喪主を務める方は、参列者に対して挨拶をする場面があります。事前に言葉を考えていても、いざとなると緊張で言葉が出てこないことも考えられます。そのため「カンペを見ながら挨拶をしてはいけないだろうか」とお悩みの人もいるのではないでしょうか。
この記事では、喪主が告別式で挨拶をするときに紙を見てもよいのか解説します。挨拶のタイミングや基本構成、マナーについても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
<この記事の要点>
・カンペを見ながら挨拶をしても問題ないが、スマートフォンのメモ機能の使用は避ける
・葬儀・告別式の場合、喪主の挨拶は2分~3分程度が目安
・挨拶文は参列者へのお礼、故人の報告、感謝、思い出話、結びの言葉の5つに分ける
こんな人におすすめ
喪主を務める予定の方
喪主の挨拶の文章構成を知りたい方
喪主が挨拶をするタイミングを知りたい方
葬儀前の弔問から通夜、告別式まで喪主が挨拶をする場面は複数回あります。ここからは挨拶のタイミングと、時間の目安について解説します。
喪主とは、故人に代わって弔問を受ける人のことです。遺族の代表として葬儀を執り行い、故人とお付き合いのあった人にお礼の挨拶をします。喪主が挨拶をする主な場面は以下のとおりです。
通夜式前に僧侶を迎えたとき | 僧侶を控室に案内して、喪主と世話役代表が挨拶をする |
葬儀前の受付で | 葬儀前に祭壇の前で弔問客を迎えるときに挨拶をする |
葬儀や告別式の終わり | 葬儀の終了時には喪主として、告別式では親族代表として挨拶をする |
出棺時 | 火葬場への出発に先立って、喪主が会葬者に挨拶をする |
精進落としのとき (火葬場から戻った後の会食) |
喪主は会食が始まる前と、閉式のときに挨拶をする |
葬儀や告別式の挨拶は2分~3分ほど、出棺時は1分~2分ほど、会食時の挨拶は1分ほどが目安です。式の進行は分刻みのスケジュールとなるため、挨拶は短くまとめた方がよいでしょう。
いずれの場面においても挨拶をするときは、感謝の気持ちと生前の厚誼(こうぎ)へのお礼の気持ちを伝えることが大切です。簡潔に伝えようとして、事務的な文章にならないようにしましょう。
結論から言うと、カンペを見ながら挨拶をしても問題ありません。大勢の参列者の前で話すことになるため「上手く挨拶できるか自信がない」という方は、メモを見ながら挨拶しても問題ありません。
弔事の場である通夜式や葬儀・告別式で使用する用紙にきまりはないのでしょうか。「正しいマナーを知りたい」「失礼にならないか心配」という方は、用紙について確認しておきましょう。
カンペに使用する用紙にきまりはないので、メモ用紙や便箋を使用して問題ありません。カンペの書き方は、要点のみでも全文でもどちらでも問題ありません。読みやすいと感じる書き方にするとよいでしょう。
用紙に関するきまりはありませんが、携帯電話やスマートフォンを見ながらの挨拶は控えましょう。
携帯電話のメモは手書きよりも修正しやすく、持ち運びにも便利ですが、「葬儀で携帯電話を使用することはマナー違反だ」と考える方もいます。不要なトラブルを避けるためにも、挨拶文は紙に書いて準備しておきましょう。
喪主の挨拶は形式に沿った構成を意識しつつ、自分の言葉で気持ちを述べましょう。ここからは、喪主の挨拶を考えるときのポイントについて解説します。
挨拶の時間は長くても3分程度のため、できるだけシンプルな構成にしましょう。原稿用紙3枚、文字にすると1,200字程度が目安です。いざ書きだすと故人に語りかけたいことはたくさんあり、思ったより長くなってしまうかもしれません。
故人について何を語りたいか、参列者に何を伝えたいかを明確にした上で文章を考えることがポイントです。文章にまとまらないときは箇条書きにして、最後にまとめて清書するとよいでしょう。
喪主として特別な挨拶をしようと意識し過ぎないようにしましょう。特に会社関係者が参列する式であったり、大規模な葬儀であったりすると「立派なことを言わなくては」と気構えてしまいがちです。
故人との思い出話はありきたりなエピソードで構いません。よい表現が思いつかなければ、慣用的な言い回しに自分が実際に感じたことをプラスするとオリジナルな表現になるでしょう。
