葬儀や法要は近親者が亡くなったあとに執り行われる仏事です。どんな形式にするか、そのかたちは違っても多くの人が人生のうちに葬儀や法要に関わることとなります。
四十九日も法要の一つであり故人が来世を気持ちよく迎えられるよう、また恵まれた来世であるよう供養と祈りを捧げるものです。冠婚葬祭には作法がつきもののため、初めて参列する人にとっては分からないことだらけでしょう。
このページでは四十九日法要に参加するときの持ち物や服装、注意点などをまとめました。施主側となったときにするべき準備についてもまとめています。
<この記事の要点>
・四十九日法要に参列する際、参列者は香典またはお供物を持参します
・香典袋の表書きは薄墨で「御霊前」と書くのが一般的ですが、浄土真宗の場合は「御仏前」と記入します
・遺族はお布施や会場費、遺影、本位牌を忘れないようにしましょう
こんな人におすすめ
四十九日法要を控えている方
法要に参列する際の持ち物を知りたい方
四十九日法要の服装について知りたい方
故人を偲びしっかりと供養をするためにも、ご遺族をがっかりさせるような行動や服装は慎みたいものです。事前に避けるべき服装や持ち物を知ることで問題を回避することができるでしょう。
まずは、参列するときの持ち物についてです。香典やお供物などは普段持ち歩くようなものではなく、葬儀や法要にしか持ってくることがないため忘れずに準備しましょう。
参列するときには、香典もしくはお供物を忘れずに持っていきましょう。どちらもすぐに準備できるようなものではないことから、余裕を持った事前の準備がもとめられます。
香典の相場は自分の年齢や相手との関係によるため一概にいくらとは言えません。友人や知人の場合は5千円ほど、親類の場合は1-5万円ほどが相場です。同じ家族でも兄弟姉妹と親(もしくは子)では後者の方が高くなります。
夫婦で出席するときは二人分の香典を一つにまとめて渡しましょう。こちらの方が施主側も計算しやすくスマートです。夫の名前は水引の右下に、妻の名前は水引の左下に記入します。
相手方が香典をいただくことを辞退することも考えられるので、こういった場合は事前に案内状などで通知をもらうため、事前にチェックしていれば安心です。
香典を辞退された場合でも、お供物はいただくケースもあります。もしも香典を渡せなくて心苦しいようであればお供物を渡すのも一つの方法です。お供物も辞退したいというケースもあるため、こちらも事前に確認しておくとよいでしょう。
香典袋には書き方やマナーも存在します。表書きには「御霊前」と書きますが、浄土真宗の場合は「御仏前」と記入しましょう。葬儀のときと違い、四十九日のときは薄墨ではなく濃墨を用いる点にも注意です。名前は水引の下段にフルネームで書きます。
中袋には中に入っている金額を、中袋の裏に住所と氏名を記入して、中袋がない場合は外袋の裏側に記入することを忘れずに行いましょう。中に入れるお札の種類は新札でも旧札でも問題ないとされています。
どちらも用意できるのであれば、旧札の方がよいでしょう。新札はお祝いごとで準備されるものであり、弔事には相応しくないと考えられる方もいます。もしも新札を入れるのであれば、折り目をつけておくとなおよいでしょう。
ここまでは参列者の持ち物をまとめてきましたが、親族の場合でも香典やお供物と言った持ち物に大きな違いはありません。しかし、親族の場合は香典の代わりにお供物を用意することもあります。
特に家族内であれば、お金のやり取りは他の参列者の香典よりもスムーズに行うことができるでしょう。香典やお供物、何を準備したらよいかを事前に決めておくと円滑にことが運びます。
法事に参加する時、お供え物は必ずしも必要ということはありません。最近では品物ではなく、御供物料(おくもつりょう)として現金を包むことが一般的になっています。
地域や慣習、故人との関係によって異なりますが、目安として5千円~2万円程度で、1万円を包む方が多いようです。ただし、地域によっては供養の一つとして、お供え物を持ち寄り、最後に出席者全員で分け合うなど、出席する際にお供え物が必要なところもあります。出席する際には事前に周りの親族に確認しておくとよいでしょう。
法要を迎えるにあたって、持ち物に気をつけておきたいのは参列者だけではありません。遺族側にも必要な準備があり、そのためにかかるお金も出てきます。慌てることのないように遺族側に必要な持ち物も事前に確認しておきましょう。
