宗教や宗派によって、故人を弔うための葬儀や法要は異なります。真言宗は、仏教の中の宗派のひとつです。葬儀の際に故人の宗派が真言宗だと、はじめて知ったという方もいるでしょう。葬儀後に執り行われる真言宗の法要について、詳しく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
真言宗の法要をきちんと把握しておくことで、余裕をもって法要の準備ができます。法要について知らずに、直前になってから慌てて準備をすると、法要の準備や内容に不備がでるかもしれません。そこでこの記事では、真言宗の葬儀後に執り行う法要についてご紹介します。
<この記事の要点>
・故人が亡くなってから忌明けの法要まで7のつく日に7回の法要が行われる
・葬儀後に行う法要で一番初めの法要が初七日法要である
・故人が亡くなってから2年目に執り行う法要は三回忌という
こんな人におすすめ
真言宗とは何かを知りたい方
真言宗の法要ついて知りたい方
真言宗の葬儀の流れを知りたい方
真言宗は「真言密教」といい、平安時代の初期に弘法大師空海によって大成した教団です。真言とは、「真実の言葉」という意味をもっています。
この世には人間の言葉では表現しきれない、さまざまな事象に隠された意味があり、その真実の意味が「真言」です。真言を知ることができる教えが「密教」だと弘法大師は説いています。
密教では仏や菩薩たちを法身仏と呼び、宇宙の真理そのものであるという認識です。法身仏から、直接心理の智慧を聞くことが、悟りの境地だと考えられています。仏と宇宙がこの世に加えている不思議な力を前提として、仏の智慧を悟ることで、自分自身に徳を積んでこの世の救済や幸せを考える実践的な宗教です。
真言宗について簡単に理解したところで、葬儀後に執り行われる法要についてご紹介します。葬儀後の法要を執り行うにしても、実生活が絡んでくるので、前もって法要の予定を把握しておくことは重要です。
余裕をもって法要の計画を立てたり、準備をしたりできます。余裕をもって法要の案内を出すことで、法要に参列する方の予定も立てやすくなるでしょう。
故人が亡くなってから、忌明けの法要まで7のつく日に7回の法要があります。初七日、二七日忌、三七日忌、四七日忌、五七日忌、六七日忌の合計7回です。7日ごとに供養をすることで、死者の追善供養ができるといわれています。この一番初めの法要が初七日法要です。
初七日などの法要日数の考え方は地域によって異なります。日数の数え方に不安がある場合は、お世話になっているお寺の僧侶や葬儀会場のスタッフに聞くとよいでしょう。ただし、最近では参列者のことを考えて葬儀の当日に初七日法要を執り行う傾向にあるようです。
真言宗では、三十五日法要の日に六道の世界のどこにゆくのか決める5回目の裁判があります。故人が生まれ変わるための条件を決める7回目の裁判が行われる日が四十九日法要の日です。
現在では四十九日法要のみ執り行うケースが増えています。四十九日法要の際には親族も招待するので、集まりやすい日取りにしましょう。四十九日法要は、忌明けの日です。四十九日の当日に法要ができない場合、四十九日より前に法要を執り行うのが一般的なので、覚えておきましょう。
故人が亡くなってから100日目に執り行われる法要が百カ日法要です。この日に地獄の裁判官である十王の1柱、「平等王」が故人の再審を行う日だといわれています。ただし、遺族などからの供養がなければ、再審を受けることはできません。
百カ日法要の日に遺骨を納骨する埋葬法要を合わせて執り行うケースが多い傾向にあります。新しくお墓を建てた場合は、このほかに石塔開眼法要を執り行わなければなりません。法要について不安な場合は、菩提寺や葬儀を引き受けてくれた寺院の僧侶に質問するとよいでしょう。
故人が亡くなってから1年後の法要が一周忌です。この日は、地獄の裁判官である十王の中の1柱、「都市王」から故人の再審を行う日だといわれています。百カ日と同じく、遺族などからの供養がなければ、再審を受けることはできません。
