一周忌にスケジュールが合わず法事ができない場合、法事をしないのはいけないことなのかと不安になってしまう方もいるのではないでしょうか。
故人への思いはしっかり持っているものの、現代においてはスケジュールの都合でなかなか集まれないということも少なくないでしょう。その場合「お墓参りだけでもしておきたい」と考えるかもしれません。
しかし、一周忌にお墓参りのみというのは、ルールとして問題ないのでしょうか。また、お墓参りのみの場合、どのようなことに気をつければよいのも気になるところです。
今回は、一周忌にお墓参りのみをする際のマナーや持ち物をご紹介します。事前にしっかりとチェックしておきましょう。
<この記事の要点>
・故人を思う気持ちとしっかりと供養したい考えがあれば、一周忌はお墓参りのみでもよい
・一周忌のお墓参りにはお花や線香、お供え物、掃除用具などを持参する
・一周忌にお墓参りのみの場合でもお寺や霊園に塔婆を依頼しておく
こんな人におすすめ
一周忌に法事ができそうにない人
一周忌にお墓参りだけはしてあげたい人
一周忌からは親族のみで行うという場合も少なくないので、一周忌への参加経験が豊富だという方は少ないかもしれません。まずは一周忌とは何なのか、いつのことを指すのか詳細を確認しておきましょう。
一周忌は故人が亡くなってから1年が経過した命日です。この時期に合わせて行う法事は故人にとっても遺族にとっても重要だといえます。
法事は命日に行うのが望ましいですが、現代では平日に時間を取れない方も多く、スケジュールの都合で難しいことも少なくないでしょう。
「仏事は先延ばししない」という教えがあり、命日よりも少し前の土日などに設定するのがおすすめです。遺族はなるべく参加できる人数が多くなるよう、前もってスケジュールを上手に組んでおきましょう。
一周忌の場所に関しては、自宅か葬儀が行われるセレモニーホール、お寺が一般的でしょう。故人の希望を生前に聞いていた場合は、それを優先することになるかもしれません。
セレモニーホールを会場にすると必要な設備がそろっていることが多く、遺族の準備は格段に楽になります。
ただし、使用できる時間が限られるため、ゆっくりできないなどもデメリットもあることを覚えておきましょう。遺族の状況や故人の希望に合わせて選択するのがおすすめです。そのためには初動を早くする必要があります。
一周忌に招く人に決まりは特にありません。故人と関係が深かった方や、遺族、親戚を呼ぶのが一般的でしょう。通夜やお葬式のように近所の方や会社の同僚にまで声を掛けることは少ないかもしれません。
しかし、地域性も関係する点なので、周りの方に確認しましょう。近所の方を全員呼ぶことが通常とされている地域も中にはありますので、古くからその土地に住んでいるわけではない場合は、特に注意が必要です。
一周忌で行うことはお墓参りだけでもよいのかと疑問に思う方は多いでしょう。お墓参りはお彼岸やお盆に行うイメージがあるイベントなので、一周忌にお墓参りだけではダメなのではと考える方もいるかもしれません。
しかし、スケジュールが合いにくく、親族が集まりづらいというケースも考えられます。その場合、お墓参りのみを選択しなければならないこともあるでしょう。ここでは一周忌をお墓参りのみで済ますケースについて解説します。
仏教では、一周忌や三回忌など、節目の命日に合わせて遺族が法要を営むことを追善供養と言います。追善供養とは、故人に代わって善(よ)い行いをすることが故人の供養になるという考え方です。法要を営むことも追善供養ですが、その他、お墓を掃除する、お寺周辺の清掃をする、人に親切にする、といった行為も追善供養と言えます。
したがって、法要は供養することが趣旨であるとすれば、規模は変われどお墓参りも同じ供養と捉えられるでしょう。
法事で一番重要なのは故人を思う気持ちです。しっかりと供養したいと考えることがもっとも重要なこととされていて、法事を形式通りに遂行する重要性はその次と考えてよいでしょう。
可能であれば、故人の関係者を呼び一周忌を行いたいところではありますが、海外で働いている家族や、遠方に住まいがある親戚など、参列してもらいたい人の都合を合わせるのが難しいこともあるでしょう。施主となり得る人物が1人で他に参列者が見込めない場合も考えられます。
そうしたやむを得ない事情がある場合でも、法事ができないから供養できないということはありません。お墓参りのみの場合も気持ちを込めてお参りすることで、立派な供養になります。
一周忌でお墓参りをするときに必要なアイテムをまとめました。お墓参り前に用意しておきたいものばかりなので、準備は念入りにしましょう。場合によっては現地で調達できたり、貸出があったりすることもあります。
お花はお墓参りに欠かせないものです。お墓にお花を飾ると華やかな印象になります。お花を供えることは、美しいもので仏さまを癒すという意味合いもあり、供養のためにはもってこいです。
お花の種類は一周忌であればそこまで限定はされていませんが、派手すぎないものを選択するとよいでしょう。おすすめは菊の花です。菊は仏教の花であると同時に傷みにくい花としても知られており、お墓参りに最適な花だといえるでしょう。
