日本では人が亡くなると火葬を行ってお墓を建てることが多いので、火葬が一般的な埋葬方法と感じている方も多いでしょう。しかし、日本にもアメリカやヨーロッパのように土葬が主流だった時代がありました。現在も一部地域では土葬を行うことができます。
火葬が主流となっている現在の日本では馴染みの薄い土葬ですが、どのような埋葬方法なのでしょうか。この記事では、土葬の特徴やメリットとデメリット、日本で土葬は可能なのか解説します。
<この記事の要点>
・土地や衛生上の問題から土葬ができる地域は限られている
・土葬は高額で、感染症拡大のリスクがある
・土葬を検討している方には「樹木葬」もおすすめ
こんな人におすすめ
土葬とはどんな埋葬方法なのか知りたい方
土葬をするメリットとデメリットを知りたい方
日本で土葬をする際のポイントを知りたい方
土葬は、遺体を土に埋める埋葬方法です。直接土に埋葬する方法と棺に入れて埋葬する2通りの方法があり、どちらも埋める際に2メートル程度の穴を掘って動物が掘り起こせないように埋葬します。
土葬は日数が経つと埋葬場所が陥没しやすくなるため、盛り土や墓石の修正が必要です。状態によっては、骨を掘り起こして遺骨を収納する地域もあります。
海外では土葬を行う際に「エンバーミング」という遺体の腐敗を防ぐ処理が必要です。腐敗を抑えて感染症を防止するエンバーミングは日本でも徐々に浸透しています。
<関連記事>
エンバーミングとは何か?費用・メリット・デメリット・手順について解説
日本の葬儀ははるか昔の縄文時代から行われてきましたが、葬儀に対する考え方や方法は時代や人々の考え方によって変化します。
日本の土葬はいつから始まり、その後なぜ火葬が主流となったのでしょうか。また、火葬が主流となった現代で土葬に対する考え方は変化したのでしょうか。
ここからは、日本の土葬の歴史や現代の土葬に対する考えを紹介します。
日本の土葬に関する歴史は古く、日本書紀にも記載があるほどです。江戸時代には火葬に否定的な儒教が普及したことから、大名の葬儀を火葬から土葬に変えることもありました。
明治時代になると、明治政府が火葬禁止令を出して国を挙げて土葬を推奨しました。しかしながら、伝染病の蔓延や土葬可能な土地の減少により、火葬禁止令が解除されて少しずつ火葬が普及していきました。
火葬による埋葬が大半である現代でも、土葬を行っていたころの習慣が日本各地に残っています。諸説ありますが、葬儀で餅を食べたりおこわを焚いたりするのは、土葬用の墓穴を掘る人たちの活力になるように用意された食事の名残といわれています。
現在の日本に土葬を禁止する法律はなく「墓地、埋葬等に関する法律」で火葬と同等に扱われています。そのため、自治体から埋葬を許可されたことを証明する「埋葬許可証」を提出すれば、土葬を行うことが可能です。
しかし、土地や衛生上の問題から土葬ができる地域は限られています。都市部では、自治体の条例によって土葬を禁止している地域も少なくありません。
土葬可能な場所が少ないからといって自宅の庭などの私有地に土葬してしまうと、死体遺棄罪として罪に問われるため注意しましょう。
<関連記事>
埋葬とは?必要な手続きやもらえる給付金について解説
小さなお葬式で葬儀場をさがす
日本では火葬が主流ですが、完全に土葬がなくなったわけではありません。ここからは、土葬が行われている地域や、土葬を行うケース、タイミングなど、日本にの土葬の現状を紹介します。
北海道・宮城県・栃木県・茨城県・岐阜県・京都府・奈良県・三重県・鳥取県・高知県の一部の地域では、土葬を行うことができます。このほかにも、離島や限界集落など土葬の習慣が残っている地域もあります。
土葬を受け入れている霊園では、敷地の一部が土葬用のスペースとして区切られています。土葬を希望する場合は、該当の地域に移住して土葬用の墓地を事前に購入する必要があります。
現在、日本の中でもっとも土葬が行われている地域は神奈川県です。
神奈川県の土葬のほとんどは、4か月以上の死産した胎児です。小さな身体の胎児を火葬すると遺骨がわずかな量になってしまうため、土葬にするという事情もあるといわれています。
