葬儀に参列した際に香典を渡しますが、葬儀に参列できない場合は、どうすればよいのでしょうか。また、香典を郵送することはマナー違反ではないのか心配になる方もいるかもしれません。
香典を郵送してもよいのか、マナー違反にならないのか、確かな知識を持っていれば、安心してお悔やみの気持ちを示すことができるでしょう。そこでこの記事では、香典の郵送時のマナーや注意点、香典に添える挨拶文の書き方や文例までを詳しく解説します。
<この記事の要点>
・葬儀に参列できない場合は、香典を郵送してもよい
・香典を郵送する場合は現金書留で送り、挨拶状を添えるのがマナー
・香典を郵送する際は葬儀終了後、2~3日から1週間の間を目安に送る
こんな人におすすめ
香典とは何かを知りたい方
香典の郵送時のマナーや注意点について知りたい方
香典に添える挨拶文の書き方を知りたい方
葬儀に参列したら香典を渡すのが当たり前になっていますが、もともとどのような意味を持つ物で、なぜ香典を持っていくのでしょうか。香典の郵送について解説する前に、香典とは何かについて考えてみましょう。
まずは、香典の本来の意味と、現代の葬儀における香典の意味について解説します。
香典とは、正式には「香奠」と書き、「こうでん」と読みます。「香」は「仏前にくゆらす香」のことであり、「奠」には「神仏などに供える物」という意味があります。 すなわち、「香奠」とは、「香・線香の代用として霊前に供える金品」のことです。
「奠」が常用漢字ではないために、「香典」と表記されるようになりました。元々は、飲食物を贈り、死者と共に飲食するという意味を持っていました。葬式が飾り立てて執り行われるようになってからは、葬儀にかかる費用を分担するという意味を持つようになり、金銭を渡すようになりました。
現在では、香典とは、仏式の葬儀において死者の霊前に供える金品のことです。葬儀に参列し、受付で香典袋に入れた紙幣を渡します。
香典の持っている意味は、故人への感謝の気持ちを形にすることや、葬儀費用を含めて遺族を応援すること、浄財として捧げ自分自身の功徳にもなることなどです。
葬儀に参列した場合には、香典を手渡ししますが、葬儀に参列できない場合には、どうすればよいのでしょうか。香典だけでも郵送したほうがよいのか、それとも、郵送するのはマナー違反なのか判断に迷うかもしれません。
そこで、香典を郵送してもよいのか、郵送するとしたらどのような注意点があるかなど、香典の郵送時のマナーについて解説します。
事情があり葬儀に参列できない場合に、香典を郵送するのはマナーに反することではありません。例えば、遠方に住んでいる、体調が悪い、出張中であるなどの事情により参列できないことがあります。
本来であれば、葬儀に参列して香典を持参したいところですが、参列できなくても、お悔やみの気持ちを届けるために香典を郵送しましょう。
香典は現金ですから、郵送する場合には普通郵便や宅配便などではなく、現金書留で送らなければなりません。ただし、現金を直接、現金書留用封筒に入れないように注意しましょう。
まず、現金を香典袋に包み、自分の住所と氏名を記入します。それを現金書留用封筒に入れ、封筒にも自分の住所と氏名を記入しましょう。一般的なサイズの不祝儀袋であれば、現金書留用封筒に収まります。以上の準備ができたら、郵便局の窓口に持って行き発送します。
香典を郵送する際に、挨拶文を添えましょう。必要とされる物ではありませんが、相手へのお悔やみの気持ち、心遣いを示すことができ、丁寧な印象を持ってもらえます。挨拶文は、現金書留用封筒に香典と一緒に入れて郵送することができます。
香典の包み方には決まったマナーがあります。難しいものではありませんが、喪家の宗教に合わせて準備をする必要があります。葬儀に参列して香典を手渡す場合でも、香典を郵送する場合でも、基本的な香典の包み方を押さえておきましょう。
ここからは、宗教別の香典袋の種類、お札の入れ方、香典袋の表書きについて解説します。
