葬儀についてのマナーや作法は、注意すべきポイントが多くあります。特に「香典袋の包み方や礼節が分からない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、香典の書き方や準備するときの注意点などについて分かりやすく解説していきます。やり方をおさえておけば、いざというときに心配することもありません。この記事を読めば、基本的な知識を身につけられるでしょう。
<この記事の要点>
・香典袋には名前をフルネームで記入し、中袋の金額は旧漢字で記入する
・夫婦連名で香典を出す場合は世帯主の名前を書くのが基本
・組織全体として香典を包むときは会社名や法人名を入れる
こんな人におすすめ
基本の香典袋の書き方について知りたい方
連名で包む場合の香典袋の書き方の違いについて知りたい方
香典を郵送する際の注意点を知りたい方
はじめに、香典袋の正しい選び方や書き方について紹介していきます。要点をおさえておけば、スムーズに筆をすすめることができるでしょう。
ここでは、香典の書き方のなかでも基本知識として知っておきたい5つのポイントを解説していきます。正しい方法が分からなくて悩んでいる方は、チェックしてみてください。
香典袋の売り場に行くと、水引がプリントされているシンプルなものから、銀色の紐を使った高級感のあるものまで、さまざまな袋が用意されています。自分の渡したいものを選べばよいと考えがちですが、実は状況によって適切なタイプは異なります。
まず意識しておくべき点は、中に入れる金額に見合ったデザインを選択することです。たとえば、あまりお金を入れていないのに、袋の見た目が立派だと失礼にあたる恐れもあります。包む額が5,000円程度のときは見た目がシンプルな水引が印刷されたタイプを選ぶようにしましょう。
また、宗教によって表書きも変わります。一般的に仏式では四十九日前は「御霊前」、以降は「御仏前」ですが、浄土真宗ではいずれも「御仏前」とするのが基本です。購入時に宗教・宗派がわからないときは、何も書いていないものを選ぶとよいでしょう。
香典袋には名前を記入しなければなりません。水引を挟んで表書きの真下にフルネームで記入します。
連名で出すときは中央に代表者名、その左サイドにほかの方の名前が続くようにしましょう。人数は多くても3人までにおさえておきます。4人以上の場合は、代表者の名前だけを記し、左側に「他一同」といった単語を書くのが一般的です。
また、文字の色は薄墨で記入するのがよいとされています。「訃報をきいて涙で墨の色が薄くなってしまった」というお悔やみの気持ちを表現するためです。
香典袋にはお金を包むための「中袋(内袋)」が用意されているのが一般的です。先方が受け取ったときに判別しやすいよう、中袋には包んだ額や氏名、住所などを忘れず記しましょう。
中袋の表面には縦書きで金額を記載します。以下の表のように、大字(旧字)の漢数字を入れましょう。
3,000円 | 参阡圓・参仟圓 |
5,000円 | 伍阡圓・伍仟圓 |
1万円 | 壱萬圓 |
3万円 | 参萬圓 |
5万円 | 伍萬圓 |
頭に「金」、最後に「也」を添えて「金壱萬圓也」のように書くのが一般的です。金額は見やすく書きましょう。また、袋によっては金額の記入スペースが横書きで用意されているものもあります。このときは、漢字ではなくアラビア数字で記載しても支障はありません。
内袋の裏面には自分の氏名や住所を入れましょう。左下に住所、氏名の順に縦書きで記すのが一般的です。あらかじめ記載するスペースが用意されているものもあります。
複数人で包むときは代表者だけ中袋に記し、ほかの方の分は別紙に書いて同封します。別紙で用意する場合も、住所、氏名の順に縦書きで記すのが一般的です。
香典袋によっては内袋が付属していないタイプもあります。このような場合では、表側は通常の香典袋と同じ考え方で支障はありません。宗教や宗派にあわせて書き込みます。
中袋がない代わりに、裏側に住所や金額を記しましょう。水引の下、左サイドに縦書きで住所、金額の順で入れます。先方が香典の管理やお礼状を出す際に困らないように、必要事項は忘れず記しましょう。
個人ではなく、2人以上で香典を出す場合は、書き方が変わるので注意しましょう。ここでは、夫婦や2人~4人の複数人、あるいは会社など組織で包むパターンについて説明していきます。正しいルールや礼節を学んでおけば、いざというときもあせらずに対処できるでしょう。
夫婦は 世帯主の名前を書くのが基本です。通常通り表側の中央下部に世帯主のフルネームを記し、その左サイドに配偶者の下の名前だけを添えます。中袋にも同様に2人の名前を入れましょう。
地域によっては、連名での記入がマナー違反とされることもあるので注意しましょう。故人が夫婦と深い付き合いがあり、仲が良かった場合はこの限りではありません。
基本的には個人がそれぞれ用意するのが基本ですが、会社の部署や学生時代の同級生など複数人でまとめて出すこともあります。
香典は、誰から贈られたものか先方がすぐに分かるようにしなければなりません。2人なら夫婦のときと同様に、中央下部に1人目、その左サイドに2人目の氏名を記します。右から順番に目上の人を先に書いていくのがマナーです。3人であれば2人目の氏名が中央にくるようにする場合と1人目を中央に書く場合とがあります。
4名以上だと見た目のバランスが悪くなるので、表書きは代表者名や会社名だけにするとよいでしょう。
組織全体として包むときは会社名や法人名を入れるのが基本です。会社・法人の名前をセンターに記して、その下に「一同」という文字を添えます。部署として出す際は、社名を右サイドに添えたうえで「〇〇部一同」と中央に書いてもよいでしょう。社名とあわせて代表者名を入れるなら、その左下に「他一同」と入れます。
個人で仕事上の付き合いのあった相手に出す場合は、中央に氏名、右サイドに社名を記しましょう。
