訃報は突然やってきます。関係の深い方ではない場合、通夜や葬儀・告別式の連絡を急に受けることも少なくありません。中にはやむを得ず参列を断念する方もいるでしょう。どうしても葬儀に参列できないときは、香典を郵送するのもひとつの方法です。
この記事では、香典を郵送する方法やマナー、お悔やみの手紙の文例を紹介します。葬儀に参列できない場合でも、香典を郵送して丁寧にお悔やみを伝えましょう。
<この記事の要点>
・通夜や葬儀に参列できない場合は、香典を現金書留で送ることができる
・現金書留用の封筒に直接現金を入れて送るのはマナー違反
・香典を郵送する場合は葬儀から1週間以内には届くようにする
こんな人におすすめ
香典を郵送するかお悩みの方
香典を郵送する際のマナーを知りたい方
香典に添えるお悔やみの手紙について知りたい方
急な訃報にも慌てずに対応するためには、香典の基本的なマナーを知っておくことが大切です。ここからは、香典の意味や渡し方、郵送するケースについて解説します。
香典とは、故人の霊前に供える現金のことです。昔は花や線香、米などを供えていましたが、時代とともに現金を贈る文化に変わっていきました。香典には、急な不幸で現金が必要なときに助け合う「相互扶助」の意味があるといわれています。香典は通夜か葬儀・告別式のうち、最初に弔問するときに持参します。
現金を不祝儀袋に入れて、グレーや紫、紺色の袱紗(ふくさ)に包んで持参します。受付で袱紗から取り出して渡すのがマナーです。
本来、香典は直接渡すものですが、やむを得ない理由で先方に伺えないこともあるでしょう。たとえば、仕事をどうしても休めない場合やけがなどで動けない場合、遠方への外出が制限されている場合などです。この場合は、お悔やみの気持ちを込めて香典を郵送してもマナー違反にはなりません。
ただし、現金を普通郵便や宅配便で送ることは法律で禁止されています。香典は必ず現金書留で送りましょう。
通夜や葬儀・告別式に参列できない場合は、香典を現金書留で郵送します。ここからは、香典を郵送する方法や送るタイミングを紹介します。
香典を郵送する場合は、郵便局の窓口で手続きをします。現金を不祝儀袋に入れて、不祝儀袋ごと現金書留用の封筒に入れましょう。現金書留用の封筒に直接現金を入れて送るのはマナー違反です。
現金書留封筒にも差出人の住所や氏名を記入しますが、不祝儀袋の住所氏名を省略するのはNGです。不祝儀袋の表と中袋両方に、必要なことを記入しましょう。現金書留封筒には2種類のサイズがありますが、不祝儀袋を入れるため、大きいほうを使用します。
都合がつかず、通夜、葬儀・告別式いずれも参列できない場合は、なるべく早く香典を郵送しましょう。
訃報から数日後に通夜や葬儀が行われる場合は、葬儀斎場宛に香典を送ることもできます。斎場の住所に送るときの宛名は喪主の名前、もしくは「気付(きづけ)」にします。気付とは、郵便物を相手の住まいではなく立寄り先に送ることです。
気付で送ると斎場のスタッフが郵便物を受け取れますが、現金書留の受け取りに対応していない斎場もあります。事前に受け取り可能か斎場に確認しておきましょう。また、気付で送る場合は、どの家に宛てたものなのか必ず明記します。
現金書留は日付指定ができるので、通夜の日を指定すれば到着が遅れるリスクを減らせます。通夜が逝去の当日や翌日に行われるときは、斎場に郵送しても間に合わない可能性が高いので、香典は喪主の自宅住所に送ります。その場合は葬儀の2~3日後を目安に、あまり遅くならないよう送りましょう。
香典の到着が遅くなってしまうと、香典返しを他の人とは別に送ることになり、喪主に手間をかけさせてしまいます。遅くても葬儀から1週間以内には届くようにしましょう。ただし、葬儀直後のタイミングでは遺族も忙しく、現金書留の受け取りが難しい可能性があるため、個別の配慮が必要です。
都合がつかず、通夜、葬儀・告別式いずれも参列できない場合は、なるべく早く香典を郵送しましょう。
訃報から数日後に通夜や葬儀が行われる場合は、葬儀斎場宛に香典を送ることもできます。斎場の住所に送るときの宛名は喪主の名前、もしくは「気付(きづけ)」にします。気付とは、郵便物を相手の住まいではなく立寄り先に送ることです。
気付で送ると斎場のスタッフが郵便物を受け取れますが、現金書留の受け取りに対応していない斎場もあります。事前に受け取り可能か斎場に確認しておきましょう。また、気付で送る場合は、どの家に宛てたものなのか必ず明記します。
