日本には、古来弔事に関して様々なしきたりや慣習があります。時代と共に変化していく風習もだんだん増えてきました。その中の香典返しの辞退というテーマについて、この記事でご紹介します。これまでの慣習を考えると、香典返しを辞退することは失礼にあたるのではないか、と考えることがあるのではないでしょうか。
結論を申し上げますと、失礼には当たりません。その理由と香典返しの辞退の方法、辞退された場合の対処方法についてご説明します。
<この記事の要点>
・香典返しを辞退することは失礼に当たらない
・香典返しを辞退する方法として香典袋の中袋に辞退する旨を記載する
・郵送で香典を送る場合は香典返しを辞退する旨を書いた手紙を同封する
こんな人におすすめ
香典返しの辞退が失礼にならないか知りたい方
香典返しの辞退の方法について知りたい方
香典返しの辞退を受けた場合の対処方法について知りたい方
近年では、時代の変化と共に弔事のしきたりに関しても変化が見られるようになってきました。香典返しなどのしきたりに関しても同様です。香典返しを辞退すること自体は、失礼にはなりません。ただ気をつけておきたいのは、香典返しを様々な理由で辞退する必要性を感じる場合、喪主側にその旨を伝える方法とタイミングです。
また、万が一自分が喪主側になってしまった場合でも、香典返しを辞退する方が多くなっており、その方たちそれぞれの理由があるということを認識しておく必要があります。お互いの気持ちを受け取って、心地よい関係を築くようにしたいものです。
そもそも香典とは、突然の不幸に見舞われてしまった家族を助けたいとの気持ちを込めて遺族にお渡しするようになったお金のことです。つまり、家族を亡くしてしまって悲しみに暮れている喪主側のご家族の負担を少しでも軽くしたいという相手の置かれている状況や気持ちを考えてお渡ししているもので、それがしきたりとして受け入れられています。
それに対して香典返しとは、香典をくださった相手の優しい気持ちに対する感謝の気持ちから遺族側がお返しする贈り物を指していますが、最近では様々な理由により香典返しを辞退することも珍しいことではありません。
香典返しを辞退するのにあげられる理由の一つは、遺族に余計な負担や気遣いをかけたくない、という気持ちがあります。特に、一家の大黒柱である人が亡くなってしまった場合などは、少しでも残された家族のこれからの生活の足しにしてほしいと願う気持ちが強くあるようです。
また、亡くなった方の交友関係が広く、たくさんの人たちが葬儀に来るだろうと分かっている場合などは、参列者一人一人に香典返しをするのは、遺族にとって負担になるかもしれません。そんな事情を知っている仲の良い友人などは、自分は辞退したいと思う場合があるようです。
別の理由として、香典につつんだ金額が少額だから、という理由もあげられます。とりわけ会社など勤務先の部署間で複数の人たちが連名でつつんだ場合は、一人一人が出した金額は少額なので、香典返しをいただくとかえって遺族に負担をかけると感じる人は少なくないようです。最近では、会社以外にも友人やご近所同士でも連名で香典をつつむ人たちも増えています。
加えて、辞退を申し出るうえで最近多い他の理由は、公的機関や組織が規約として香典返しを受け取ることを禁止している場合があることです。また最近では、公的機関でない民間企業でも社内の慶弔規定により香典を経費から支出管理するため、香典返しは受け取らないと定めているところも増えてきていています。
日本各地でも地域によって違いはありますが、最近では関西の都市部をはじめとして、香典を受け取らないと定めている葬儀も増えてきているようです。また、関東の一部地域では、「新生活運動」という名で香典返しを辞退するという習慣が根づいています。
「新生活運動」とは、戦後の貧しい時代に、冠婚葬祭においてそれぞれの負担を軽くするために始まったものです。経済の回復と共に変化していった地域も多いですが、弔事の際に遺族や参列者の双方の負担をなるべく減らしましょう、という習慣が改めて見直されている地域があることを覚えておきましょう。もし、他県に引っ越した場合は、前もってその地域の慣習を聞いておくことができるかもしれません。
香典返しを辞退することに決めた場合は、その意思を遺族にきちんと伝えることが必要になります。あいまいな言い方をしてしまったり、タイミングを間違えてしまったりすると、かえって遺族側に気を遣わせることになってしまうからです。
相手に余計な気遣いをさせることなく、スマートな方法で香典返しを辞退する方法の幾つかをご紹介します。自分や相手の置かれている状況に合わせて、どの方法が一番ふさわしいかを選択しましょう。
香典返しを辞退することを決断したのであれば、遺族側にきちんと伝えることが大切です。もし、あいまいな仕方で伝えたつもりのまま終わっていたり、伝えるタイミングがずれたりすると、遺族側が準備していた香典返しの品物が無駄になってしまうという状況になりかねません。
もしそうなってしまうと、せっかく大変な遺族の負担を少しでも和らげようという気持ちから辞退するとしても、かえって迷惑をかけてしまうという残念な結果になってしまいます。そして、辞退することを伝える場合は、口頭ではなく文章にしたためる方法が一般的のようです。下記に、代表的な辞退方法について解説しますので、参考にしてください。
香典返しを辞退する方法の一つは、香典袋の中袋に辞退する旨を記載することです。中袋の表または裏面の住所・氏名を書いた左脇に記載します。この場合の文章は、短くて構いませんし、特に決まった書き方のルールというものはありません。
例えば、「誠に勝手ではございますがお香典返しはご辞退申し上げます」または「お返しのご配慮は遠慮させていただきますようお願い申し上げます」と記すことができます。特に親しい間柄であれば、簡単な一文でも問題ないでしょう。
中袋のない一重タイプの香典袋の場合でしたら、香典袋の裏面の住所・氏名の左脇に、辞退する旨を一筆書き添えます。「ご遺族のお役にお立てください」などの文を添えると、香典返しを辞退したいと思っている意図が伝わりやすいでしょう。
