親族や親しい友人の訃報の知らせを受けたら、是非とも葬儀に参列したいと思われることでしょう。葬儀は頻繁にあることではないので、慣れないマナーやしきたりについて疑問が生じるかもしれません。
なかでも、亡くなった方のご遺族にお香を贈る習慣が変化した香典のマナーについて、不安に思っている方も多いようです。この記事では、香典袋の書き方、また包む金額の相場などについてご紹介します。
<この記事の要点>
・香典袋に記入する際は薄墨の筆ペンを使用するのがマナー
・夫婦連名で香典を出す場合は世帯主の名前だけを書くのが一般的
・香典の金額は両親の場合、1万円~5万円が相場
こんな人におすすめ
基本の香典袋の書き方について知りたい方
香典袋の表書きを連盟で書く際の方法を知りたい方
香典の金額相場と包み方を知りたい方
香典袋の書き方に関しては、宗教や金額によって書き方が変わってくることを覚えておきたいものです。
日本古来の神道や仏教以外にも、様々な宗教を奉じておられる方が数多くおられます。ですから、自分の知っている習慣だけでなく、他の人の宗教にも配慮することが社会人として求められるようです。
最近はコンビニでも購入することができる香典袋ですが、一般的に外袋と中袋の二重構造になっているものが多くあります。香典袋に書く必要があるのは、外袋には「表書き」「氏名」、中袋表面には「金額」、中袋裏面には「郵便番号・住所」「氏名」です。
「表書き」とは、もともとは人に贈り物をする時に内容物を書いていた目録のことですが、簡略化されたものと言われています。あらかじめ「表書き」が印字されている香典袋を購入することもできますが、もし印刷されていない場合は、自分で記入する必要があるでしょう。「表書き」に書く表記は、相手の宗教によって変わりますので、下記にご紹介します。
香典袋に文字を書く際は、字の上手・下手にかかわらず、丁寧に手書きで書くほうが良いとされているようです。特に氏名を書く場合、冠婚葬祭において印字したものを使用することはマナー違反というわけではありませんが、手書きの方が丁寧な心配りが伝わるからかもしれません。
一般的に、氏名を書く場合は薄墨の筆ペンを使用します。これは、古来ボールペンなどの文房具がない時代に「突然の訃報で濃い墨をする時間がなかった」「訃報を悲しく感じて、墨が涙で薄まった」などの感情を表していたようです。
薄墨の筆ペンが手元に用意できない場合は、黒色インクのサインペンを使用できるとされています。ボールペンや鉛筆で香典袋に書くのはマナー違反とされますので、気をつけましょう。中袋や内袋に書く場合や裏書きの場合は、ボールペンを使用することができます。
香典袋の中袋に書く必要があるのは、表面には香典に包んだ金額、裏面左下には自分の住所や氏名です。これらの情報をきちんと記入するのは、遺族側があとから参列者を確認する際に負担を減らすためだと考えられています。金額を書く際に注意すべき点は、旧字体の漢数字(大字)を使用することです。香典に包んだ際の金額を、何らかの事情で後から改ざんすることを防ぐためのものです。
一般的に香典の金額を記入する際は、縦書きで「円」は「圓」と書き、数字の前には「金」を付けます。下記に旧漢数字(大字)を表にしていますので、参考にしてください。
算用数字 | 現代漢数字 | 旧漢数字(大字) |
3,000円 | 三千円 | 参仟圓または参阡圓 |
5,000円 | 五千円 | 伍仟圓または伍阡圓 |
7,000円 | 七千円 | 七仟圓または七阡圓 |
10,000円 | 一万円 | 壱萬圓 |
最近では、金額を横書きで記入する欄が中袋に印字されている香典袋が販売されています。その場合は、縦書きではなく欄の中に算用数字またはアラビア数字を使用し、横書きで書くことができるようです。
なかには、購入したものが中袋なしの香典袋だったという場合があるかもしれません。水引が印刷された封筒タイプの香典袋などはその一例です。その場合は、香典袋そのもの(外袋)に必要事項を記入します。外袋の裏面右側に包んだ金額を、裏面左側に住所を記すということです。
