喪主とは、お葬式を主催する立場にある人、遺族の代表者のことを指します。喪主は葬儀の責任者になるため、責務が重いと思われる方は多いかもしれません。また、具体的な喪主の役割を認識できている方は少ないのではないでしょうか。
そこでこの記事では、通夜における喪主の役割について解説します。併せて、通夜の喪主挨拶の文例も紹介しますので、当日の挨拶にご活用ください。
<この記事の要点>
・喪主は、早めに会場入りし、葬儀社と進行確認後、受付の手配などを行う
・通夜開始後は、喪主から焼香し、通夜終了後は喪主が挨拶する
・挨拶する際は、忌み言葉に気を付けて、参列者への感謝を伝える
こんな人におすすめ
喪主を務める予定の方
喪主の挨拶の例文を知りたい方
通夜の際の喪主の服装や持ち物を知りたい方
亡くなった方の冥福を祈るために執り行う儀式に「通夜(つや)」があります。通夜とは、葬儀・告別式の前夜に、冥福を祈りながら故人を見守るものです。ここでは、通夜の詳しい内容や喪主の役割について解説します。
通夜とは、亡くなった翌日以降の葬儀・告別式の前夜に、故人との別れを惜しむ儀式です。親族や友人といった故人とゆかりの深い人たちが集まり、故人の冥福を祈ります。家族や親族が、夜通し灯りを消さずに故人を見守ることから「夜伽(よとぎ)」とも呼ばれていました。
かつては、ご遺体に変わりがないよう夜通し故人を見守る儀式でしたが、現在は夕方18時~19時ごろから開始する、2時間程度の「半通夜」が一般的です。
葬儀を主宰する遺族の代表者が喪主です。故人との関係が近しい人が務めます。故人の配偶者や子どもが選ばれるのが一般的ですが、子どもは長子でなくても問題ありません。長男に限定されていた昔とは違い、現在では同居していた子どもが喪主を務めることもあります。
喪主はその後の法要でも施主となることが多く、そのことを見越した上で決めることが大切です。
通夜の開始までに、喪主は葬儀社との打ち合わせや受付の準備などをこなさなければなりません。通夜が開始したら最初に焼香をしたり、参列者へ目礼をしたりする役割もあります。この章では、通夜の流れとともに、場面ごとの喪主の役割を見ていきましょう。
喪主は通夜が始まる2時間ほど前に会場入りするのが一般的です。葬儀社との会場の配置の確認、受付を依頼する方との顔合わせ、返礼品のチェックなどを始まるまでに済ませます。通夜の進行についても確認しておきましょう。
通夜の始まる30分ほど前から受付を開始します。喪主は事前に受付を依頼できる方の人選をし、前もって声を掛けておかなければなりません。
通夜の受付は弔問客の名前を確認したり、香典を受け取って返礼品をお渡ししたりするなど、とても大切な役割を担っています。受付は近所の方や友人、遠い親戚といった方にお願いするのが一般的です。その間喪主は、弔問客からの挨拶に対応することとなります。
参列者一同が着席し僧侶が入場したら、通夜が始まります。通夜の進行は葬儀社が担うことがほとんどのため、喪主は段取りを頭に入れておくだけでよいでしょう。
一般的な席順は、祭壇に向かって右側最前列の内側に喪主が座り、続いて遺族、親族と並びます。左側は一般席となるため、世話役の代表や葬儀委員長が最前列の内側に、その次に友人、知人と並んでいくのが一般的です。
通夜が開始したら、僧侶の読経があります。僧侶の読経が30分ほどしたところで司会の方から声をかけられるため、喪主から焼香をしましょう。焼香の順番は、喪主、遺族、近親者、一般弔問客と続きます。
なお、焼香の際に参列者からお辞儀をされたときは、相手の目を見ながら軽く頭を下げる目礼で挨拶をするのがマナーです。
参列者が焼香を終え、僧侶が退場したら通夜は終了となります。通夜終了時刻は、参列者の人数によって前後しますが、開始から1時間前後が一般的です。
通夜によっては、僧侶の退場後に喪主が挨拶するケースもあります。通夜が終了したら、遺族や親族も通夜振る舞いの席に移動しましょう。
