「看取り」とは終末期において治療などの延命をせずに、世話をしながら死期まで見守ることです。
最近では、人生の最期を思い出のつまった自宅で過ごす家庭も増えています。そのため、自宅で亡くなった場合には、どのような手続きで葬式をすればよいのか知りたいという方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、自宅で介護されていた方を看取るときの対応についてご紹介します。葬儀までの流れを詳しく解説していますので、一読すればスムーズに手続きができるでしょう。
<この記事の要点>
・自宅で死亡した場合は、かかりつけ医や訪問医に連絡をして死亡診断書を書いてもらう
・病死や自然死の場合は「死亡診断書」、検視が必要な場合は「死体検案書」が発行される
・死亡届の提出期限は、死亡した事実を知ってから7日以内
こんな人におすすめ
自宅で家族を看取りたい方
自宅で亡くなったときの対応方法を知りたい方
検視や解剖の流れを知りたい方
在宅介護で愛する家族が亡くなった場合、病院で亡くなったケースとは流れが異なります。早めに医師を呼んで、亡くなったという確認を受けなければなりません。
市町村役場での手続きも必要になるので、在宅看護を検討する際には前もって流れを把握しておきましょう。ここでは、亡くなったときの対応を5つに分けて解説します。
自宅で亡くなったときは、早めに訪問医に連絡をしましょう。訪問医にお願いをすれば死亡診断書を書いてもらえます。
愛する家族を失うと動揺する方もいますが、訪問医へはなるべく早く連絡を取るのが望ましいでしょう。
2012年8月31日付けの厚生労働省による「医師法第20条ただし書の適切な運用について(通知)」によると、診察後から24時間以内に亡くなった場合には診察をせずに死亡診断書が交付されるからです。
24時間が経過した場合には改めて診察をします。診療中の病気によって亡くなったと認められた場合に死亡診断書の交付が可能です。
訪問医がいない場合や、訪問医への連絡が難しい場合には警察署へ連絡しましょう。警察は事件性がないことを確認した後、死体検案書が交付します。遺族への事情聴取がありますが、慌てずに状況を正確に説明しましょう。
訪問医に連絡をすると死因の特定をします。病死や自然死であると判断をしたら、死亡診断書が交付されるので大切に保管をしましょう。
死亡診断書とは該当する方の死亡を法律的または医学的に証明する書類です。死亡診断書がないと、法律的には生存していると見なされるので葬儀を執り行えません。
警察に連絡をした場合には検視が必要です。検察官や認定された警察職員によって、医師や家族からの事情聴取や遺体の調査をします。
検視が終了すると死体検案書の交付です。死体検案書は死亡診断書と同じように、葬儀や年金受給の停止の手続きで使用します。受け取ったら大切に保管しましょう。
死亡診断書や死体検案書を受け取ったら、戸籍法第86条と第87条に基づき死亡届を市町村役場に提出します。スムーズに葬儀を執り行うためにも、できるだけ早めに死亡届を提出しましょう。
一般的に死亡届は死亡診断者や死体検案書と一体化しています。左半分が死亡届、右半分が死亡診断書や死体検案書になったA3のサイズです。亡くなった方の氏名や亡くなった場所などを記入します。
死亡届人は亡くなった方と関係があれば誰でも可能です。一般的には家族や親族ですが、家族とのつながりがない場合には家主や地主も死亡届人になれます。死亡届の提出は亡くなったことを知ってから7日以内とされており、死亡届を提出しないと過料の対象になるので注意しましょう。
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死亡届を提出したら、できるだけ早い時期に葬儀会社に連絡をしましょう。人が亡くなるとさまざまな手続きが必要になるからです。葬儀会社の中には手続きのサポートや代行をしてもらえるところもあり、遺族の負担を減らすことができるでしょう。
葬儀会社に連絡をしておおまかな葬儀日程を決めます。スムーズに葬式を執り行うために、前もって家族や親族の都合を聞いておくとよいでしょう。菩提寺がある場合は、住職の都合の確認をおすすめします。喪主が住職への連絡をして、葬儀会社が具体的な日程を決めるのが理想です。
地域によっては六曜の友引は友を引くという漢字が当てられるので縁起が悪いとされています。トラブルを避けるためにも、家族や親族で確認してとよいでしょう。
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日本の法律では医師が臨終を確認して、死亡の宣告をした時点で死亡が確定します。息を引き取った場合でも、医師による確認が取れない場合は亡くなったと見なされないので気をつけましょう。