故人との関係性によっては、旧姓で書かなければ伝わらないこともあります。そのようなケースでは、現在の氏名を記したうえで、カッコ書きで旧姓を入れるようにしましょう。
自分が結婚したことを相手が知らなければ、新しい苗字を書かずに旧姓だけ記しても問題ないとされています。先方に失礼のないように、わかりやすく書くことを心がけましょう。
準備するときに悩みやすいのがお金の入れ方についてです。ここでは、適切な入れ方と一般的な相場について説明します。入れ方に関しては、覚えておかなければ非常識と思われる可能性もあるので要注意です。用意する額はケースバイケースですが、悩んだときは相場を参考にしてみましょう。
はじめに覚えておきたいのが 新札やボロボロのお札は避けることです。まっさらなピン札だと、「不幸を想定してあらかじめ用意していた」ととらえられ、失礼にあたる恐れがあります。破れや過度な折り目のない、程度のよい使用感のあるお札を使うようにしましょう。
次に意識しておきたいのが「向き」です。 袋の表に対して、お札が裏になるように(人物が印刷されている面がみえないように)入れます。上下については慣習によって違いがあるようですが、それほど気にしなくてもよいでしょう。中袋があってもなくても、入れ方は同じです。
多くの人が悩むのが包むお金の額ではないでしょうか。これは故人との関係性によって決まります。また、年齢によっても変わるので注意しましょう。
故人が両親や祖父母といった近い関係であれば包む額は高くなります。たとえば、20代の孫が祖父の葬儀に用意するときは1万円が目安です。
友人や知人は高くても1万円程度でしょう。渡す本人が若いときは5,000円程度、30代以降であれば1万円を目安にしてみてはいかがでしょうか。
準備まではスムーズにできたとしても、渡す際に悩むこともあるのではないでしょうか。失礼のないよう、今のうちに香典袋の渡し方をチェックしておきましょう。
ここからは適切な渡し方と渡すときのタイミングを解説します。通常とは異なる沖縄でのマナーについても把握しておきましょう。
ベストな方法は、「ふくさ」などに包んで渡すことです。ふくさに包むことで、「お金を汚さないように」という思いやりが伝わるでしょう。通販でもさまざまなタイプが購入できます。ふくさを選ぶときは、青や紺色など暗めで落ち着いた色を選ぶようにしましょう。
香典を渡すタイミングは、通夜が適切だといわれています。通夜と告別式ともに行く場合でも、通夜に出すようにしましょう。また、不幸が重なるのを連想させないように1回でまとめて渡すのがマナーです。ただし、地域によって考え方に差があるので、事前に詳しく確認しておきましょう。
地域によって葬儀のマナーや礼儀が変わる例として、沖縄のナンカスーコーが挙げられます。ナンカスーコーは沖縄の伝統的な週忌焼香です。亡くなってから四十九日まで毎週執り行われます。
このように、地域によって独特の儀式や決まりがあることも少なくないでしょう。引っ越しなどによってその地域の習わしが分からない場合は、葬儀社などその道のプロに相談するのがおすすめです。
「どうして予定があって現地に行けないけれど香典は渡したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。ここからは、式に参列できないときの対応について紹介します。
やむを得ず参列できないときは郵送で送るのが基本です。郵送するときに気を付けるポイントや、注意点などもあわせて覚えておきましょう。
まず気をつけたいポイントは郵送方法です。現金を直接送ることになるので、現金書留を利用する必要があります。基本的に宅配便では現金は送れないので注意しましょう。
現金書留用の封筒には差出人の住所や氏名を記載します。郵送用の封筒に情報を入れたからといって、香典袋に氏名や金額を入れ忘れないよう注意が必要です。分からないことがあれば、郵便局のスタッフに相談してみましょう。
郵送では、相手の親族などに直接あいさつできません。封筒にはお金だけではなく、お悔やみの言葉をしたためた手紙も同封するとベターです。手紙を書くときは忌み言葉を使わないように注意しましょう。
葬儀における忌み言葉には以下のようなものが挙げられます。
・浮かばれない
・迷う
・散る
・切れる
不幸や死を連想させるワードや、宗教でタブーとされているワードを入れないように意識しましょう。
ちなみに手紙は絶対に必要というわけではありません。どうしても用意する時間がないときは入れなくてもマナー違反にはあたらないでしょう。その分「送りました」と電話などで伝えておくのがマナーです
郵送先は喪主の自宅を指定しましょう。まれに斎場へ送ってしまうケースがありますが、これでは正しく喪主に届くか分かりません。
タイミングについては、なるべく早く送るようにします。できればお葬式から1週間以内に届くように設定しましょう。遅くなりすぎると相手側に迷惑がかかってしまいます。
告別式やお通夜などは、冠婚葬祭のなかでも特にマナーに気をつかうのではないでしょうか。細かなマナーや段取りが分からないときは、1人で悩むのではなく相談できるプロを味方につけるのがおすすめです。
『小さなお葬式』のコラムでは、葬儀に関するさまざまなマナーや礼儀について詳しく解説していますので、お困りの際はぜひ参考にしてください。また、相談窓口も設置しているので香典に関するマナーについてプロに気軽に相談できます。
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ここまで香典袋の書き方や覚えておきたい注意点などについて説明してきました。基本をおさえておけば安心して香典袋を準備できるのではないでしょうか。
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