香典袋の外袋に書く「表書き」は、先に述べた通り、相手の宗教によって表記の仕方が異なります。ですから、これまで何度も葬儀に参列した経験があったり、しきたりやマナーに自信があったりしても、相手の宗教事情を事前に調べることが必要でしょう。
また、香典をお渡しする時期によっても表記の仕方が変わってくる場合がありますので、注意することが必要になります。
一般的に、すべての宗派で使用できると考えられているのが「御香典」や「御供物料」といった表記です。しかし、宗教の違いにより、様々な種類の表書きの表記の種類があります。下記に、日本で執り行われている葬儀とその際に使用されている表書きに関して、大きく分けた宗教の違いをご紹介しますので、参考にしてください。
日本で多く執り行われている葬儀に、仏教による仏式の葬儀があります。基本的に仏教では、亡くなられた方が四十九日までは御霊(みたま)の状態でこの世にいるという考え方に基づいて、表書きは「御霊前」という表記が使用されます。
その後、四十九日の法要を終えると、成仏して極楽浄土に行くという考え方がありますので、四十九日の法要を過ぎたら「御仏前」という表記が使用されます。他にも、亡くなられた人に線香や花を供える代わりにお金を渡すという意味の表記である「御香典」または「御香料」が使用されている地域もあるようです。
ひとことで仏教を奉じているといっても、その中で様々な宗派に分かれています。そして、大まかに分かれた仏教の中でも、浄土真宗や真宗大谷派のような真宗を奉じておられる方たちは、また違う考え方や信仰を持っておられます。
通常、浄土真宗が仏教と違うと言われている点は、亡くなられた人は亡くなった段階ですぐに極楽浄土に還り、仏になるという考え方でしょう。亡くなった段階で即刻ということですから、御霊(みたま)という考え方がありません。ですので「御霊前」という表記は使用せずに、葬儀の段階から「御仏前」と書くことが作法とされています。
日本では、先祖代々神道を奉じている方もたくさんおられるようです。仏式と大きく違う点として、日本の神道に基づいた神式では亡くなった方が仏になるという考え方はありませんので、表書きを書く際は「御仏前」は使用しません。一般的に「御榊料」「御玉串料」を使用します。
また、神道では亡くなられた方は亡くなってから50日間は霊の状態でいる、と考えられていますので「御霊前」と書いても問題はないようです。亡くなって50日後に執り行われる五十日祭以降は、故人が家の守護神となるという考え方により「御神前」が使用されます。
故人の宗教がキリスト教の場合は、カトリックとプロテスタントでは表記の方法が異なりますので気をつけましょう。一般的にカトリックの場合は、表書きとして「御花料」または「御ミサ料」を用います。キリスト教では、お香を焚くことはしませんので「御香典」は使用しませんし、仏になるという考え方もしませんので「御仏前」も使用しません。「御霊前」は使用しても問題ない、とされているようです。
それに対してプロテスタントの場合は、御霊という考え方は異教の偶像崇拝とされていますので「御霊前」は失礼に当たります。「御花料」「献花料」「忌慰料」という表記を使用することが一般的のようです。どちらの宗派か分からない場合は「御花料」を使用するのが無難だといわれています。
最近では、時代の変化と共にこれまでの伝統にとらわれず、どの宗教にも属しておらず、無宗教だという方も増えてきました。また、亡くなられた相手の宗教が分からず、前もって調べようとしてもこういう話題はなかなか聞きづらいという場合もあるかもしれません。
その場合の表書きについては、いくつかの意見があります。「御霊前」と書くのが無難だという考え方と「御香料」を使用するのが無難だという意見です。どこで葬儀が行われるのかが分かると、宗教について大まかな予想を立てることができるかもしれません。
いずれにしても、こちらの考えを押し付けるのではなく、様々な宗教を奉じている方がおられるという事実を受け入れておくことが大切です。
香典袋の書き方で表書きの次に頭を悩ませるのが、名前の書き方ではないでしょうか。法人や会社として書く場合は、正式名称の会社名、部署名、役職名に続けて、代表取締役のフルネームを書くのが一般的です。連名で出す場合は、人数によって異なります。