災害時など火葬場が使えなくなった際に、土葬が行われることもあります。2011年の東日本大震災においては、火葬が間に合わず、一時的に土葬をしていました。後日掘り起こされて、洗骨・火葬が行われました。
海外では土葬が主流の国もありますが、日本で土葬が難しいのには特有の理由があります。ここからは、衛生上の問題と国土面積の問題に分けて、日本で土葬が難しい理由を解説します。
遺体の腐敗が進行すると、感染症のリスクが高まります。「エンバーミング」と呼ばれる遺体の腐敗を防ぐ処理が海外よりも浸透していない点も、日本で土葬が難しい理由の一つです。衛生上の問題により、墓地の管理者から土葬による埋葬許可が下りないケースが多いでしょう。
日本では、狭い国土面積の中に多くの人が居住しています。火葬して遺骨を埋葬する場合と異なり、土葬をするとなると埋葬するのに大きなスペースが必要です。
特に、人口が集中している首都圏などの都市地域においては、埋葬場所を確保するのが困難でしょう。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
土葬を選択するかどうか迷っている人は、土葬を行うメリットとデメリットを理解しておきましょう。まずは土葬のメリットを4つ紹介します。
仏教が伝来する以前、主流の信仰であった神道では、「火葬をせずに土に還す」という教義が大切にされていました。
「土から生まれて、土に戻っていく」という日本古来の思想に合致した埋葬方法が、土葬であるといえるでしょう。
故人の遺体を火葬して骨にすることに抵抗を感じる人もいます。また、死産した胎児の場合は、火葬すると遺骨があまり残らないため、子どもを亡くした親の喪失感が増えてしまうこともあるでしょう。
土葬であれば、故人を亡くなったときのままの姿で埋葬できます。
キリスト教には「死後の復活」という思想があるため、火葬を避ける傾向にあります。
また、イスラム教では火葬がタブーであると考えられているため、土葬ができれば教義を守れるので安心感を得られるかもしれません。
火葬を行う際は、ガスや灯油などの燃料が大量に使われます。燃料を燃焼させるので、地球温暖化の原因になったり、有害物質の発生につながる可能性があったりするでしょう。
土葬であれば、燃料を使用せず土中に埋めるだけなので、環境保全型の埋葬方法であるといえます。
ここまでは土葬をする際のメリットについて紹介しましたが、デメリットもあることを忘心得ておきましょう。ここからは、土葬のデメリットを4つ紹介します。
土葬の場合は遺体を棺ごと埋葬するため、火葬した遺骨を埋葬するケースに比べて、広いスペースが必要です。
また、土葬する場合には、ある程度深い穴を掘らないと、腐敗する匂いが漏れたり、動物に掘り起こされたりしてしまいます。そのため、深い穴を掘る労力が必要です。
遺体はいずれ土に還りますが、腐敗するため地下水を汚染してしまう可能性があります。その結果、感染症拡大の原因になるケースもあります。
衛生上の問題をクリアして土葬を行うためには、遺体にエンバーミングを行うことが有効です。
日本では火葬が一般的であるため、土葬を希望しても親族など周囲の人たちから理解を得られない場合があります。
埋葬後のトラブルを防ぐためにも、事前によく相談しておくことが大切です。
火葬と比べると、現代の日本で土葬は特殊な埋葬方法です。広い墓地スペースが必要であることから、埋葬にかかる費用が火葬に比べて高額になります。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
火葬が主流の国内で土葬を行うことは簡単ではありませんが、土葬での埋葬を希望している方もいるでしょう。
では、どのような点に注意して土葬を行えばよいのでしょうか。日本で土葬を行うために押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
法律上可能な埋葬方法とはいえ、土葬は地域の条例や墓地の管理規制によって禁止されていることが多いです。そのため、土葬を許可している墓地や霊園を探す必要があります。数は少ないですが、北海道・茨城県・山梨県・和歌山県に土葬を受け入れている墓地や霊園があります。