通夜振る舞いとは、故人への供養と弔問客への感謝を示す食事のことです。通夜振る舞いには、僧侶にも同席をお願いします。僧侶が辞退された場合は、食事の代替として「御膳料(おぜんりょう)」をお渡しするのが一般的です。御膳料は、地域や宗派によっても異なりますが、5,000円~1万円程度が目安となります。
僧侶が退場したら、通夜の最後に喪主が挨拶するケースもあります。上手に話す必要はありませんが、忌み言葉や重ね言葉には注意が必要です。この章では、通夜の喪主挨拶で押さえておきたい、5つのポイントを紹介します。
喪主挨拶では、参列者への感謝の気持ちと、故人とのお付き合いのお礼を伝えることが大切です。加えて、故人亡き後も変わらぬお付き合いをしていただけるよう参列者にお願いするのもよいでしょう。
故人との思い出話や具体的なエピソードを入れると、まとまった挨拶になります。形式にとらわれ過ぎず、自分の言葉で話すと参列者の心に響くのではないでしょうか。
喪主挨拶は、あまり長くならないよう注意が必要です。喪主挨拶のメインとなる参列への感謝、通夜振る舞いの案内、葬儀・告別式の案内を入れ、長くても3分以内に抑えます。
翌日の葬儀や告別式に関するお知らせは重要です。送迎バスやタクシーなどの用意がある場合は、喪主挨拶で伝えておくとよいでしょう。
生死に関する直接的な表現や、不吉なことを連想させる言葉を「忌み言葉」といいます。忌み言葉は、通夜や葬儀の場で使用するのにふさわしくない言葉です。また、不幸が重なることを連想させる「重ね言葉」も喪主挨拶では、使わないよう注意しましょう。主な忌み言葉と重ね言葉を以下にまとめました。
重ね言葉 | 重ね重ね・ますます・次々・しばしば・再び |
生死に関する直接的な表現 | 死亡・急死・生存中は |
不吉なことを連想する言葉 | 九や四・浮かばれない・迷う |
人前で話すのが苦手な方にとって、喪主挨拶はハードルが高いものです。亡くなった方との関係が近ければ近いほど、普通に話をすることすら難しい状況にある方もいるのではないでしょうか。
通夜は準備期間も短いため、挨拶を暗記するのは困難です。喪主挨拶は原稿を見ながら話しても失礼には当たらないので、頭が真っ白になって大切なことを伝え忘れないようメモを活用しましょう。
お通夜と告別式の2回、喪主が挨拶をするケースも少なくありません。そのため、「挨拶文を2種類用意しておかなくては」と思われる方もいるのではないでしょうか。
しかし、お通夜と告別式ではどちらか一方しか参列しない方も多いため、挨拶は同じ内容でも問題ありません。
ただしお通夜の挨拶は、葬儀・告別式の時間や場所を伝えつつ手短にまとめることが必要です。故人との具体的なエピソードを入れた長めの挨拶は告別式の最後にお伝えすることをおすすめします。
喪主挨拶とひと口にいっても、一般的な挨拶から、手短に済ませたいときの挨拶、通夜振る舞いでの挨拶などさまざまなタイプがあります。この章では、状況に合わせて、3つの喪主挨拶の文例を紹介しますので、喪主挨拶をする際の参考にしてみてください。
お通夜における一般的な喪主挨拶の文例を紹介します。
「本日はお忙しい中、父〇〇のために参列いただき、誠にありがとうございました。
こうして皆さまにお集まりいただき、父もさぞ喜んでいることと思います。
父は、半年ほど前から胃がんの治療のため入院しておりましたが、〇月〇日、家族に看取られながら息を引き取りました。享年00歳でございました。
別れは寂しく、まだ信じられませんが、多くの友人に恵まれ、充実した生涯だったのではないかと感じております。
皆さまには生前、何かとご配慮をいただきまして、家族一同、深く感謝申し上げます。
生前の父の思い出などをお聞かせいただきたく、ささやかではありますが、別室にお食事の席をご用意しました。お時間が許される方は、ぜひお召し上がりくださいませ。
