人間の死は突然訪れることも多く、自宅や近所の病院などで息を引き取るとは限りません。ご家族が県外や海外で亡くなってしまい、安置先までどうやって搬送すればいいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、長距離の遺体搬送の具体的な流れと、県外と海外それぞれでの死亡時における必要な手配と搬送費用をご紹介します。あらかじめ読んでおいておくことで、万が一のときスムーズに搬送を進めることができるでしょう。
<この記事の要点>
・遠方で亡くなった場合、遺体搬送は葬儀社が行うのが一般的
・県外から遺体を搬送する場合は、死亡診断書を受け取り安置場所まで搬送する
・海外からの遺体搬送では外務省と在外公館を通じて手続きを進める
こんな人におすすめ
長距離の遺体搬送を行う可能性がある方
旅行をする機会が多い方
一般的な搬送費用を知りたい方
家族が遠方で亡くなった場合、遺体を自宅か葬儀を行う場所まで搬送する必要があります。遺体の搬送には必要な手続き、特別な技術が不可欠です。遺族だけでは対処が難しいため、プロに依頼します。ここでは遠方からの遺体搬送で遺族が行う流れを確認しましょう。
病院や施設で亡くなったとしても、院内には遺体を安置できる設備の数に限りがあります。そのため、まずは自宅など安置先への搬送を速やかに行わなければなりません。自宅がマンションの場合には、管理人と連絡を取り、受け入れのための準備を整えておくとスムーズです。
なお、遺体の搬送ができる車は原則として「霊柩車ナンバー」の車両に限られています。分類番号が「8」の車両がこれに該当し、たとえ葬儀社でも、それ以外の車で遺体を搬送することはできません。タクシーでたとえるなら白タクで、法律違反にあたることにも留意しましょう。
病院から搬送する際には、遺体の扱いに慣れていて寝台車を用意できる葬儀社への依頼が基本です。霊柩車ナンバーではなくても、自家用車であれば家族の遺体を搬送することは認められていますが、さまざまな不都合が生じる恐れがあります。
遺体はデリケートですので、搬送の最中にぶつけて傷付けてしまったり、体液が流出して汚してしまったりするおそれがあります。また、死後硬直が始まっている場合には体の向きを変えることが難しく、現実的に一般車両に乗せることは困難です。
葬儀社でなく、遺体の搬送だけを手掛けている専門業者に依頼してもよいでしょう。しかし、葬儀を予定している場合には、遺体の搬送をセットに含めている葬儀業者を利用したほうが、割安で葬儀までの流れを迎えられるため合理的です。
県外で亡くなった方を自宅などに迎え入れる場合、移動は長距離になります。手続きは通常と変わりなく、特別な手順を踏む必要性はありません。ただし、葬儀までにかけられる時間が短いだけでなく、遠方で手続きしなければならない場合もあります。事前にしっかりとどのような流れになるのかを確認しておきましょう。
死亡診断書を受け取らなければ、行政上の手続きを進めることができず、火葬を行うことも不可能です。死亡診断書は、原則として亡くなった医師・病院が発行するため、遺体の引き取りに向かった際に担当した医師からの説明を受け、診断書を受け取りましょう。
なお、事故で亡くなった場合も搬送先の病院で死亡診断書を受け取れますが、事件性が疑われる場合や自死だった場合には、警察の介入を受けなければなりません。この場合は、警察による検死が行われたのち、死亡診断書と同じ役目を果たす死体検案書を受け取ります。
遺体を確実かつ安全に搬送するためには、葬儀社や搬送業者のようなプロの力を借りることが必要です。死亡診断書を受け取れたらすぐに葬儀の手配へと移ることもできるので、対面を済ませた後は速やかに依頼を行いましょう。
業者と連絡を取ると、まず安置場所についての確認が行われるので、自宅に安置するのか、葬儀社が手配する安置所を利用するのか、あらかじめ決めておくとスムーズです。また、搬送にかかる大体の距離や、陸路にするのか、空路を希望するのかという点も尋ねられます。
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葬儀社と連絡を取ると、担当者が遺体安置場所までやってきます。陸路を利用する場合が大半ですが、遺族側が特に希望しない場合には、速やかな移動を実現させるために有料道路を使う場合が多いでしょう。