企業の事情で香典返しの受け取りが禁止されている場合は「香典返し辞退用の封筒」を使用することができます。
香典袋の中袋に直接書くほかに、一筆箋を添える方法もあります。一筆箋には6行と5行タイプがありますが、どちらにしてもきちんとおさまるように文章の長さを考えて記載することが必要です。宛名・本文・差出人の順で記載します。
例えば「お悔やみ申し上げます。勝手ながらお返しのご配慮は不要でございます」または「勝手ながら、香典返しを辞退させていただきます。何卒ご了承のほどよろしくお願いいたします」などと記すことができるかもしれません。
時として、遠方に住んでいる、訃報を後から知った場合など、葬儀に参列することが難しい状況が生じるかもしれません。その場合は、郵送で香典を送ることがあるかと思います。郵送で香典を送ることにした際には、香典返しを辞退する旨を伝えるために香典と共にお悔やみの手紙を同封することができるでしょう。
お悔やみの手紙を書く時には、まず正しい敬語や敬称を使って心からのお悔やみの文章を記します。そして、その文末に香典返しを辞退する気持ちとその理由などを一緒に書いておくとよいです。お悔やみの手紙は縦書きが一般的で、文章の中で使用する敬称も日頃あまり使用しない言葉がありますので、事前に調べて失礼のない内容にしたためることをおすすめします。
辞退することが失礼にあたるのではないかとやはり気になる場合は、香典の金額を低くするとよいという意見もあるようです。暗黙の了解で、低額の香典には香典返しをしなくてもよい、という考え方がある地域があるからでしょう。
しかし、そのように香典の金額を低くしたからといって、こちら側の配慮が必ずしも遺族側に伝わるとは限りません。そのことから、香典袋または一筆箋に一言添えておく方法を同時にとることが一般的に進められています。
時代の変化と共に、近年では弔事のしきたりが変わってきています。香典返しに関しても、葬儀の当日に渡す「当日返し」という言葉を耳にするようになりました。
「当日返し」が増えてきている理由とは、遠方に住んでいる親族に直接会うことができるのが葬儀の際だという場合が増えていることや、香典返しにかかる作業の手間を大幅に軽減できるということにあります。
そのため、香典袋に辞退する旨を書き添えているとしても、受付で一言お伝えすることが礼儀となっているようです。その際は「申し訳ございませんが、香典返しは遠慮させていただきます」と述べて、簡単に理由を説明することができるかもしれません。
他にも、葬儀の当日に渡されるものとして「会葬御礼」というものもあります。これは、香典返しとは全く違う趣旨で渡されるもので、通夜や葬儀に参列してくれたことに対する感謝の品物として用意されているようです。ですから、会社などで香典返しを受け取ることが禁止されている場合でも、これは受け取ることができます。
自分が遺族側になり、香典返しを辞退されるという状況が生じる場合もあるでしょう。どうしても気持ちをお渡ししたいということでお返しすること自体は失礼にはなりません。しかし、相手側にも様々な思いがありますので、それを受け止めることもこれからの関係性を考えて大切になってくるようです。
その場合は、香典返しという方法ではなく、別の方法でいただいた親切に対する感謝を表すことができます。その方法をいくつかご紹介しますので、参考にしてください。
香典返しを辞退する連絡を受け取った場合は、品物は送らずにお礼状を送るという方法をとることができます。お礼状の書き出しは「拝啓」または「謹啓」とし「時下ますますご清祥の事とお慶び申し上げます」などの正しい敬語を使用するようにしましょう。そして、感謝の気持ちが伝わる文章を記します。
例えば「ご多忙にもかかわらずご会葬を賜り厚く御礼申し上げます」「暖かいご厚志も賜り心より感謝いたします」などと書くことができるでしょう。文末には「本来ならばお目にかかって直接御礼を申し上げるべきところを略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます」「返礼不要とのお心遣いをいただき誠に感謝申し上げます」などと記すことができます。
高額な香典をいただいた場合は、辞退の旨を知らされたとしても、やはりお返しをしたいという気持ちにかられるかもしれません。その場合は、違うかたちでお礼をすることができます。友達であれば時期を変えて会食に招待することができますし、会社の部署などの連名でいただいた場合は小分けできるようなお菓子を贈ることができるでしょう。
さほど遠方でなければ、時期を見計らって会社に持参することができるかもしれません。いずれにしても、相手の気持ちを受け止めたうえで、こちら側の感謝の気持ちが伝わるような方法を考えることができるでしょう。
香典返しとは違うかたちでお礼をすることにした場合でも、渡す相手の状況を考慮することが必要になってきます。例えば、法人からの香典と個人からの香典では、お礼の仕方は変わってくることでしょう。個人の場合は、郵送または持参問わず、なにかしらのお礼の品物を贈ることができます。
しかし、相手が法人や公的機関などの組織で香典返しを受け取ることが社内の慶弔規定により禁止されているような場合ですと、お礼状だけの方が無難かもしれません。できるなら、お礼の方法を考える際に相手の様々な事情を知るように努めることができます。
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この記事では、香典返しを辞退することは失礼には当たらないということをお伝えしました。辞退する理由としても、総合すると遺族をいたわり、思いやる気持ちがあげられます。タイミングをよく見極め、きちんと自分の気持ちが伝わる仕方でコミュニケーションを図るなら、双方の関係は良好のまま続くことでしょう。
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