なお、明日の葬儀は10時より、当斎場で執り行います。お時間の許される方は、ご参列いただけると幸いです。本日は、ありがとうございました。」
「多くの友人に恵まれ、充実した生涯だった」との文章を入れることで、故人の人柄がわかる挨拶になっています。死因については伝えなくてもよいでしょう。
挨拶を手短に済ませたいときの文例を紹介します。
「皆様、本日はお忙しい中、ご参集いただき、誠にありがとうございます。
また、母への生前のご厚情に、心より感謝申し上げます。
亡き母に代わり、お礼申し上げます。
なお、葬儀・告別式は明日の10時より当斎場にて執り行いますので、ご都合のよろしい方は、ご参列いただけますようお願いいたします。
ささやかではありますが、別室に食事のお席を設けさせていただきました。
お時間が許される方は、お召し上がりいただければ幸いです。本日はありがとうございました。」
故人のエピソードを省略することで手短に挨拶を済ませられます。手短にしたいからといって早口になりすぎないよう気をつけましょう。
通夜振る舞いの場で、喪主挨拶をする場合の文例を紹介します。
「本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
生前、母が皆様にどれほどたくさんのご厚誼を賜っていたかを、思い出話の中からあらためて知ることができました。母になり代わり、厚く御礼申し上げます。
まだゆっくりとお過ごしいただきたいところではございますが、明日のご予定もあるかと存じます。誠に勝手ではございますが、本日はこの辺りで散会とさせていただきます。お気をつけてお帰りください。
なお、葬儀・告別式は、明日10時より当斎場で執り行います。ご都合のよろしい方は、ご参列をお願いいたします。本日は、ありがとうございました。」
通夜振る舞いでの挨拶は、参列への感謝や葬儀・告別式の連絡だけでなく、参列者の帰路を思いやるひと言を加えましょう。
葬儀で着用する喪主の装いは準喪服が一般的です。また、通夜には数珠やハンカチのほか、メモとペンがあると便利です。ここからは、通夜における喪主の服装や、持ち物について解説します。
葬儀においては準喪服の着用が一般的です。女性の場合は、黒喪服の着物という正喪服を着用することもありますが、男性の場合は正喪服のスタイルととることはまれになってきました。
準喪服は黒の一般的な礼服に白のワイシャツ、黒のネクタイ、靴下、靴というスタイルです。一方女性は、黒無地のワンピースやアンサンブルを着用します。
通夜には、数珠やハンカチを忘れないようにしましょう。読経や焼香をあげるときの必需品である数珠には、持ち主の念がこもっているとされるため貸し借りはできません。
また、ハンカチは、涙や手を拭くのに使います。かつては、葬儀におけるハンカチの色は白が主流とされていましたが、現在では派手なハンカチでなければ許容されるようです。女性の場合は、これらのアイテムを黒のバッグに入れて持参します。
喪主は、通夜の際にメモ帳とペンを持参すると便利です。葬儀社からの情報や連絡を忘れないよう記入したり、参列者や遺族とのやり取りに使ったり、喪主挨拶のときに使用したりするなどメモ帳には用途がたくさんあります。喪服のポケットに入るような小さなサイズのメモ帳とペンを持っておくとよいでしょう。
喪主の社会的立場によっては、名刺が役立つこともあります。胸の内ポケットに収まる程度用意しておくとよいでしょう。
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通夜で喪主は、進行を滞りなくするよう努める重要な役割を担います。また、通夜の挨拶をすることもあるでしょう。挨拶では、参列者への感謝を伝えようとする気持ちが大切です。
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