利用する業者によって細かな規約は違いますが、原則として手配した車には故人と一緒に遺族も同乗することが可能です。ただし、大人数になった場合には対応できない場合があるため、同乗希望者が多い場合には、事前に人数を伝え、対応可能か確認します。
料金の説明は事前に行われますが、支払いのタイミングは搬送が完了した後です。自宅に戻ってから支払いを行えるので、慌てずに対応しましょう。
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死亡場所が海外だった場合は、遺体搬送の流れは国内のケースとは異なり、さまざまな機関と連絡を取り、現地に向かって遺体の確認をする必要も生じます。手続きや必要な書類に関しても、国内とは違う独自のものが増えるため、万一の際に備えて家族が海外で亡くなった際に遺族が取るべき対応策を知っておきましょう。
海外で亡くなった場合、死因とは無関係に外務省から自宅や緊急連絡先に対して死亡の報告が行われます。しかし、この場合の外務省の役割は取次役に過ぎず、現地の警察などを通じてコミュニケーションを取り、詳細について伝える役割を担うのは在外公館です。
在外公館は大使館や総領事館などを総称した言葉であり、日本人の場合は現地の大使館から連絡が届くケースが目立ちます。死亡の連絡を受け取って以降、窓口として機能するのは外務省ではなく在外公館で、さまざまな相談に応じてもらえます。
海外で死亡した際は国によりその後行うべき手続きが変わるだけでなく、風習も変わります。現地の事情に詳しい在外公館を通すことにより、間違いを起こさずに手続きを進められるので、ぜひ頼りにしましょう。
死亡の連絡を受けたら、現地に遺族が赴かなければなりません。これは、身元の確認を行うためです。航空券や滞在費などはすべて自費扱いになるので、数十万円単位の予算が必要です。
どうしても現地まで行けない場合は、外務省に対して委任状を送付し、代理人に遺体の引き取りを依頼しなければなりません。パスポートがない場合には、緊急措置として発行を受けられます。可能な限り現地まで迎えに行きましょう。
遺体の搬送に必要となる書類は、故人のパスポート、死亡診断書のほか、国によっては非感染症証明書が必要になる場合もあります。また、空路ではドライアイスの使用が不可となるため、エンバーミング処理とその証明書が必要です。
納棺を終えたら、安置施設から最寄りの空港まで車で移動します。ここからは航空機に乗って移動し、帰国したのち、空港から自宅まで再び車両に乗り換えて、遺体を搬送するというのが一連の流れです。
この際、遺族は車両・航空機の両方に同乗するケースが大半を占めます。遺体は貨物としての扱いを受けるので、寄り添って移動することは叶いませんが、同じ便に搭乗して一緒のタイミングで帰国することは可能です。
エンバーミングにより最大で2週間程度は遺体の状態を維持できるので、一刻を争うということはありません。死亡したのが、エンバーミング処理が認められていない国だった場合、現地で火葬を行ってから帰国します。
遺体の搬送が長距離に及ぶ場合、目安としてどの程度の費用を想定したらよいかと不安になる方も多いのではないでしょうか。ここでは一般的な搬送費用と、航空機などを使う際との差額についてもご紹介します。また、海外での死亡時は遺族が現地に赴いて諸々の手続きを行う必要が生じます。その際にかかる合計額の平均も確認しましょう。
一般的な搬送費用は、基本的には自宅や病院から近い距離の斎場を使用することが想定されており、搬送距離は10kmまでに設定されます。それ以上の移動が必要な場合には、10kmごとに3,000円程度を目安に料金が加算されます。
なお、この料金の中にはストレッチャーや布団の使用料は含まれますが、ドライアイスや棺をはじめとする付帯品は別料金です。小さなお葬式のプランでは、ドライアイス10kgで9,000円という料金設定を取っています。
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県をまたぐ場合など、さらに距離が伸びる際には料金も高額です。小さなお葬式では300km~330kmの場合、昼間に移動する際は117,590円、夜間(22時~翌4時59分まで)の場合には136,070円と設定しています。