香典袋には宗教によって異なる種類があります。喪家が信仰している宗教に合わせて準備をし、失礼にならないように注意しましょう。宗教別の香典袋の種類と水引は以下の通りです。
袋の種類 | 水引 | |
仏教 | 無地・蓮の花が描いてある | 黒白か双銀の結び切り |
神道 | 白無地 | 黒白か双銀の結び切り |
キリスト教 | 白無地・十字架の絵が描いてある | 不要・黒白の結び切り |
宗教が不明の場合 | 白無地 | 黒白か双銀の結び切り |
お札を入れる向きは、肖像画のある面を下にして揃えましょう。また、新札を包むことはマナー違反とされています。不幸があることを予測して準備していたという印象を与えてしまうからです。
ただし、シワの多い古びたお札もお供えとしてはふさわしくないので注意が必要です。きれいなお札に折り目のついたものを使用します。新札であれば一度自分で折りましょう。また、同じ種類のお札を入れるのが一般的です。
香典袋の表書きは、宗教ごとに以下のようになります。注意点としては、浄土真宗では「御霊前」は使用せずに「御仏前」と書きましょう。キリスト教では、カトリックの場合は「御ミサ料」、プロテスタントの場合は「忌慰料」と書きましょう。
仏教 | 御香典、御霊前、御香料、御仏前(浄土真宗) |
神道 | 御香典、御玉串料、御榊料、御霊前 |
キリスト教 | 御花料、御霊前、御ミサ料(カトリック)、忌慰料(プロテスタント) |
宗教不明 | 御霊前 |
また、表書きや氏名は、毛筆で書くのが正式なマナーです。墨は薄墨を使用します。これは、「故人を思って涙が出て墨が薄まってしまった」という意味を表しています。薄墨の筆ペンや、表書きの印刷された香典袋はどちらも市販されています。
香典は準備ができたらただ送ればよいというものではありません。早く送った方がよいのかどうか、郵送するのに適切なタイミングを考えなければなりませんし、どちら宛に送付したらよいのか迷うこともあるでしょう。
ここからは、郵送するタイミング、送付先、郵送にかかる費用について解説します。
基本的にはなるべく早く香典を郵送する方がよいでしょう。遺族が落ち着いてからと考えて、しばらく経ってから送ったのでは、忘れていたのかと思われてしまうかもしれません。
ただし、葬儀直後は遺族は忙しいため、少し時間を置いてから送るとよいでしょう。葬儀終了後、2~3日から1週間の間あたりが適当なタイミングです。
香典の送付先は、喪主の自宅か葬儀会場です。ただし、葬儀会場へ送る場合は、日程に余裕があり、葬儀当日に間に合うことを確認してからにしましょう。
葬儀会場へは、「○○斎場気付 ○○家 ○○様」として気付で送ります。遺族が会場で受け取る場合もありますが、葬儀会場のスタッフが代理で受け取ることもあります。葬儀会場によっては、現金書留を受け取ってくれないケースもありますので、事前に確認しておきましょう。
また、宛名は喪主となりますが、喪主の名前が分からない場合は、「◯◯(故人の名前)ご遺族様」と記します。
香典を郵送するのに必要な費用はいくらなのでしょうか。まず、現金書留用封筒を21円で購入します。通常の基本郵便料金に加えて、現金書留料金が加算されます。損害要償額1万円までが480円で、それ以上の金額の場合は、5,000円ごとに11円ずつ料金が加算されます。
香典を郵送する際には挨拶文を添えて、丁寧な印象を持ってもらいましょう。香典を郵送する際に添える挨拶文には書き方のポイントがあります。せっかく挨拶文を同封するのですから、ポイントを押さえて相手に弔意が伝わるような内容にしましょう。
ここからは、挨拶文の注意点、書き方、内容について詳しく解説します。
挨拶文は、薄墨を使って筆で書きましょう。香典袋の表書きと同様に、「故人を思って涙が出て墨が薄まってしまった」という意味を表します。薄墨の筆ペンでも構いません。