家族を失うとさまざまな強い感情に襲われることもありますが、まずは医師を呼び死亡診断書を受け取るように手配します。
亡くなった方が家族の場合でも、医師が来るまでは遺体に触れないようにしましょう。遺体を別の場所に移すことも禁止です。
亡くなったという確認が取れる前に遺体を動かすと事件性を疑われて、事情聴取を受ける可能性があります。かかりつけの医師がいないときは、警察に連絡をして死体検案書を受け取る手続きを取りましょう。
家族が亡くなったときに警察に連絡をすると検視を実施します。訪問医に連絡をした場合でも、医者が必要と判断したときは検視を実施しなければなりません。
検視に立ち会う機会は少ないので、不安を感じる方もいるのではないでしょうか。自宅で看取ったときに実施される検視や解剖について解説しますので、内容を理解しておきましょう。
検視とは亡くなった方の遺体や亡くなったときの状況を見て、事件性の有無を確認する手続きのことです。
病院で看取る場合、医師や看護師が付き添っているので事件性を確認する必要はありません。一方で、自宅で看取る場合は家族だけの可能性もあるので、事故や事件などが起きていなかったのかを調査します。
基本的に検視をするのは検察官ですが、検視官の資格を持っていれば警察官でも検視が可能です。検視をする場合、令状や遺族の許可を必要としません。事情聴取を受けるときは、亡くなった状況や故人の抱えていた病気について詳しく説明しましょう。
検視は法律に基づいて実施されるので、費用は発生しません。ただし、検案や遺体の搬送や保管については費用が発生する場合もあります。
検死とは死体の検分のことです。ただし、日本では検死という法律用語は存在しません。明確な定義はなく、検視と検案と解剖の3つを包括して用いられることがあります。
ただし、検死の定義はあいまいなので、状況によっては検視と同じ意味合いで使われることもあるでしょう。
欧米では検死官という職業があります。検死官とは検死から解剖までを担当する役職のことです。
検死に似た言葉として検案があります。検案とは医者による死因の究明のことです。日本の法律では医師法第19条に基づいて検案をした後に死体検案書を交付します。犯罪の有無に関わりなく死因を医学的に調査するのが検案の仕事です。
解剖とは体を切開して形態や構造を調べ、病変や死因を特定するために行われます。解剖は正常解剖、病理解剖、法医解剖の3種類です。法医解剖には司法解剖と行政解剖があります。
行政解剖とは事件性のない遺体の死因の調査を目的とした解剖のことです。死体解剖保存法8条に基づいて実施します。解剖の際には遺族の承諾が必要です。ただし、遺族と連絡が取れない場合は承諾なしに実施します。
司法解剖とは事件性が疑われるときに実施する解剖のことです。一般的に、高度な専門知識を持った法医学者が解剖をします。検察や警察が司法解剖の有無を決める権限を持っており、裁判所が許可をすれば実施は可能です。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
検察や警察による検死や解剖が終了したら葬儀の準備をします。日本では末期の水、死装束、納棺など、仏教由来の儀式を執り行うのが一般的です。
スムーズに愛する方をあの世に見送るためにも、葬儀までの流れを把握しましょう。ここでは、葬儀までの流れを7つに分けて解説します。注意点も紹介しますのでチェックしておきましょう。
末期の水とは臨終に立ち会った家族や親族や友人が、亡くなった方の口に水を飲ませる儀式です。
仏教における大切な儀式のひとつで、安らかに願って欲しいという意味が込められています。ほとんど宗派では末期の水の儀式を執り行いますが、浄土真宗は執り行わないので注意しましょう。
末期の水に関して、以前は亡くなる前に儀式を執り行っていました。喉を水で潤すこと苦しみを取り除くと信じられていたからです。現在では、医師が亡くなったことを確認してから執り行います。
末期の水を執り行うときは、あらかじめガーゼと水を用意しておきましょう。ガーゼを水で湿らせてから亡くなった方の唇に付けます。ガーゼの代わりに菊の葉や鳥の羽を使う地域もあるので、前もって確認しましょう。
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死装束とは亡くなった方が着る衣装のことです。死装束は仏教における修行僧の服を表しており、死装束に着替えさせてからあの世へと送り出します。
死装束は日本だけではなく、世界中で見られる儀式です。日本では清らかなイメージのある白い経帷子と呼ばれる服を着せます。
多くの宗派では死装束を用意しますが、宗派によっては着せない場合もあるので事前にチェックしておきましょう。例えば、浄土真宗ではすぐに成仏すると考えられているので死装束を用意しません。
