葬儀の際には、位牌の準備も必要です。位牌には戒名を記すため「どのような戒名をつけるか」について考える方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では戒名をつけるタイミングや位牌への入れ方、宗派による違いについて解説します。文字入れの種類や完成するまでの期間についてもまとめているのでぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・戒名とは、仏教において故人が極楽浄土へ迷わず行けるようにするための名前のこと
・戒名は、表に梵字・戒名・没年月日を記し、裏に俗名と亡くなった年齢を記載するのが一般的
・戒名は「院号」「道号」「戒名」「位号」の4つから構成される
こんな人におすすめ
位牌の戒名の仕組みについて知りたい方
宗派ごとの位牌の戒名が知りたい方
戒名とはお釈迦様の弟子となった証として、あの世へいくためにつけられる名前です。仏教では、俗名とは異なる名前にすることで迷わず極楽浄土へ行けると考えられています。
一般的に戒名をつけるのは、菩提寺の僧侶です。亡くなったあと、お通夜の間に名付けられるケースが多いでしょう。ただし、戒名なしで葬儀をした場合や「あとから戒名をつけたい」と希望する場合もあるかもしれません。その場合は葬儀社や僧侶に相談して、追善供養のタイミングでつけることも可能です。
戒名が決まったら、位牌にどのように文字を入れればよいのでしょうか。ここではケース別に、戒名の入れ方の例を紹介します。地域や宗派によってレイアウトが異なるため、ぜひ参考にしてみてください。
位牌に1人分の戒名を入れる場合は、下記の表のように表と裏に文字を入れます。
表 | 梵字、戒名、没年月日 (※梵字:神仏を表わす文字) |
裏 | 故人の俗名、亡くなった年齢 |
裏に没年月日を入れたり、宗派によって梵字を戒名の上に入れたりする場合もあります。また、亡くなった年齢を「数え年」と「満年齢」どちらにするかは、依頼する際に確認が必要です。
夫婦の戒名を1つの位牌に入れる「夫婦位牌」には、2人分の情報を書きます。文字入れの方法は「交差型」と「真裏型」があるため、それぞれの特徴を確認してみましょう。
表 | 梵字 ・右側:夫の戒名と没年月日 ・左側:妻の戒名と没年月日 |
裏 | ・右側:夫の俗名、亡くなった年齢 ・左側:妻の俗名、亡くなった年齢 |
表 | 梵字 ・右側:夫の戒名と没年月日 ・左側:妻の戒名と没年月日 |
裏 | ・右側:妻の俗名、亡くなった年齢 ・左側:夫の俗名、亡くなった年齢 |
先祖代々の位牌を1つにまとめる場合は、三十三回忌もしくは五十回忌を目途に移すのが主流となっています。「弔い上げ」により故人の魂をご先祖様の魂として供養してから、先祖位牌に移しましょう。
表 | 〇〇家先祖代々之霊位 |
裏 | (何も書かない) |
先祖位牌の場合、没年月日や亡くなった年齢は書かず、裏面には文字入れしないのが一般的です。
無宗教の方は、戒名なしの位牌を選ぶケースもあるでしょう。戒名なしの場合は、俗名を入れる「俗名位牌」を用意します。札板には本名をそのまま記すか「(故人の氏名)之霊位」をつけるのが一般的です。
表 | 俗名+「之霊位」、没年月日 |
裏 | 亡くなった年齢 |
戒名は、主に「号」のつく4つの要素で構成されています。ここでは、それぞれの意味と何番目の要素かについて解説しています。
院号は戒名の中でも最も高い位で「○○院」と表記され、もともとは身分の高い方に与えられていました。より格上の方に対しては、院殿号を入れて「○○院殿」と表すこともあります。
現代でも菩提寺に貢献した方や社会的な貢献を認められた方には、院号を用いた戒名が与えられます。ただし、一般の方にはあまり用いられることはないでしょう。
悟りを開いた者に与えられるものが道号です。院号・院殿号がない場合は、こちらを戒名の最初に持ってきます。道号は、故人の人柄を表したり称えたりするのが特徴です。「光・翁・寿」といった漢字や場所を示す「海・山・月」といった文字もよく用いられます。