それ以上の距離となると、交通事情にもよって価格は変動するため事前の確認をしましょう。目安の価格としては500kmで17万円前後、700kmで25万円程度です。これに有料道路代が別途加算されます。
距離と状況によっては昼間の料金と深夜料金をまたぐ可能性も考えられます。その場合の費用の計算方法についても事前に確認するのがおすすめです。
航空機を使用する場合、遺体は貨物として扱われるため、棺を含めた重さを基準に航空運賃が導き出されます。日本国内の移動の場合、航空運賃は10万円~20万円で収まることがほとんどなので、距離によっては陸路よりも安く搬送できる可能性もあるでしょう。
ただし、空港から自宅などへの移動にかかる陸路の料金は別途実費でかかります。また、航空機を利用する場合は遺体の防腐処理としてエンバーミングが必要ですが、これにかかる費用も諸経費として含まれているケースが大半です。
国内には多くの島がありますが、こういった地域から本土に搬送する場合には、フェリーなどの船舶を利用する必要が生じます。国内の移動に関しては、距離に応じて値段が変動しますが、目安としては15万円~25万円程度と見ましょう。
船舶ではドライアイスを使用でき、基本的なセット内容にはこの費用も含まれています。ただし、自宅や病院などから船着き場までには陸路を使って移動しますので、この際の料金は別途負担という形で請求が行われます。
海外の場合は遺族が現地に向かって遺体の確認を行うことが一般的なので、渡航費用だけでも30万円前後を見込まなければなりません。遺体の搬送には飛行機が使用され、諸々の手続きを含めると、おおよそで100万円~150万円程度かかります。
これには、エンバーミングなどにかかる料金が含まれていますが、国によってはエンバーミングを行えない場合があります。そのようなシチュエーションでは現地で火葬せざるを得ず、プランに応じて料金が大きく変動します。
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遺族としては、とにかく急いで搬送しなければならないと焦ってしまうケースが多いものですが、緊急事態に直面しているときだからこそ注意すべきポイントもあります。搬送が完了した後に思わぬトラブルが発生することを防ぐためには何に気をつけるべきなのでしょうか。3つのポイントに分けて、詳しくご紹介します。
寝台車を呼び寄せる場合、料金の計算は搬送を依頼する場所からではなく、車庫から計算されることを覚えておきましょう。車庫の場所から遺体安置場所が遠ければ遠いほど、寝台車が移動する距離は長くなりますので、自ずと料金も高額になりやすいというデメリットがあります。
つまり、近くに車庫を有している業者から寝台車を呼ぶと割安になるという利点を得られます。搬送を希望する場所の近くに起点を持つ業者に依頼したほうが、搬送にかかる費用を下げられるのでおすすめです。
業者が提示する搬送料金には、運賃のほかに何が含まれるのか確認しましょう。セット内容は業者によって異なる場合が多いので、一般論だけに惑わされるのではなく、別料金として求められるものを把握しておきましょう。
たとえばドライアイスや棺、高速料金がすべて含まれるセットもありますが、すべて別料金なプランもあります。飛行機はエンバーミング代、船の場合はドライアイスが含まれているかいないかにより、最終的な料金は大幅に変動してしまいます。
長距離の搬送を行う場合には、全国展開する業者を選択したほうがスムーズに葬儀までの流れに沿えます。ドライバーやスタッフが長距離の運転と搬送に慣れているかいないかは、作業のクオリティを左右する大きな要素です。
また、遠方から遺体を引き取りに来る業者の場合、遺族が片道分の料金を負担する際の金額も高額です。拠点が多い全国展開の業者を選ぶことで、最寄りの拠点から車を手配してくれるため、安く、スムーズに済みます。
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搬送が長距離に及ぶ場合、費用や流れは国内からなのか、国外からなのかによって違います。国内の場合は、陸路の場合だと運送料と高速代などが求められ、飛行機の場合は運賃に加えてエンバーミング代が求められますが、距離によっては陸路よりも飛行機のほうが割安になる場合もあります。
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