
作成日:2019年11月29日 更新日:2021年07月01日
「ご冥福をお祈りします」を使ってはダメ?ほかの言い回しとは?
通夜や葬儀の際によく耳にする「ご冥福をお祈りします」という言葉ですが、使ってはダメなシーンについて知りたいという方もいるのではないでしょうか。使用してはダメな状況や代わりにどのような言い回しをすればいいかを知ることで常識に沿った挨拶ができます。
そこでこの記事では、「ご冥福をお祈りします」を使ってはいけない場面についてご紹介します。メールや電話でお悔やみの言葉を伝える方法やほかの言い回しもお教えしますので、今後の参考にしてみてはいかがでしょうか。

【もくじ】
・「ご冥福をお祈りします」を使ってはダメな状況とは?代わりに使う言葉は?
・冥福という言葉の意味とその使い方とは?
・その他のお悔やみ言葉とは?
・「ご冥福をお祈りします」を使った文例とは?(メールの場合)
・「ご冥福をお祈りします」を使った文例とは?(電話の場合)
・まとめ
「ご冥福をお祈りします」を使ってはダメな状況とは?代わりに使う言葉は?
通夜や葬儀に参列したとき、ご遺族に「ご冥福をお祈りします」と伝えた経験がある方もいるでしょう。「冥」は「死後の世界」という意味を持つ仏教の思想なので、宗派によっては不適切な場合があります。使ってはいけないわけではありませんが、気にする方がいるかもしれません。お悔やみの言葉はどの宗派でも使える言葉で伝えることをおすすめします。
ここでは、なぜ「ご冥福をお祈りします」がダメなのかを宗派別に解説します。宗派に適した代わりとなる言葉についてもお教えしますので、参考にしてみてください。
浄土真宗の葬儀の場合について
浄土真宗では「ご冥福をお祈りします」という言葉の使用はおすすめできません。亡くなった後はすぐに仏様になる「臨終即往生」という考えの浄土真宗の方には、「死後の世界である冥土に迷い込んでしまう」という意味にとらえられてしまいます。
浄土真宗の方の通夜や葬儀の際は、「お悔やみ申し上げます」という言い回しを使うとよいでしょう。「心より」をつけると深い悲しみを、「謹んで」をつけると敬意を表すことができるため、目上の方に失礼になりません。

神道の葬儀の場合について
神道の場合もほかの言い回しをおすすめします。神道では故人は家の守り神になると考えられていることから、死後の世界である冥土という思想はふさわしくないとされています。また、成仏や供養といった仏教用語も神道には不向きです。
神道の方には「御安霊の安らかならんことをお祈りします」「御霊のご平安をお祈りします」という言葉を使いましょう。

キリスト教の葬儀の場合について
キリスト教の葬儀ではお悔やみの言葉を使いません。ほかの宗派ではお悔やみの言葉は必須ですが、キリスト教の場合は死に対する考えが異なります。
キリスト教における死とは、地上での罪を許され天に召されることをいいます。祝福されるべきものと考えられていることから、キリスト教の葬儀では故人の死を悲しむお悔やみの言葉を使わないようです。「安らかな眠りにつかれますよう、お祈りいたします」といった言葉がふさわしいでしょう。

冥福という言葉の意味とその使い方とは?
「冥」は冥土、つまり「死後の世界」を、「福」は「幸せ」を表します。「冥福」とは「死後の世界の幸せ」を意味し、「ご冥福をお祈りします」は死後の世界での幸せを祈っているという気持ちを伝える言葉になります。
一般的にお悔やみの言葉はご遺族の方に向けたものですが、「ご冥福をお祈りします」は故人に伝えるべき言葉です。「○○様のご冥福をお祈りします」と故人の名前をつけるのを忘れないようにしましょう。
その他のお悔やみ言葉とは?
「ご冥福をお祈りします」という言葉がふさわしくない宗派の通夜や葬儀に参列する場合に備えて、これに代わる言い回しを覚えておきましょう。いくつかの言い回しを頭に入れておけば、相手の宗派に関係なく適切なお悔やみの言葉を伝えられます。ここでは、お悔やみの言葉をいくつかご紹介します。
ご愁傷様です
「ご愁傷様です」はご遺族の方に向けたお悔やみの言葉で、気の毒に思うという意味が込められています。どの宗派でも使えますが、「ご愁傷様です」だけではお悔やみの言葉としては不十分です。
「突然のことにより言葉がございません」「なにかお役に立てることがあればお申しつけください」といった一言を添えることをおすすめします。ご遺族へのお悔やみとともに悲しい気持ちや相手を気遣う気持ちを伝えられるでしょう。
お悔やみ申し上げます
「お悔やみ申し上げます」はご遺族の気持ちを配慮する、故人の死を悲しむという意味を持つお悔やみの言葉です。通夜や葬儀の定型句なので、宗派を気にせず使えます。
故人の死を悲しく思う気持ちとともに、ご遺族への配慮も伝えられるので「お悔やみ申し上げます」という言葉だけで十分です。さらに、「心より」「謹んで」と頭に付け加えれば、目上の方に対しても失礼のないお悔やみの言葉になります。

