企業や役所に勤めていた人が逝去した際に、勤め先が遺族に支払う見舞金を死亡弔慰金といいます。また、従業員や役員はもちろん、その家族が逝去したケースに死亡弔慰金を支払う企業も存在するでしょう。さらに、死亡弔慰金と死亡退職金との違いについても気になるところです。
この記事では、死亡弔慰金の内容を詳しく解説するとともに、相場や渡す際のマナーについても紹介します。従業員を雇用している人にとっても参考になる内容ですので、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・死亡弔慰金とは、企業や役所が逝去した従業員やその家族に支給する見舞金の一つ
・非課税で遺族に支給され、相場は企業ごとに異なる
・死亡弔慰金に法的義務はないため、支給額は一律ではない
こんな人におすすめ
死亡弔慰金とは何かを知りたい方
死亡弔慰金の相場について知りたい方
死亡弔慰金を渡す際のマナーを知りたい方
「死亡弔慰金」とは、会社が福利厚生の一つとして支給する慶弔見舞金の一種です。企業で働く本人やその家族が逝去した際に支給されます。
しかし、法律で義務化されているわけではありません。そのため、死亡弔慰金の制度を取り入れていない会社もあるでしょう。とはいえ、支給しない会社はごく一部で、ほとんどの会社は規定として死亡弔慰金を取り入れていることが多いです。
企業が、逝去した社員や役員、またその家族に死亡弔慰金を支給することには、「所属していた故人の功労を認める」という意味合いがあります。また、災害に見舞われて亡くなった人に対して公的機関が支払う見舞金や、国会議員が逝去した際の見舞金、戦没遺族に対する見舞金も弔慰金の一つです。
企業で働いていた人が逝去した際に支給されるお金といえば、「死亡退職金」をイメージする人も多いでしょう。実は、死亡退職金と死亡弔慰金は別物です。その違いは、課税方法にあります。
死亡退職金には非課税枠が設けられていますが、その額を超過した部分については、相続税の課税対象として見なされるのが通例です。
一方、死亡弔慰金は、故人本人に対して渡される見舞金ではありません。原則として遺族に対する見舞金であり、相続税法によって定められた範囲内であれば全額非課税となります。ただし、退職金にあたるとされる部分があれば相続税の対象となるので注意が必要です。
つまり、亡くなった際にどのような形でお金を受け取るかによって、税制面で大きく異なります。特に、死亡退職金・死亡弔慰金の両方を受け取るケースでは、税金の処理方法について確認しておく必要があるでしょう。賢く処理しなければ、必要以上に高額な相続税を支払うことになりかねません。
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基本的に、死亡弔慰金は企業などの判断によって取り入れられる制度です。そのため、支給金額が一律に定まっているわけではありません。それぞれの企業の規定に沿って金額が決められるため、目安としてまとめるのは難しいでしょう。
とはいえ、相続税法によって定められている相当額の範囲を超えてしまうと課税対象となり、相続税を払わなければならなくなってしまうため、範囲内に抑えるように配慮している企業が多いようです。そのため、死亡弔慰金の相当額が上限と考えられるでしょう。
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死亡弔慰金は、いくつかの理由によって金額が変動します。例えば、出張や通勤を含む業務中に亡くなった場合では、業務外に亡くなった際と比べて高くなるでしょう。そのほか、勤続年数に比例して金額が設定されていることもあります。
また、比較的規模の大きな企業においては、団体保険に加入していることもあります。この場合、社員が被保険者であり、企業が契約者と受取人になります。社員が亡くなると、死亡保険金が企業に入ることにより、加入していないケースの死亡弔慰金より高額になる可能性が高いのが特徴です。
死亡弔慰金は、どのようにして受け取るのでしょうか。続いては、遺族側が弔慰金を受け取る際に行う手続きについてまとめます。申請方法や受け取る時期なども含めて、紐解いていきましょう。
基本的には、受け取る上で遺族がしなくてはならない手続きはありません。申請書はあるものの、ほとんどの場合は所属部署の上司や担当者が代理で申請をします。本人ではなく家族が逝去した場合の死亡弔慰金に関しては、社員である本人が申請することもあります。
また、公的な死亡弔慰金に関しては、遺族が市町村に対して申請する必要があります。自治体によっては、申請書と合わせて死亡届を提出する必要があるため、まずは当該自治体に確認することが大切です。
葬儀が終わってひと段落ついた頃に渡されることが多いでしょう。そのため、葬儀の当日や亡くなってすぐに受け取れるものではありません。