便箋は、白無地の縦書き用を1枚使用し、三つ折りにして封筒に入れましょう。封筒は、白無地で一重のものを使います。これは、二重の封筒を使うと「不幸が重なる」とされるためです。この封筒を現金書留用封筒に、香典袋とともに同封して郵送します。
忌み言葉とは、不幸を繰り返すことを連想させてしまうため、使用を控えた方がよいとされるものです。香典に添える挨拶文では使わないように注意しましょう。
具体的には、以下のような言葉が忌み言葉です。
重ね言葉 | 「たびたび」「ますます」「重ね重ね」「くれぐれも」など |
不幸が重なることを連想させる言葉 | 「追う」「再び」「さらに」「また」など |
直接的に生死に関わる表現 | 「つらい」「不幸」「死ぬ」「生存」など |
数字 | 「九」や「四」 |
頭語とは、手紙の書き出しの語で「拝啓」などのことです。また、結語とは手紙の締めくくりの語で頭語と対になる「敬具」などのことです。香典に添える挨拶文では、頭語も結語も省略するのがマナーです。「合掌」のみは、結びの言葉としても使って構いません。
また、時候の挨拶や安否についてなどの前文も書かずに、すぐに本題である、故人が亡くなった悲しみを分かち合う内容を書きましょう。
挨拶文の本文の内容として、どのようなことを書いたらよいのでしょうか。大きく分けて、以下の3点となります。
個人への弔意 | 訃報を聞いた悲しみや、故人を悼む気持ちについて述べます |
遺族への慰め | 個人を失った遺族を気遣い、励ましましょう |
葬儀に参列できないことに対するお詫び | 葬儀に参列できない理由を述べた上で、参列できずに手紙にてお悔やみを伝えていることに対するお詫びを述べます |
香典に添える挨拶文の書き方を踏まえて、実際にどのような挨拶文を書いたらよいのでしょうか。挨拶文は、どのような場合に書くのかによって内容が異なります。
葬儀に参列できない場合、葬儀後に訃報を知った場合、簡潔に書く場合のそれぞれについて、具体的な文例を紹介します。
◯◯様のご逝去の訃報に接し、ただ驚いております。
春にお会いした際には、変わらずお元気な様子でした。もっとお話ししたいこともございましたのに、お別れとなってしまったことが残念でなりません。
優しく穏やかなお方であっただけに、ご遺族の皆様の悲しみは、いかばかりかとお察し申し上げます。
さぞお力落としのことでしょうが、皆様のご自愛を切望するものでございます。
本来であれば、すぐにでも駆けつけたいところでございますが、諸事情により葬儀に参列することがかないませんこと、大変申し訳なく思います。
心ばかりのものを同封いたしましたので、御霊前にお供えいただければと存じます。
◯◯様がご逝去されたことも存じ上げず、葬儀に伺うこともできず申し訳ありませんでした。
遅ればせながら◯◯様のご冥福をお祈りしたいと思います。
優しく穏やかなお方であっただけに、ご遺族の皆様の悲しみは、いかばかりかとお察し申し上げます。
取り急ぎ、心ばかりのものをお送りいたします。
謹んで◯◯様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
◯◯様のご訃報に接し、ご遺族の皆様の悲しみをお察し申し上げます。◯◯様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
諸般の事情により葬儀に参列できない無礼をお許しください。
心ばかりのものを同封いたしましたので、御霊前にお供えいただければと存じます。
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この記事では、香典の郵送時のマナーや注意点について解説しました。郵送の際には、挨拶文を添えて、相手へのお悔やみの気持ち、心遣いを示します。書き方のポイントを押さえて、丁寧な印象を持ってもらえるように心がけましょう。
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