しかし、場所によっては小動物が荒らしてしまう恐れがあるのでお花を禁止しているところもあります。その場合は造花を用意しなければならないので、事前にしっかり確認しましょう。
線香もまた、お墓参りのときに持参する定番アイテムです。自宅から持参するときは、バラになっているものを離さずにそのまま持参しましょう。
また、火を着けるライターなども用意します。一緒にお墓参りに行く方に分けることがあるかもしれないので、なるべく本数は多めに持っていくのが無難です。
また、お線香に関しては、お寺や霊園で販売していることもあります。事前に購入する時間がなかったという方は、霊園で購入し、墓前に供えるのもよいでしょう。
宗派によって本数の規定があるので、故人の宗派のルールを調べておくことが大切です。
お線香は仏様の食事と呼ばれる大切なものです。故人が好きだった香りや、好きだった線香があればそれを選択しましょう。
お菓子もまた、お墓参りの際に持って行きたいものです。故人が好きだったお菓子を用意することが多く、まんじゅうやようかんが多く選ばれます。
お菓子はお供え物として一般的ですが、帰りに持ち帰るようにしましょう。そのままにしてしまうとカラスや鳩などの鳥類や、小動物が集まってしまう可能性があるためです。また、管理者が処分に困ってしまう可能性があります。
お墓参りにはろうそくも持参したほうがよいでしょう。線香に火を灯す際にも使用できます。お墓にろうそく立てが備わっていない場合、市販の墓前用ろうそく立てが便利です。
ろうそくもいろいろな種類がありますが、一般的に使用されている白いろうそくが使いやすいでしょう。ろうそくを灯したら、燃え切るまでその場にとどまるか、ろうそくを始末してから立ち去ります。
ほうきやちり取りもお墓参りには欠かせないアイテムです。霊園やお寺できれいに清掃されてはいるものの、お墓の数が多いので、どうしても汚れはついてしまうでしょう。一周忌の場合、四十九日から日数が経過しているので、誰も来ていなかった場合は汚れていることが予想されます。
ほうきやちり取りで不要なごみを取り除き、お墓をきれいに整えてあげましょう。故人を思いやりながら掃除をすることもまた、供養につながります。
お墓をきれいに拭くのにスポンジや柔らかい布があると大変便利です。墓苑によっては、貸出用に備えてある場合もありますが、持参したもののほうが気持ちよく掃除できます。
お墓の表面は雨風にさらされてしまう影響で、汚れていることは少なくありません。スポンジと布で拭きあげるときれいになります。
塔婆はお寺や霊園に依頼して用意をし、追善供養のためにお墓に建てるものです。法要の際のお墓参りやお盆などに建てるのが一般的ですが、建てる時期に決まりは特にありません。法要をせずに一周忌に塔婆のみを建てることも可能です。
ただし、塔婆は依頼から完成まで時間がかかります。お寺などに事前に依頼しておかなければなりません。お寺の場合は、法要ができない理由も説明しながら依頼したほうがよいでしょう。
お墓参りにも参加できない場合、そのまま何もしないのはあまりよいとはいえません。遺族で決めたお墓参りの日に参加できなくても、やれることはまだあります。遠く離れた場所からも、故人のことを思いながら実践してみましょう。
お墓参りに参加できない場合は、お供え物だけでも郵送しましょう。その場合は、墓前に供えるようなお花やお菓子、線香やろうそくなどで問題ありません。
しかし、お供え物にふさわしくない品物もあるので注意が必要です。肉や魚などの殺生を連想されるものはNGとされているので、そうしたものは選ばないようにしましょう。ジャーキーやハム・ベーコンなどもマナー違反にあたります。
また、お墓参りだけの場合、香典は多くの場合で必要ありません。お墓参りだけの場合は人数を絞っていることが予想されますし、僧侶を呼んで読経を依頼することもないので、香典は必要ないでしょう。
とはいえ地域性や家独自のルールがある場合が多いので確認は必要です。失礼のないように適切な対応を取りましょう
お供え物を送る場合は、手紙もつけるようにしましょう。故人を思う言葉と遺族に対しての気遣いをしっかり記すことがポイントです。手紙があるのとないのではお供え物に対する印象が全く変わります。当日お墓に行くことができない理由と、その謝罪を行いましょう。
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一周忌を迎えるにあたり、スケジュールが合わせられなかったり、世情を考慮して法事を行わなかったりするケースが見られるようになりました。本来、一周忌法要は年忌法要の中でも重要な位置づけであるため、お墓参りのみで済ますことに抵抗がある方は少なくありません。
しかし、法事ができなかったとしても、お墓をきれいにしたり故人を思いながら供物を供えたりすることで、十分供養になるでしょう。法事を営むことはもちろん重要ですが、大事なのは故人を思い行動することです。一周忌が難しかった場合は、心を込めてお墓参りを行いましょう。
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