哀悼の意を表します
「哀悼の意を表します」は口頭では使わず、弔電やメールのような書き言葉で使う言い回しです。文章なら違和感のない文語体のため、口頭で伝えるには不向きといえるでしょう。
故人の死を悲しみ、心を痛めているという意味なので、ご遺族へのお悔やみの言葉としては適切です。弔電はもちろん、失礼に当たらない間柄であれば、メールやメッセージツールでお悔やみの言葉を送る際に使うとよいでしょう。
胸中お察しいたします
「胸中お察ししたします」は相手の心情を理解し、察知しているという意味を持つ言い回しです。ご遺族の気持ちに配慮した言葉なので、どの宗派でもお悔やみの言葉として使えます。
ただし、上司や目上の方には使わないほうが無難でしょう。「あなたの気持ちを理解している」と伝えると、「私の気持ちのなにがわかるのか」と不快に思われる恐れがあります。相手との関係性によってはトラブルを招きかねないので注意が必要です。
「ご冥福をお祈りします」を使った文例とは?(メールの場合)
突然の訃報をメールで知ることもあるでしょう。その場合、通夜や葬儀への参列の有無を返信する必要がありますが、連絡事項の前に相手へのお悔やみの言葉を入れることをおすすめします。ここでは、「ご冥福をお祈りします」を使ったメールの文章例をご紹介しましょう。
知人や友人に対しての場合について
○○君(ちゃん)の訃報を聞き大変驚いています。
○○君(ちゃん)のご冥福をお祈りいたします。
□□さんの気持ちを考えると私も悲しみでいっぱいです。
私でお役に立てることがあればなんでもいってください。
どうか□□さんが穏やかに過ごせますように。
○○には亡くなられた方の名前を、□□には訃報を知らせてくれた方の名前を入れます。故人の死を悲しむ気持ちとともに、連絡をくれた方への配慮を忘れないことが大切です。
親戚に対しての場合について
突然の訃報に驚いております。
○○さんのご冥福をお祈りいたします。
遠方のためメールでのお悔やみとなり申し訳ありません。
心身ともに大変かと思いますが、体調を崩されないようご自愛ください。
後日改めてご自宅に伺います。
こちらは遠方で通夜や葬儀に行くことが難しい場合の文例です。参列する場合は「遠方のため」「後日改めて」の部分を省き、参列する旨を伝えます。その際、葬儀場の名前と住所について確認することを忘れないようにしましょう。
「ご冥福をお祈りします」を使った文例とは?(電話の場合)
訃報を電話で受けた場合、すぐにお悔やみの言葉を述べる必要があります。知識のないままお悔やみの言葉を伝えると、相手に失礼になるかもしれません。そのようなときに備えて、適切な言い回しを身につけることをおすすめします。ここでは、電話でお悔やみの言葉を伝える場合の文例をご紹介しましょう。
知人や友人に対しての場合について
お辛い中ご連絡いただきありがとうございます。○○さんのご冥福をお祈りいたします。ご迷惑でなければこれからご自宅に伺わせていただきたいのですが、よろしいでしょうか
まずはお悔やみの言葉を伝え、自宅に伺ってもよいか確認しましょう。すぐに伺うことが難しければ、訪問可能な日時を確認し、後日改めて焼香に行くことをおすすめします。
亡くなってすぐに連絡があったときは、通夜の有無と葬儀形式について聞きましょう。身内だけの家族葬の場合、落ち着いた頃に自宅を訪ねて家族や故人にお悔やみの言葉を述べます。
親戚に対しての場合について
お辛い中お知らせありがとうございます。故人のご冥福をお祈りいたします。これから準備をし、すぐに伺います
親戚の場合、亡くなってからすぐに連絡がある場合がほとんどでしょう。連絡をくれた方が自宅、病院、葬儀場のどこにいるかわからないので、伺うべき場所を確認する必要があります。葬儀場にいるなら葬儀場の名前と住所を聞き、何時頃に到着するか伝えておくとよいでしょう。
まとめ
「ご冥福をお祈りします」は通夜や葬儀のときの定型句ですが、宗派によっては使ってはダメな場合もあります。浄土真宗、キリスト教、神道の葬儀では「ご冥福をお祈りします」ではなく、ほかの言い回しを使うようにしましょう。
通夜や葬儀に参列する方の中には「お悔やみの言葉をどう伝えたらいいかわからない」「どの言い回しを使えばいいのか困っている」という方もいるでしょう。葬儀に関することでお悩みなら、葬儀の専門業者である小さなお葬式にご相談ください。
葬儀に関するお問い合わせは「小さなお葬式」へ
葬儀に関するご準備は事前に行うことが大切です。いざという時困らないように、葬儀全般に関する疑問は、「小さなお葬式」へお問い合わせください。24時間365日専門スタッフがお客様のサポートをさせていただきます。
