仏教において、お彼岸は極楽浄土と現世が最も近くなる日と考えられています。ご先祖様に思いを寄せ供養するお彼岸には、決まったかたちがありません。そのため、何をして過ごしたらよいのか、どのようなものをお供えしたらよいのか、悩まれる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、お彼岸の過ごし方をはじめ、お供え物の定番やマナーなどを紹介します。お供え物を頂いたときのお返しについても解説している内容です。
<この記事の要点>
・定番のお供え物は、季節の花にちなんだ「ぼたもち」や「おはぎ」、果物やお菓子が選ばれる
・お供え物の掛け紙にのしは不要で、水引は黒白または双銀の結び切りを使用する
・地域によって異なるが、お彼岸のときにいただいたお供え物のお返しは基本的には不要
こんな人におすすめ
お彼岸とはどのような日なのか知りたい方
お彼岸の定番のお供え物を知りたい方
お供え物のお返しについて知りたい方
春分の日と秋分の日を中日とした前後3日間、計7日間の期間を「お彼岸(ひがん)」といいます。お彼岸には寺院の法要に参加したり、お墓参りをしたりして過ごすのが一般的です。この章では、お彼岸の意味やお彼岸とお盆の違いについて解説します。
仏教では、極楽浄土は西の方角に存在すると考えられています。昼と夜の時間がほぼ同じ長さになる春分の日と秋分の日は、太陽が真西の方角に沈むため、現世と極楽浄土との距離が最も近くなる日と捉えられました。そのような考え方によって、春分の日と秋分の日に法要を営んだりお墓参りをしたりして過ごす風習が生まれたといわれています。
春分の日と秋分の日を中心に前後3日を合わせた7日間のことを、それぞれ「春彼岸」、「秋彼岸」といいます。つまり、お彼岸は1年のうちに春と秋の2回です。
例えば、秋分の日が9月23日であった場合、20日のお彼岸初日を「彼岸入り」、23日の秋分の日を「彼岸の中日」、そして26日の最終日を「彼岸明け」といいます。
春分の日と秋分の日は「暦象年表」に基づき日にちを決定される国民の祝日です。そのため、年によって日付が前後するので注意しましょう。
ご先祖様を供養する年中行事といえば、お彼岸の他に「お盆」が思い浮かぶ方もいるのではないでしょうか。どちらの行事もご先祖様に思いをはせ、一緒の時間を過ごすという意味では共通していますが、春や秋のお彼岸と夏のお盆ではその時期にすることが違います。
また、ご先祖様の霊が家に帰ってくるとされるお盆には、祖先の魂を自宅に迎え入れて過ごす目的がありますが、お彼岸はご先祖様の供養が目的です。そのため、お彼岸にはお盆の迎え火や盂蘭盆会(うらぼんえ)のような決まった儀式はありません。
お彼岸には何をお供えしたらよいのか悩まれる方もいるかもしれません。この章では、お彼岸にお供えする定番を7つ紹介します。また、お彼岸の独特のお供え物、「ぼたもち」と「おはぎ」の違いについても確認しておきましょう。
お彼岸の定番といえるお供え物に、餅米を餡でくるんだ「ぼたもち」と「おはぎ」があります。ぼたもちとおはぎは、呼び名こそ違いますが基本的には同じお菓子です。春のお彼岸では春に咲く牡丹の花にちなんで「ぼたもち」、秋のお彼岸では秋に咲く萩の花にちなんで「おはぎ」と名付けられました。
ぼたもちとおはぎは生ものであるため、自宅で用意することも多くあります。訪問先にお供えとして持参するケースはあまりないと考えておきましょう。
果物や洋菓子、和菓子も定番のお供え物です。特に、お茶と一緒にいただけるようなまんじゅうやどら焼き、もなかなどはお供え物によく選ばれます。お菓子をお供えする場合は、小分けのものやギフトセットを選ぶと訪問先のご家族にも喜ばれるでしょう。
持参するお供え物は、訪問先の負担にならないような日持ちがするものを選ぶのが一般的です。家族構成や年齢を問わず贈りやすいジュース、缶詰などは日持ちするため、お彼岸のお供え物の定番といえるでしょう。
故人が好きだったからとビールなどのお酒を選ぶこともありますが、基本的に仏教においてはお酒を仏に供するのはNGであるという考え方があることは覚えておきましょう。
そうめんも、お彼岸のお供え物の定番です。そうめんは「あの世へ帰る仏様の荷物をまとめるひもとして使われる」といわれていることから、仏事のお供えなどで広く用いられています。また、日持ちがすることや精進料理であることもそうめんがお供え物に選ばれる理由です。
お彼岸でお供えする花の種類に、厳密な決まりはありません。お彼岸の時期になると、生花店にお供え用のアレンジメントフラワーが多数並びます。その中から、季節の花や故人のイメージに合った花、故人が好きだった花などを選ぶのがポイントです。
線香やろうそくは、先祖のために使えるもので、かつ消えものであるため、お供え物に重宝します。線香とろうそくのギフトセットは、大手百貨店で購入可能です。ギフトセットは予算に合わせて選べて、見栄えがよいメリットもあります。