とはいえ、葬儀に駆けつけた同僚や上司から手渡されることも考えられます。死亡弔慰金についてはお返しをする必要がないため、香典とは区別して管理するように心がけましょう。
死亡弔慰金の支給方法は、企業や行政によって異なります。一般的には、現金で支給するか振込といった方法をとります。
現金の場合は、「弔慰金」と表書きされた封筒で渡されるのが通例です。ただし、高額になる場合は「目録」と書かれた空の封筒を渡され、別日に振り込まれます。
振込の場合は、給与が振り込まれていた口座に振り込まれるのが一般的です。
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会社を経営している人や経理事務等で働いている人は、死亡弔慰金を渡す機会もあるでしょう。渡すときは、遺族の気持ちを配慮しながらマナーを守って渡すことが大切です。続いては、死亡弔慰金を渡す際に、気をつけておきたいマナーについて紹介します。
社員やその家族が亡くなると、企業からも香典を出します。ここで、死亡弔慰金はいわゆる福利厚生の一環であり、香典とは異なることを念頭に置いておかなければなりません。香典は一般的に葬儀当日に渡しますが、死亡弔慰金は葬儀を終えた頃に渡すのが適切です。
葬儀当日は、遺族が忙しいことも多く、心情を考えるとお渡しするのは避けたほうがよいでしょう。そのため、葬儀が終わってひと段落した頃にお渡しするのがマナーです。ただし、企業によっては葬儀の際に渡すことを決めているところもあるため、一概にはいえません。
死亡弔慰金を現金で渡す場合には、中袋の中にお札と目録を入れるのが通例です。中袋は無地の封筒を使いましょう。そして、不祝儀袋に包んで水引を抱えてお渡しします。水引の色は香典と同様で、金額に応じて銀色、黒白、黄白のものを選びましょう。
また、中に入れるお札は新札を避ける必要があります。急なことで旧札が用意できない場合は、新札に折り目を入れれば問題ありません。
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死亡弔慰金をお渡しする際に使う不祝儀袋は、香典と同じように書き方が決まっています。書き方を把握して、遺族に不快な思いをさせないように心がけましょう。続いては、死亡弔慰金における不祝儀袋の書き方を紹介します。
死亡弔慰金は、その他の葬儀関連と同じく薄墨を使って書くのが一般的です。この薄墨には、故人を思って涙で墨が薄まったといった意味や、突然の訃報に墨を擦るための十分な時間が取れなかったといった意味が込められています。
ただし、お渡しする時期が葬儀よりも後になるため、風情のある和紙を使った不祝儀袋を使う場合や薄墨が用意できなかった場合は、通常の墨でも問題ありません。
表書きは、死亡弔慰金を現金でお渡しするか振込にするかで異なります。まず、現金でお渡しする場合は、表書きに「弔慰金」と書くのが通例です。「御香典」や「御霊前」などと間違わないように注意しましょう。
一方、振込の場合は、目録だけが入った封筒をお渡しするため、表書きに「目録」と書くことがあります。福利厚生という性質上、宗教とは無関係です。そのため、香典とは異なり、故人の宗教や宗派を意識する必要はありません。
一般的に、死亡弔慰金の中袋には、包んだ金額を書きます。ここで書く金額は、香典と同様に旧字体の漢数字を使いましょう。算用数字で書くのはマナー違反にあたるため、注意が必要です。
また、目録を書く場合は、一番右端に「弔慰金」と書きましょう。その横に、大きめのサイズで包んだ金額を書きます。続いて、弔慰金を渡す期日と企業名を書き、最後に亡くなった方の名前を書くのが通例です。
死亡弔慰金は香典とは異なり、個人が渡すお金ではありません。企業として渡すものであるため、代表者の名前を書く必要はありません。
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死亡弔慰金は、ほとんどの企業で導入している福利厚生制度の一環として支払われるお金です。香典とは別に受け取るため、知らないと驚かれることもあるでしょう。また、慌てて返礼品を用意してしまう可能性も考えられます。しかし、香典とは性質が異なることを把握しておけば、いざとなったときに慌てることはありません。
また、税金上の問題もしっかり把握しておくと、払わなくてもいい税金を払わなくて済みます。家族が亡くなると、悲しみの中でたくさんの手続きをしなければならず、費用もかかります。いただける死亡弔慰金が役立つというのが本当のところでしょう。
こうした背景から、遺族側だけでなく、企業側も死亡弔慰金について正しく理解しておくことでスムーズにお渡しできます。
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