくとよいでしょう。なお、男性が葬儀・法事で着る服装としては、和装よりも洋装が主流になりつつあります。
よくある質問
Q:葬儀に履いていくパンプスはどのようなものがいいの?
A:葬儀用のパンプスは、黒色のシンプルなデザインのものを選びましょう。同じ黒色でも、スニーカーやサンダル、ローファーなどはマナー違反となります。
また、プレーンな黒のパンプスでも、つま先部分が尖ったものや、先が開いているパンプスは避けましょう。
Q:葬儀にふさわしくないパンプスとは?
A:リボンやファー、光り物などが付いたファッション性重視のパンプスや、殺生をイメージさせるアニマル柄のものの着用は避けましょう。また、ヒールが高すぎたり、ツヤのあるものも葬儀の場にはふさわしくありません。
詳しくはこちらをご確認ください。
Q:パンプス選びの注意点はあるの?
A:歩く際にヒールの音が響いてしまわないようにヒールの太さは5センチ程度がおすすめです。特に音の出やすいピンヒールは避けましょう。靴を脱ぐときのことも考え、中敷きの色も控えめにしておきましょう。
Q:妊娠中でもパンプスを履かなければいけないの?
A:妊婦の方や足の不自由な方、年配の方など、一般的なマナーとされているパンプスを履いて歩くのが難しい場合は、自分が歩きやすいと思える靴を履いても問題ありません。
Q:和服のときは何を履けばいいの?
A:葬儀で着物を着る場合は、「喪履き草履」と呼ばれる黒で統一された草履をはきます。事前に準備しておくと良いでしょう。
まとめ
葬儀や法事などフォーマルな場では、故人や遺族の弔意を示すために身だしなみマナーに気をつけなければなりません。葬儀や法事にふさわしい喪服に加えて、喪服に合わせて靴を選ぶことも大切です。
葬儀や法事が営まれる会場によっては、靴を脱ぐ必要があります。靴を脱いでも問題ないよう、ストッキングや靴下といったアイテム選びにも気をつけましょう。
小さなお葬式では、法事に関するさまざまなお問い合わせをお受けしています。知識豊富な専門スタッフがサポートしますので、疑問点などはお気軽にご相談ください。
葬儀に関するお問い合わせは「小さなお葬式」へ
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