お布施や引き出物のようにぱっと思いつくものから埋葬許可証のように知らないと手続きの分からないものまでいくつかの種類があります。
遺族が用意すべきものの一つ目は法要にかかる費用です。何事にもお金はつきものですが、仏事のときはお布施や会場費など独特のものも出てきます。
法要に必要な費用の内訳としては会場費、会食費、お布施、本位牌などのほかに場合によってはお車代や御膳料がかかってきますので、一つずつ相場をチェックしてみましょう。
まずかかる会場費ですが、これは会場の場所やグレードで変動します。おおよそ3~15万円ほどが相場ですが、これより高いホテルももちろん存在します。会食費は3~5千円くらいを見積もっておけばよいでしょう。
お布施は法要にかかる費用の中でもメインとなってくるものです。四十九日の法要の場合、相場は3~5万円と言われています。もしくは葬儀のお布施の10%としてもよいでしょう。お寺との普段の付き合いや宗派によってお布施の金額は異なってきます。
本位牌は事前に準備しておくものではありますが、同じく費用がかかるものです。2~3万円ほどが平均とされています。こちらも忘れずに計算に入れておきましょう。
遺影も遺族側が必ず準備しておかなければならないものの一つです。既に亡くなっている場合、どの写真を遺影とするかは遺族が相談して決めることになります。
自分の遺影になるわけですから一番よいのはもちろん本人が決めるケースです。しかし生前は遺影のことまで気が回らなかったり、遺族から遺影の話をすることに対して気が引けてしまったりすることもあるでしょう。
遺影となる写真を選ぶべきに気をつけておくべきポイントは、写真うつりの良さや表情です。故人の性格が反映されているもの、穏やかな表情をしているものが好まれる傾向にあります。
埋葬許可証は法要と納骨式を同日に行う場合に必要です。四十九日は、元々7日ごとに順次行われる死後の裁判と、来世の生まれ変わりに関わる法要です。死後も故人の魂は現世に残っていますが、裁判と来世が決定するのが四十九日と言われています。
四十九日を過ぎると現世から故人の魂は離れていくと考えられており、このことが忌明けや納骨にも関わってきます。納骨式を四十九日法要と一緒に行う人が多いのはこのためです。
納骨式を同日に行う場合は死亡届と死亡診断書を市役所に出し、火葬許可証をもらいます。火葬が終了すると火葬許可証に火葬済の印が押されます。これが通称「埋葬許可証」です。火葬後から法要までしっかりと保管しておきましょう。
納骨を同日にする場合は、納骨式ならではの注意点もあります。2ヶ所以上に分けて故人の骨を埋葬したいときは、分骨する分だけ埋葬許可証が必要になるので注意しましょう。3ヶ所に分けて埋葬するときは3通の埋葬許可証を発行してもらう計算です。
分骨をする予定であったが、既に火葬を終えてしまって埋葬許可証を一通しかもらっていない、ということもありえます。火葬前と考えが変わって分骨するように親類間で会話が進んだということもあるでしょう。この場合は、市役所が火葬場に相談することで分骨の手続きを進めることができます。
また、新たにお墓を建てるのには時間がかかることも忘れてはなりません。四十九日の時点で納骨式を済ませられるお墓がしっかり準備できているよう、いつお墓が建つかを事前に確認しておきましょう。
本位牌は、葬儀から四十九日の法要までの白木位牌にかわって仏壇に祀って長く供養することになるものです。
こちらも事前に手配をします。作成には2週間程度かかるので、余裕を持って依頼をしましょう。この本位牌は、葬儀会社や仏具店にお願いするのが一般的ですが、最近はインターネットで注文することも可能です。
また、本位牌に数に決まりはありません。複数頼む場合は「何本要るのか」を忘れずに伝えて下さい。法要当日は、お布施と同じように本位牌も忘れずに法要に持参しましょう。
参列者にお礼の意を示すために渡されるのが引き出物です。引き出物は返礼品であり、引き出物に向くものと向かないものがあります。誰が法要に参列するかは事前に分かっているため、遺族も準備をしておきましょう。
引き出物として適切なものは、お茶やコーヒー、お菓子に調味料などです。どれも消費することができるもので、これらは「消えもの」と呼ばれます。不祝儀から早く離れるという考えから、これらの消えものが向いているのです。引き出物の価格帯はおよそ3-5千円が適当とされています。