死化粧とは亡くなった方の遺体を清める儀式のことです。心穏やかに愛する人を送り出すためにも、死化粧は欠かせないでしょう。一般的に男性にはひげをそり、女性には薄化粧をして紅を施します。
遺体の安置とは葬儀までの間に亡くなった方を保管しておくことです。病院で亡くなった場合は病院内の霊安室に保管します。自宅で亡くなった場合には葬儀会社と話し合いながら決めるのがよいでしょう。
自宅に安置する場合は保管方法に注意します。腐食を遅らせるためにドライアイスを使いましょう。また、春夏はエアコンを使用して部屋を涼しくします。
冬場は暖房器具の使用を控えましょう。自宅で保管するのが難しい場合は、葬儀会社の遺体安置所や民間会社の遺体安置所などに保管します。
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納棺とは亡くなった方の体をきれいにしてから、棺に入れる儀式のことです。身なりを整えて安らかに旅立つという意味が納棺には込められています。
納棺は家族が見守る中、葬儀会社のスタッフで執り行うのが一般的です。故人に触れる最後の機会でもあるので、家族だけで執り行いたいという方もいるでしょう。ただし、納棺には順番があるので、専門のスタッフに任せるのが安心です。
納棺では副葬品の準備をします。副葬品は亡くなった方と一緒に埋葬する品物のことです。以前は亡くなった方の立場を象徴する品物を棺に納めるのが一般的でした。
最近は、亡くなった方の愛用品や好きな食べ物を納めます。ただし、金属類、ガラス、水分を多く含んだ食品などは燃え残る可能性が高いので避けましょう。
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通夜には夜を徹して祈りをささげるという意味があります。また、昔の時代は生死の確認が難しかったために、本当に亡くなったのかを確かめるという現実的な理由もありました。
通夜は葬儀や告別式の前日に執り行います。最近では通夜を執り行わないケースもありますが、即日で葬儀を執り行うことはほとんどありません。
通夜は午後6時~午後7時に始めて、午後9時頃に終了するのが一般的です。通夜の終了後は通夜振る舞いを提供します。
遺族の中には仮通夜を執り行うケースもあるでしょう。仮通夜の場合は家族や親族のみだけで執り行います。また、故人が亡くなった日に執り行うのが一般的です。仮通夜は故人と向かい合いための儀式なので僧侶は呼びません。
葬儀は通夜の翌日に執り行います。葬儀とは亡くなった方の冥福を願って成仏祈願をささげる儀式のことです。日本では、最後の別れの場という意味合いを強く持ちます。
葬儀にはさまざまな種類があるので、前もって親族や葬儀会社と話し合っておきましょう。主な葬儀として以下の種類があります。
・一般葬
・家族葬
・一日葬
・合同葬
・自由葬
・社葬
慣習にのっとった葬式を考えている方には一般葬がよいでしょう。一方で、小規模の葬式にしたい方や時間や費用を減らしたい方は家族葬や一日葬が適しています。最近では宗教や宗派にとらわれない自由葬を選ぶ方も増えました。
葬儀の時間に関する細かい決まりはありません。遺族が希望すれば夜に執り行うことも可能です。ただし、火葬の稼働時間は午前10時~午後3時が一般的なので、スムーズに執り行いたい方は昼の時間帯がよいでしょう。
日本では葬儀と告別式を終えた後に火葬をします。ただし、地域によっては通夜の前後に火葬をする前火葬をする場合もあるので、あらかじめ親族と相談しておきましょう。
日本では火葬をするには許可を取らなければいけません。死亡届を市町村役場に提出すると、火葬許可証が交付されます。葬儀の当日には火葬許可証を忘れずに持参して、火葬場の窓口に提出しましょう。
火葬が終了した後は骨上げを執り行います。骨上げとは火葬後に箸で遺骨を拾い上げて骨つぼに納める儀式のことです。骨上げでは足の骨から上部に向かって拾い上げます。最後に拾い上げられるのは、喉仏と呼ばれる背骨にある軟骨です。喪主や故人に近しい遺族によって拾い上げられます。
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自宅で看取る場合には亡くなったときの対応や、その後の葬儀の流れを理解しておきましょう。火葬で故人を見送る場合には、死亡診断書や死体検案書を事前に受け取ります。
自宅でご臨終を迎えた場合、葬儀の種類を葬儀会社に相談しておくのがおすすめです。早い段階で話し合っておけば、スムーズに葬儀を執り行えます。
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