墓石や位牌に刻む名前を総合して「戒名」と呼ぶことが一般的ですが、本来の戒名の意味は道号の次に付ける2文字のことを指します。
この2文字のうち1文字を現世の本名から取り、1文字を仏様や経典から拝借し合わせて戒名とするのが通例です。生前の職業を表す漢字や先祖代々受け継いできた漢字を用いることもあります。
最後につくのが位号といい、敬称を表わす文字です。社会貢献が認められた方には、位が高いとされる「位号」が与えられます。また、成人は性別や年齢などによって変わります。子どもの戒名は、成人とは異なったルールによってつけられます。
【成人の場合】※位が上の順
男性の場合:大居士、居士、信士
女性の場合:清大姉、大姉、信女
【子どもの場合】
男子~15歳まで:童子・大童子など、4歳~5歳以下:嬰児・孩児など
女子~15歳まで:童女・大童女など、4歳~5歳以下:嬰女・孩女など
水子や乳児:水子
戒名のつけ方は、宗派によって違いがあります。また梵字(神仏を表わす文字)を入れる場合と入れない場合があるため、それぞれの宗派のルールを事前に確認しておきましょう。
浄土真宗では「院号→釈号→法名」で構成された法名を仏弟子の証として与えます。道号はなく、法名の上には「釈号」を入れるのが特徴です。また阿弥陀如来(あみだにょらい)の教えにより「位号」をつけない点も他の宗派と異なります。
真言宗の戒名の構成は「梵字→院号→道号→戒名→位号」です。戒名の1文字目に大人だと「アの梵字」、子どもだと「カの梵字」が入ります。男女の違いはなく、「アの梵字」は「大日如来(だいにちにょらい)」、「カの梵字」は「地蔵菩薩(じぞうぼさつ)」を意味しています。
浄土宗の戒名の基本的な構成は「院号→誉号→戒名→位号」です。浄土宗の戒名には、道号ではなく「誉号(よごう)」を用いる場合があります。「〇誉」と入るのが一般的ですが、お寺によっては特殊文字に変換されるようです。
日蓮宗の場合は主に「院号→道号→法号(日号)→位号」による構成で、宗祖・日蓮聖人に関連する「法号(日号)」をつけるのが特徴です。一般的には男性に「法〇」、女性に「妙〇」といった道号が用いられ、そのあとに「日〇」という日号をつけます。
文字入れの方法には、主に「機械彫り」と「手彫り」があります。それぞれの特徴を踏まえて、依頼するとよいでしょう。ただし、必ず取扱いがあるとは限らないため、希望のある方は依頼する際に確認が必要です。
もっとも一般的な手法は機械彫りです。文字が均等に揃っており劣化もしにくいため、文字入れの手法としてよく選ばれています。
また、手書きの風合いを出す「手書き風機械彫り」も存在します。かかる期間は、おおよそ1週間程度をみておきましょう。
手彫りによる文字入れは、味わいのある書体が魅力です。職人による手作業での文字入れ後、漆の乾燥前に純金粉を蒔きます。手彫りは完成まで2週間ほど必要になるため、早めに依頼しましょう。
僧侶に戒名を依頼する場合には、お布施として「戒名料」を渡します。ただし、お礼の気持ちとして渡すため厳密にはいくら渡すといったきまりがなく、戒名のランク(位号)や宗派によっても戒名料の目安は異なります。金額は数万円~100万円と大きな幅があるため、菩提寺がある場合は事前に確認しておきましょう。
インターネット戒名授与サービスを利用したり、自分で戒名をつけたりすることも可能ですが、菩提寺に相談して決めるのが一般的です。
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位牌への戒名の入れ方は、1人分・夫婦位牌・先祖位牌で異なります。戒名の種類や位、宗派ごとの違いなどの基本知識を身につけておくと、いざというときに焦ることはないでしょう。また、戒名のつけ方や依頼方法、またお布施の目安については、菩提寺に確認することをおすすめします。
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