故人が亡くなった日から1年後の同じ日である祥月命日に親族を招き、僧侶からお経をあげてもらうのが一周忌法要です。平日が祥月命日の場合、遺族や親族が集まりにくい場合があるでしょう。そのような場合は、一周忌のより前の日取りで一周忌法要を執り行います。祥月命日より後に一周忌法要を行うことはないので、注意が必要です。
故人が亡くなってから、2年目に執り行う法要を三回忌といいます。三回忌という名前から、故人が亡くなってから3年目だと勘違いする方が多いので、気をつけましょう。
この日は、地獄の裁判官である十王の中の1柱、「五道転輪王」から故人の再審を行う日だといわれています。百カ日や一周忌と同じく、遺族などからの供養がなければ、再審を受けることはできません。
遺族は親族などを招待して、僧侶からお経をあげてもらいます。招待する方が出席しやすい日取りで執り行うようにしましょう。一般的に、三回忌も祥月命日より前に日取りを調整します。
故人が亡くなってから、6年目に執り行う法要が七回忌法要です。三回忌から後は、3と7がつく法要を続けていきます。ただし、三回忌が2年目で行われるので、注意が必要です。三回忌からの数え方は故人が亡くなった年数から1年差し引くことを覚えておきましょう。
四十七回忌までの法要が終わったあとは、五十回忌を執り行います。それ以降は、百回忌まで法要はありませんので、覚えておきましょう。百回忌などは子孫が受け継いで執り行う法要です。寺院によっては、檀家に対して法要の案内をしてくれるので、それを参考にしてもよいでしょう。
同じ仏教でも、宗派の影響を受けて、内容が異なるのは法要だけではありません。葬儀の流れも宗派によって異なります。
将来、喪主や遺族の立場になるかもしれません。真言宗の葬儀の流れを知っておけば、葬儀の進行を踏まえながら、スムーズに葬儀を執り行えるでしょう。ここでは、真言宗の葬儀の流れについてご紹介します。
ここでご紹介する過程は、葬儀を執り行う際に僧侶が行う準備のことです。最初に身体についているけがれを取り除くために、お香を塗ります。これが塗香(ずこう)です。
次に、三密観(さんみつかん)という「吽」の字を身体と口と意に置きます。その後、護身法(ごしんぼう)と呼ばれる儀式を行わなければなりません。これは、五種類の印を結んで、心身を整えるために必要な儀式です。
その後、加持香水(かじこうずい)の法という祈りを行います。これは、浄める際に使用する香水を浄化する大事な祈りです。これらの準備を行って、僧侶は葬儀へと取りかかります。
こちらの過程も主に僧侶が取り仕切るので、葬儀の様子を見守りましょう。三礼文を唱えて仏法僧を礼拝するのが三礼(さんらい)です。
その後、仏をたたえて、教化を願ったり、葬儀の成就を祈ったりすることが表白(ひょうはく)をします。ここで、故人へ思いを込めることもするそうです。
神分(じんぶん)といって、仏や菩薩の名前を唱え、降臨に対する感謝を表します。声明(せいめい)とは、仏教を賛美する音楽のことです。仏典に節をつけた音楽のことを指します。
故人が真言宗に帰依することを認める儀式です。これを授戒(じゅかい)といいます。僧侶は(げもん)を唱えながら故人の頭を、カミソリを使って髪の毛を剃る儀式です。
ただし、剃るといっても髪の毛をすべて剃るわけではありません。実際に故人の髪をどうするかは、僧侶によって変わってきます。気になる方は、葬儀の前に僧侶本人か、葬儀場のスタッフをとおして質問してみるとよいでしょう。故人の剃髪が終わったあとに授戒が終わると、授戒名を授かります。これで、故人が真言宗に帰依したことになります。
授戒の儀式が終わったあとは、引導の儀式です。再びここで、仏教の教化、葬儀の成就や故人を想う神分が行われます。その後、神分をもう一度行うので、遺族は僧侶の儀式に合わせて仏や菩薩の降臨に対する感謝を心の中で伝えるとよいでしょう。
不動灌頂(ふどうかんじょう)と弥勒三種(みろくさんしゅ)の印を授かり、故人の即身成仏を願う儀式です。遺族は、故人が即身成仏できるように、きちんと祈りましょう。引導の儀式の最後に僧侶が理趣経(りしゅきょう)を唱えます。これで、引導の儀式は終了です。
次に位牌の開眼を行う儀式を行います。破地獄の印明(はじごくのいんみょう)は、故人の心の中にある煩悩を破砕する儀式です。