現金書留は日付指定ができるので、通夜の日を指定すれば到着が遅れるリスクを減らせます。通夜が逝去の当日や翌日に行われるときは、斎場に郵送しても間に合わない可能性が高いので、香典は喪主の自宅住所に送ります。その場合は葬儀の2~3日後を目安に、あまり遅くならないよう送りましょう。
香典の到着が遅くなってしまうと、香典返しを他の人とは別に送ることになり、喪主に手間をかけさせてしまいます。遅くても葬儀から1週間以内には届くようにしましょう。ただし、葬儀直後のタイミングでは遺族も忙しく、現金書留の受け取りが難しい可能性があるため、個別の配慮が必要です。
香典を郵送する場合も、手渡しと同様に不祝儀袋やお金の入れ方などのマナーを守る必要があります。加えて、郵送の場合は手紙を添えて送ります。
実際に足を運ぶことはできなくとも、香典を郵送することで礼を尽くすことはできるので、マナーを守って遺族に弔意を示しましょう。
不祝儀袋は、故人の宗派や包む金額に合わせて選びます。金額が少なければシンプルなもの、多ければ実際の水引が掛けられた不祝儀袋を選びましょう。
蓮の花が印刷されたものは仏式、百合の花や十字架が描かれたものはキリスト教式です。神式では、無地の袋に白黒もしくは双銀の水引がかかっているものを選びます。
表書きは、仏式では「御霊前」や「御香料」、キリスト教式では「御花料」や「御霊前」、神式では「御榊料」や「玉串料」と書きます。宗教が分からないときには「御霊前」と書くのが一般的ですが、浄土真宗には霊になる期間がないと考えられているので、「御霊前」は使用できません。浄土真宗の表書きはどのタイミングであっても「御仏前」を使用します。
香典の表書きや氏名は、薄墨の毛筆、もしくは筆ペンで書くのが正式な作法です。薄墨で書くのは、「墨を磨る暇も惜しんで駆けつけた」ことや、「悲しくて涙がこぼれ落ちて墨が薄まった」ことを表現するためだといわれています。
水引の下には氏名を書き、中袋の裏にも名前と住所を記載します。中袋のおもてには、金額を「大字」と呼ばれる旧字体で書くのがマナーです。
香典の目安となる金額は、故人との関係性によって異なります。親戚であれば1万円~3万円、会社関係者や友人・知人であれば5,000円~1万円程度を目安に包みましょう。「死」や「苦」を連想させる「4」や「9」のつく金額は避けたほうがよいとされています。
お札は適度な使用感のあるものを選びます。新札を包むと、「不幸が起こることを予測していた」と捉えられてしまう可能性があります。どうしても新札しか準備できない場合は、一度折り目をつけてから包みましょう。
また、汚れの目立つお札や破れたお札を入れるのは、遺族に対して失礼にあたりますので避けましょう。
事情があって通夜や葬儀に参列できず香典を郵送するときは、お悔やみの言葉と参列できないお詫びを記した手紙を同封しましょう。手紙を添えることで丁寧な印象になり、より弔意を伝えられます。
便箋は封筒に入れず、不祝儀袋と一緒に直接現金書留封筒に入れて問題ありません。手紙の内容は長くなくても、気持ちを込めて丁寧につづれば相手に伝わるでしょう。
香典に同封する手紙の内容に迷う方は少なくありません。お悔やみの手紙は、一般的な手紙とマナーが異なります。ここからは、香典に添えるお悔やみの手紙を書く際のポイントを紹介します。
一般的な手紙には頭語や時候の挨拶を含めるのがマナーですが、お悔やみの手紙の場合は必要ありません。手紙の主な内容である「主文」、結びの言葉である「末文」、日付や差出人、宛名を書いた「後付け」の3つで構成するのが一般的です。
冒頭から、「お悔やみ申し上げます」など弔意を述べて問題ありません。また手紙の読み手と自身に面識がない場合は、故人との関係性を説明するとより丁寧です。
忌み言葉とは、縁起の悪い言葉や直接的な表現を指します。弔事では忌み言葉を避けるのがマナーです。言葉によっては、遺族の気持ちを傷つけてしまったり、参列者に不快な思いをさせてしまったりする場合もあるので、細心の注意を払いましょう。
具体的には「重ね重ね」「ますます」「再三」など繰り返しを意味する言葉や、「続いて」「引き続き」「再び」など連続することを意味する言葉です。これらは、不幸が続いたり繰り返したりすることを連想させてしまいます。
また、「死」「急死」など直接的な表現や、「浮かばれない」「迷う」といった成仏できないことを連想させる言葉にも注意が必要です。忌み数字である「四」や「九」も避けましょう。
本来であれば、お悔やみの言葉は葬儀に参列して、遺族に直接伝えるのがマナーです。香典に手紙を添えてお悔やみを伝えるのは、略式の方法であることを理解しておきましょう。