香典を包む場合、相手が同僚であれば会社の部署内で、また学校のつながりであればPTAなどで複数人の連名で包むことにする場合があるかもしれません。3人までの連名であれば、香典袋の表面に名前を記しますが、中心に一番目上の人の名前を、その左側に他の人の名前を順に書きます。
1人の場合と違う点は、通常は中袋の裏面に書く住所・氏名を別紙に記入することです。中袋表面には合計金額を、裏面には代表者の住所氏名を記入します。別紙に書く際に気を付けることは、3人の住所、氏名、金額について、一番右側に目上の人、そして順に左側に書いていくということです。
連名で包むのが4名以上になる場合は、外袋には「○○一同」と記入します。会社名や部署名、グループ名をきちんと記しておくと、遺族があとから確認するのが負担になりません。そして、3名で連名の時と同様に中袋には代表者の住所と氏名を書いておき、別紙にそれぞれの住所、名前、金額を書くとよいでしょう。
夫婦で葬儀に参列して香典を渡す場合、通常は夫の名前だけを記入します。独立していない子供を含めた親子や家族での連名の場合も、世帯主の名前だけを書くのが通常の形式です。
しかし、夫婦ともに亡くなった方と親しかった場合は、2人の名前を記します。夫の氏名を記入し、妻の名前のみを左側に書きましょう。妻の旧姓しか相手が知らない場合は、中袋の名前の左横に旧姓を記しておきます。
時として、葬儀に参列すべき間柄の人が何らかの事情で参列できず、その代わりに代理で葬儀に参列し香典を渡すことを頼まれる場合があるかもしれません。会社の代理で参列する場合と、夫婦間で夫の代わりに妻が参列するような場合とでは、表書きの書き方が異なりますので注意しましょう。
会社関係の代理で参列する場合、香典袋の外袋には上司など本来は参列する人である代理を依頼した人の氏名を書き、その左横に小さく代理を意味する「代」と書きます。一方、夫の代わりに妻が参列する場合は、夫の氏名を中央に書き、左横に小さく「内」と記しておくのが表記の作法です。「代」と「内」を逆に使用することはできません。
弔事のしきたりに関してもう一つ気になる点は、お渡しする香典の金額の相場かもしれません。金額相場は、亡くなられた方との関係性や自分の年齢などの条件で変わってきます。関係性とは、親族をはじめ、友人や知人、同僚なのかどうかなどです。香典は、香典返しなどのしきたりがあり、高額すぎても遺族側の負担になってしまうことがあります。
お渡しする香典の金額相場を考える際に気を付けるべき条件とは、亡くなられた故人と自分自身との関係性やつながりです。また、自分の年齢が上がるにつれて社会的立場が上がると考えられることもあり、金額の相場が高くなることも覚えておきましょう。
通常は、ご近所の知人や友人、職場関係などの場合は、自分が20代の場合は3~5,000円、40代以上ですと5,000円~1万円程度が相場です。両親や親族の場合は、20代なら1~2万円、30・40代では2~3万円、50代以上ですと3~5万円程度と言われています。
香典の包み方にも、しきたりやマナーがあります。葬儀会場まで持参する際には、袱紗(ふくさ)と呼ばれる包みを使用する方法が一般的です。袱紗(ふくさ)の色に関しても、冠婚葬祭に応じて使うべき色が定められています。弔事の場合は、紫色や暗色系のものを使用するようです。
お札は、新札は使用しないというのが作法とされています。新札は、基本的に予定が決まっている行事に包むものという社会通念があるからでしょう。加えて、理想的な枚数は奇数とされています。複数枚ある時は、お札の向きにも注意するとよいかもしれません。
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今回の記事では、香典袋の書き方についてご紹介しました。表書きは、お渡しする相手の宗教や渡す時期によって異なります。様々な宗教があり、色々な考え方があるということを念頭に置いておくことが大切です。また、連名で包む場合や香典の金額相場についても、関係する要素を考慮する必要があります。
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訃報は、死亡確定後、なるべく早く届けることが大切です。ホゥ。