五鈷杵授与偈文(ごこしょじゅよげもん)という道具が授けられます。本来は、生前に結縁潅頂(けちえかんじょう)を授かるのですが、故人となっているので、如来の五智を表現した五鈷杵を授けることで、灌頂とするようです。
金剛界胎蔵秘印明(こうごうかいたいぞうひいんみょう)と大師御引導の大事偈文(だいしごいんどうのたいじげもん)によって引導の印明、偈文を授かり、即身仏の境地へと引導されます。これは、真言宗引導の中心です。この後に、位牌の開眼と血脈の授与が行われます。
僧侶が諷誦文(ふじゅもん)を読む儀式です。諷誦文とは、故人が生前に積んだ功徳や功績をたたえて、成仏を願う文のことをいいます。儀式の中で故人を偲ぶ時間帯になるので、諷誦文を聞きながら、生前の故人との思い出などに心をはせてもよいでしょう。そのあとに読経が行われますが、同時に遺族や親族、参列者の焼香が行われます。
葬儀の進行によっては、焼香の前に弔辞や弔電が読まれるようです。葬儀会場のスタッフに事前に確認しておくとよいでしょう。焼香が終わったあとは、故人が都率浄土にて往生できる祈願が行われます。
最後に出棺の儀式です。流れによっては、故人の顔を見て最後の別れを告げる時間になるかもしれません。心の残りとならないように、しっかりと最後の別れを済ませましょう。
弘法大師から伝わる導師最極秘印(どうしさいごくひいん)という印を結ぶ儀式を行います。これは、諸菩薩をおかえりいただくためや、故人を都率浄土へと送るための儀式です。指を3回鳴らして魂を抜く撥遣(はっけん)を行います。最後に故人へ花を供えて、出棺の儀式の終了です。
お通夜や葬儀が終わっても、遺族はやらなければならないことがいくつかあります。葬儀が無事に終わっても、気は抜けません。葬儀後にさまざまな手続きを修了しておかなければ、損をしてしまうこともあります。
ほかにも、不要なトラブルを招くおそれもあるでしょう。ここでは、葬儀後に忘れずにやっておかなければならないことについてご紹介します。ぜひ、ご活用ください。
死亡保険年金の請求や、年金の支給停止の手続きを行いましょう。特に年金の支給停止手続きを忘れていると、不正受給の対象になるかもしれません。罰則を受けるおそれもあるので注意しましょう。
生命保険や年金の手続きには、期限が設けられています。死亡保険年金の請求は比較的、期限は長いようです。年金など行政がかかわるものの期限は、比較的短い場合が多いので、優先順位を決めて、手続きを行うとよいでしょう。
銀行口座や不動産、公共料金の名義変更は、期限が設けられていませんが、比較的早く手続きを行わなければなりません。特に銀行口座や不動産は、相続に深くかかわってきます。不要なトラブルを避けるためにも、迅速に手続きを行いましょう。
不動産や銀行口座の名義変更は、故人の除籍謄本や相続人全員の功績謄本など、必要書類が多くなるようです。必要書類を揃えるだけでも時間がかかる場合もあります。手続き前に必要書類について、調べておくとよいでしょう。
葬儀後は、参列者からいただいた香典を計算し、香典返しを行います。香典返しは「半返し」をするのがマナーです。香典返しにはお礼状を添えるのが一般的なマナーとされていますので、お礼状の準備も忘れないようにしましょう。
葬儀でお世話になった方へお礼回りも忘れてはいけません。葬儀でお世話になった寺院の僧侶や、弔辞を読んでくれた方、お通夜や葬儀を手伝ってくれた方へのお礼です。お礼回りには、一般的に2,000円~1万円の手土産を持参しますので、準備も忘れずに行いましょう。
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真言宗の法要のマナーや葬儀の流れについてご紹介しました。葬儀や法要のマナーは宗派ごとに異なります。一般的な葬儀や法要のマナーでも、真言宗ではマナー違反となることがあるので、注意が必要です。
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葬儀費用は「葬儀一式費用・飲食接待費用・宗教者手配費用」で構成されます。ホゥ。