四十九日の法要の持ち物について分かったところで、次は服装についてです。持ち物も弔事ならではのものが多く、うっかり忘れてしまったり準備をしていなかったりすると後で取り返しのつかないことにもなり兼ねません。
服装も同じく、当日に間に合わせの服装ではマナー違反となることも考えられます。しかし、事前にしっかりとどれを着ていけばよいか知っていれば、TPOを弁えた服装をすることが可能です。
法要のときの服装は、遺族と参列者で違いがあります。まずは、参列者の場合について確認しておきましょう。男性参列者の場合は黒色のスーツを着ていくのが一般的です。
略礼式のスーツが最も着用されます。略礼式の黒いスーツであれば、結婚式でも弔事でもネクタイを変えるだけで着ていけるため、使い勝手がいいのも好まれている理由でしょう。
上下黒色であれば、シングルでもダブルでも問題ありません。靴下や革靴も黒色で統一し、光物を身につけないようにしましょう。
女性の場合は、黒色のスーツの他に同じく黒色のワンピースでも問題ありません。ストッキングやパンプスも黒で統一し、襟元が詰まったものを選びましょう。アクセサリーをつける場合は、パール系のもののみとします。
遺族は参列者と異なり、喪服を着用することが圧倒的に多いです。しかし、必ずしも喪服でなければいけないかというとそうではなく、故人の希望がある場合は喪服以外の服装で法要を執り行うこともあります。
喪服か略式喪服を着用する場合は問題ありませんが、平服でもし法要を執り行う予定があるのであれば事前に参列者にも「平服で参列して問題ない」旨の連絡を忘れてはいけません。
参列者よりも遺族がラフな格好をしているのは失礼にあたるため、もしも喪服以外を着用するのであれば気をつけておきましょう。平服の場合でもフォーマルよりのものを着用するのが一般的です。
前述の見出しでも少し触れた喪服ですが、喪服には3つの種類があります。正喪服、準喪服、略式喪服の3種類でそれぞれ異なった特徴を持っているのです。どのシーンでどの喪服を着用するのが適しているかまとめました。
■正喪服
一番格式が高く、法要の施主や三親等までの遺族が着用します。葬儀、告別式やお通夜など特に重要度の高い式で着用しましょう。
■準喪服
参列者が着用する喪服と言えます。こちらもお通夜や告別式などで同じく着られるもので、正喪服に次いで格式が高いです。
■略式喪服
参列者が着るもので、年忌法要や平服を指定された場合に着ていく喪服としての役割を持っています。それぞれの格式や着ていく場面に合わせて選択しましょう。
子供を連れて四十九日の法要を迎えることもあるでしょう。子供が着ていく服は制服があれば基本的に制服で問題ありません。これは遺族であっても参列者であっても同じことが言えます。もしも制服を持っていないようであれば黒色の地味な服装で参列します。
男児であれば無地の白シャツとズボン、女児であれば黒や紺などのワンピースなどが無難です。法要後の会食で服を汚してしまうこともあるので、洗濯しやすいものを選んでもいいでしょう。
数珠は葬儀や法要の際に持参したい手回り品です。数珠は仏教が生まれる前のインドでヒンドゥー教徒に使われたのが始まりとされていて、数珠を持ちお祈りすることで煩悩が祓えるのです。
日本では葬儀や法要で数珠を持つことは煩悩を捨てて幸福になれるとともに、故人のよい供養に欠かせないものとして認知されています。持っていない人は葬儀や法要にはじめて参加するときに合わせて自分のものを持つのもよいでしょう。
数珠は個人のもので、その人の供養やお祈りの精神を反映するものです。数珠を他の人に借りたり貸したりすることは控えましょう。
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四十九日の法要に持っていく持ち物や服装についてのまとめでした。持ち物や服装には作法が大きく関わっており、知らないと少し気まずくなってしまうこともあるかもしれません。
しかしその成り立ちや理由を知ることで、よりご遺族を慮った供養ができることもまた事実です。正しい知識を身につけ、よいかたちで故人を偲ぶ一助となれば幸いです。ご不明点は小さなお葬式へご相談ください。
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