お彼岸のお供え物には決まりがないため、相手に喜ばれる品を贈るのもひとつの方法です。例えば、故人が好きだったものや、家族がゆっくりと団らんできるようなお菓子の詰め合わせなどもよいでしょう。贈る相手の気持ちに寄り添って、お供え物を選べば気の利いたお供え物になります。
お彼岸の際に持参するお供え物の金額目安は、3,000円~5,000円程度です。お供物料として現金を用意する場合には1万円~5万円と多めに包みます。また、現金だけでなく、現金と品物の両方を用意する場合もあります。
相場の範囲を超える高額な金品を持参すると、相手の負担になる可能性があります。相場を踏まえた金額にするのが、仏事におけるマナーです。
お供え物の掛け紙は、「のし」がついていないものを選ばなければなりません。また、水切りや表書きなどにもマナーがあります。仏事の重要なギフトマナーであるお供え物の掛け紙の選び方について確認しましょう。
のし付きのかけ紙は慶事に用いられるものなので、仏事では使用しません。のしは不老不死のアワビをイメージした縁起の良いものとされています。慶事の掛け紙の右上にある、紙を筒状に畳んであるデザインが「のし」です。
お供え物を購入するときは、包装前にお彼岸のお供えだという旨を伝えておくと、用途に合った掛け紙をかけてもらえるでしょう。
お供え物にかける掛け紙の水引は黒白または双銀が一般的ですが、地域によっては黄白の水引を使用するところもあります。
お彼岸や法事などでは、偶数の水引を使用するのがマナーです。奇数の水引は慶事用となりますので注意しましょう。
お供え物の表書きは、水引の上に「御供」、水引の下に自分の名前を書きます。名前は相手にわかりやすいよう、フルネームで書きましょう。連名で贈るときは、水引の下に一人ひとりの名前を書きます。目上の方が一番右側にくるように記入するのが、連名時のマナーです。
お彼岸に現金をお供えする場合は、白黒か双銀の結び切りの不祝儀袋にお金を入れてお渡しするのが一般的です。不祝儀袋の表書きは「御供物料」と書きます。「御仏前」「御佛前」などと書く場合もありますが香典と混同することもあるので、お供え代わりとするなら御供物料とするのがよいでしょう。
お彼岸でお供え物をいただいたときのお返しは基本的には用意しません。ただし、感謝の気持ちを伝えるためにお返しをするケースもあります。ここからは、お彼岸のお供え物をいただいたときのお返しについて見てみましょう。
お彼岸のときにいただいたお供え物のお返しは、基本的には不要です。一方で、人や地域によってはお供えしてもらったお礼として、いただいたお供え物の1/3~1/2程度の品物を贈る方もいます。この考え方は香典返しの考え方と同じです。
感謝の気持ちを形にしたい場合は、以下のようなタイミングでお返しを準備しましょう。
・事前にお返しを用意しておき、お彼岸当日に渡す
・お彼岸明けにお礼状と一緒にお返しを発送する
・お中元やお歳暮の時期に「ご挨拶」として贈る
なお、お供え物のお返しには、「御礼」、「粗品」、「感謝」などの掛け紙をかけ、感謝を伝えるメッセージカードを同封すると丁寧です。
お彼岸では、お墓参りや仏壇の掃除などをして過ごすのが一般的です。この章では、お彼岸におけるお墓参りの作法や仏壇の掃除方法などを解説します。お彼岸はご先祖様に思いをはせる期間です。心のこもった行いが善行となり、供養にもつながります。
お彼岸のお墓参りは、お彼岸の中日にするのが一般的です。しかし、天候や家族の都合に合わせて他の日にお参りしても問題ありません。家族が集まりやすい日にお参りするのもよいでしょう。
お墓参りには、お線香やろうそく、お供え物やお花、数珠を持参します。カラスなどに荒らされないよう、お供え物はお墓参りを終えたら持ち帰るのがマナーです。
お彼岸では仏壇やお墓の掃除をし、ご先祖様に感謝の想いを伝えることが大切です。仏壇の掃除は、「香炉(こうろ)」や「花立(はなたて)」、「燭台(しょくだい)」などの仏具のほこりを落とし、柔らかい布で拭きます。
お墓の掃除は、墓石をブラシで磨いたり、お墓周りのごみを拾ったり、草むしりをしたりするとよいでしょう。
菩提寺がある場合は、お寺が主催する「彼岸会」に参加する方も少なくないようです。彼岸会に参加するときは、3,000円~5,000円程度のお布施を用意します。お布施をお渡しする際は、表書きに「御布施」や「お布施」と書くのが一般的です。お布施は奉書紙(ほうしょし)に包む方法が丁寧ではありますが、市販の白い封筒に入れても問題ありません。
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仏教においてお彼岸は、この世と極楽浄土とが一番近づく日とされています。ご先祖様に想いをはせながらお墓参りをしたり、寺院の法要に参加したりして過ごしましょう。
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