日本人が土葬を行うことは少ないですが、海外から移住した人たちには一定の需要があるようです。しかしながら、土葬可能な墓地や霊園が少ないため、今後受け入れが難しくなる可能性もあるでしょう。
火葬を行う際に「火葬許可証」が必要なように土葬を行う際には「埋葬許可証」が必要です。火葬許可証に「火葬済」の印が押されたものが通称「埋葬許可証」と呼ばれ、土葬の許可を証明するものです。
死亡届とともに「死体火葬・埋葬許可交付申請書」を役所に提出することで、「火葬許可証」を交付してもらえます。
<関連記事>
死亡届は誰がいつまでに提出する?手続きについてケース別に解説
時代や考え方の変化により、火葬や土葬とは違う埋葬方法である「自然葬」の需要が高まっています。自然葬とは、お墓を設けずに故人の遺体を自然に還す埋葬方法です。
自然葬の一つに樹木葬があります。土葬も樹木葬もどちらも遺体を土に埋めますが、どのような部分が異なっているのでしょうか。ここからは、土葬と樹木葬の違いについて詳しく解説します。
樹木葬は自然葬の一つで、樹木を墓石の代わりとして遺骨を埋葬します。1人に対して1本の木を植える場合と、1本の樹木を植えた区画に複数の遺骨を埋葬する場合があります。
樹木葬は、土葬と違い火葬を行った後に埋葬します。また、埋葬方法は散骨をしたり土に還る袋に遺骨を入れたりと、葬儀社によって異なるので事前に確認しておきましょう。
樹木葬は、「墓地、埋葬等に関する法律」で認められている自然葬です。しかし、墓地以外の場所に故人の遺骨を埋葬することは禁止されているので、お気に入りの場所や自宅の庭だからといって勝手に埋葬することはできません。
土葬は遺体を棺に入れて土に埋める埋葬方法ですが、樹木葬は火葬を行ってから埋葬します。そのため、土葬と比較すると埋葬場所を確保しやすいでしょう。費用も新しくお墓を建てる場合と比べると低価格で済むので、経済的な負担を軽減することもできます。
<関連記事>
樹木葬とは?費用やメリットなど知っておきたいこと
小さなお葬式で葬儀場をさがす
「小さなお葬式」では、無料の資料をご請求いただいた方全員に「喪主が必ず読む本」をプレゼントいたします。
喪主を務めるのが初めてという方に役立つ情報が満載です。いざというときの事前準備にぜひご活用ください。
\こんな内容が丸わかり/
・病院から危篤の連絡がきたときの対応方法
・親族が亡くなったときにやるべきこと
・葬儀でのあいさつ文例など
「小さなお葬式」では、お電話・WEBから資料請求をいただくことで、葬儀を割引価格で行うことができます。お客様に、安価ながらも満足できるお葬式を心を込めてお届けいたします。
小さなお葬式は全国4,000ヶ所以上※の葬儀場と提携しており、葬儀の規模や施設の設備などお近くの地域でご希望に応じた葬儀場をお選びいただけます。(※2024年4月 自社調べ)
土葬は、遺体を棺に入れて土に埋める古くから伝わる埋葬方法の一つです。日本でも火葬が主流となるまでは、土葬を推奨していました。しかし、現在では土地や衛生上の観点から土葬を行える地域は限られています。
故人が自然に還ることができて火葬に必要な燃料を使わないことから、土葬は自然に寄り添った環境に優しい埋葬方法だといえます。
土葬を行う際は、土葬可能な地域や墓地、霊園を把握して手続きを進めましょう。土葬が難しい場合は、樹木葬という埋葬方法で故人を自然に還すことができます。
埋葬の方法や葬儀に関する疑問をお持ちの方は、小さなお葬式にご相談ください。葬儀専門のスタッフが24時間365日通話料無料でお客様のお悩みをサポートいたします。
お亡くなり後の手続き・直近の葬儀にお悩みの方は 0120-215-618 へお電話ください。
納骨先探しのお手伝いをするサービス「OHAKO-おはこ-」
・土地、墓石など必要な費用を全て含んだ明瞭価格
・お墓、納骨堂、樹木葬、永代供養、海洋散骨、自宅供養など様々な納骨方法から簡単に比較、検索できる
・全国の霊園、寺院、墓地の豊富な情報を集約
あなたに最適な納骨先が見つかる「OHAKO」 詳しくはこちら
香典の郵送は、現金を不祝儀袋に入れ、現金書留用の封筒でなるべく早く送ります。ホゥ。