お悔やみの手紙には、葬儀に参列できないことをお詫びする文も入れましょう。「本来ならばすぐに駆けつけたいところですが」と、葬儀の欠席が本意ではない旨も伝えるとより丁寧です。
参列できない理由も書くことが望ましいですが、欠席理由が結婚式や出産といった喜ばしい行事である場合には、はっきりと伝えることは避けます。「事情により」などぼかした表現にするのがおすすめです。
香典は遺族に弔意を伝えるためのものです。そのため、香典を同封したことを手紙に明記しましょう。書き方としては、心ばかりのものであることを伝えつつ、「御霊前にお供えいただければと存じます」と続けます。
お悔やみの手紙には、自身の驚きや悲しみの気持ちを表す文章や、故人を悼む気持ち、遺族を気遣う言葉も入れましょう。「心痛はいかばかりか」と深い悲しみの中にいる遺族の心に寄り添ったり、「ご自愛ください」と体調を気遣ったりする内容がおすすめです。お悔やみの手紙では「弔意」を大切にしましょう。
香典に関する基礎知識や、お悔やみの手紙を書く際のポイントを覚えたら、実際にお悔やみの手紙を書きましょう。ここからは、お悔やみの手紙を書く際の参考になる具体的な文例をいくつか紹介します。
手紙を書く際は、滞りなく儀式が終わるように、文章を区切る句読点は使用しないように注意が必要です。
このたびは○○様のご逝去の報を受け ただ驚くばかりです 心からお悔やみ申し上げます
本来であればすぐにでも駆けつけるところではございますが 遠方のためかなわず申し訳ありません
心ばかりですが同封したものを ご霊前にお供えいただければと存じます
ご家族様におかれましては 大変お力落としのことと存じますが どうかご自愛ください。
○○様ご逝去の報を受け 驚きと悲しみを深くしております
訃報を聞いたのが昨日のことでしたので 葬儀に伺うことができず 大変申し訳ありませんでした
遅ればせながら○○様のご冥福をお祈り申し上げます
同封のものは心ばかりのご香典ですが 御霊前にお供えくださいますよう お願いいたします
どうぞお気を落とされませんように ご自愛くださいませ
○○様のご訃報に接し ご家族様の悲しみを拝察するとともに 心よりお悔やみ申し上げます
諸般の事情によりお伺いすることがかなわないため 心ばかりですが御霊前を同封いたしました
略儀ながら書中にてご冥福をお祈り申し上げます
遺族は死亡後の手続きや葬儀の準備などで多忙なことも多いので、お悔やみの手紙は短めにしたほうが相手の負担を減らせます。近日中に弔問に伺えそうな場合は、簡潔な手紙でも問題ありません。
香典に手紙を添える際は、内容だけでなく送り方にも配慮が必要です。遺族に対して失礼にならないようにマナーを守り、お悔やみの気持ちを丁寧に伝えましょう。ここからは、香典に手紙を添える際の注意点を紹介します。
お悔やみの手紙は、香典を入れる不祝儀袋などと同じく薄墨で書くのが正式なマナーです。しかし、現在では筆で手紙を書く方は少ないため、筆ペンやボールペン、万年筆などで代用しても問題ないでしょう。筆ペンは薄墨用のものを、ボールペンはグレーカラーのものをおすすめします。しかし、しきたりを重んじる方に送る場合は、筆または筆ペンを使うのが賢明です。
お悔やみの手紙でも、重なったり繰り返したりすることを連想させる言葉は避けましょう。便箋の数にも気を配るのが大切です。
お悔やみの気持ちを伝えたいと思い長文になる方もいますが、便箋は複数枚にならないように1枚に留めます。
また、便箋は白色の縦書きで無地のものが好ましいでしょう。大きさは、普通のサイズのものでも一筆箋でも構いません。
封筒も便箋と同じように「重なる」「繰り返す」ことを連想するものを避けるため、一重封筒を使用するのがマナーです。香典と手紙を一緒に送る際に、香典袋と手紙の封筒が重なることは問題ありません。
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諸事情で葬儀に参列できない場合、香典は郵送しても問題ありません。ただし、必ず現金書留で送りましょう。郵送する際は、お悔やみの手紙を添えて哀悼の意を伝えます。また手紙を書く際には、薄墨を使用して便箋は1枚に留めるなどのマナーを押さえることが大切です。
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葬儀の挨拶では、不幸を連想させてしまう忌み言葉と重ね言葉には気をつけましょう。ホゥ。