形式にこだわり美辞麗句を並べると、堅苦しい印象を受けます。大切なことは、故人の死を悼む気持ちや参列者へ感謝の気持ちを伝えることです。故人がお世話になったことへのお礼の言葉は、エピソードの前に入れても後に入れても問題ありません。
文末に「申し上げます」が何度も続くと、少し違和感を覚えるかもしれません。しかし、思いを伝えることを優先するのであれば多少文章構成がおかしくても気にせず、そのまま話してもよいでしょう。
故人の死を悼む気持ちを自分の言葉で素直に表現しましょう。喪主の挨拶は文章を読み上げるため、話し言葉ではなく書き言葉で考えます。日常使い慣れない言葉も出てくるため、どこかよそよそしい印象を受けるかもしれません。
参列者が友人のみや近親者のみの式であれば、少し砕けた話し言葉を使ってもよいでしょう。堅苦しい言葉ではなく、生前の故人の姿が思い浮かぶような内容だと参列者の心に響く挨拶ができます。
告別式での挨拶は、はじめに参列者にお礼を述べて、故人が亡くなった日時や享年を伝えます。その後、故人の生前の厚誼に感謝の気持ちを伝えてから、思い出話や喪主の心情を話します。
最後は結びの言葉で締めくくり、お辞儀をして挨拶を終わります。ここでは挨拶の文章を5つの構成に分けて、話す内容を具体的に解説していきます。
文章のはじめは、葬儀・告別式に参列していただいたことへの「お礼の言葉」を述べます。参列者に仕事関係の人や喪主と面識のない人が多い場合は、自己紹介を入れてもよいでしょう。参列者へのお礼の言葉は簡潔、かつ丁重に述べることが重要です。
【例文】
・「ご多用にも関わらずご会葬いただき誠にありがとうございます」
・「ご多用中のところお集まりいただきましてありがとうございます」
・「きっと故人も喜んでいることと思います」
亡くなった日時や病名、享年を簡潔に述べます。病名ははっきりと伝えなくても構いません。突然亡くなった場合は、状況を簡単に説明してもよいでしょう。生々しい表現は控え、「死んだ」という言葉は使わないようにします。「急逝した」「他界した」と言い換えましょう。
【例文】
・「〇〇(故人の名前)は、去る〇月〇日に△△歳で他界いたしました」
・「大往生でした」
・「安らかな最期でした」
生前お世話になった故人の友人・知人・関係者に対してお礼を述べます。故人だけでなく、遺族に向けられたお悔やみの言葉にもお礼を言うとさらに丁寧なお礼になるでしょう。
【例文】
・「生前にいただきましたご厚情に深く感謝申し上げます」
・「私共をこれまで支えてくださいました皆様に、改めてお礼を申し上げます」
生前のエピソードを話すと聞き手の印象に残り、故人をより偲べるでしょう。形式にとらわれず、亡くなった人と一緒に過ごした思い出や言われて嬉しかった言葉を入れても構いません。
エピソードは故人と面識のない人でも分かるように具体的に話し、最後には感謝の気持ちを述べます。ただし、故人の短所や苦労話について紹介することは控え、家庭の事情も軽く触れる程度に留めましょう。
最後に、遺族の決意や会葬者への支援のお願いを述べ、お礼の言葉で締めくくります。決意を盛り込むことで、会葬者に安心感を与えられます。難しく考えずに、自身の思いを述べるだけでもよいでしょう。
【例文】
「本日はありがとうございまし。これからも頑張ってまいります。今後も変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます」
喪主の挨拶は、場面によって文言が異なります。ここからは、場面別の挨拶の例文をいくつか紹介します。
通夜式では、僧侶を迎えたときと通夜開始の際に挨拶をします。
【僧侶に向けて】
「本日はご多用の中、来ていただきありがとうございます。開式まで、どうぞこちら(控室)でお待ちください」
【通夜式で参列者に向けて】
「この度は、〇〇のためにお通夜のお線香を賜りまして、誠にありがとうございます。皆様のお志に、故人もさぞ喜んでいることと思います。なお、告別式は〇月〇日〇時より〇〇にて執り行います。本日のご列席、心より感謝申し上げます。」
出棺するときは、参列していただいたことへのお礼と、故人への厚意に対する感謝を述べます。
【例文】
「この度は〇〇の葬儀に参列してくださり、ありがとうございます。皆様に見守られて、故人もさぞかし喜んでいるかと存じます。私たち一同、故人に負けず、今後も一層頑張ってまいります。どうぞよろしくお願いいたします。」
精進落としでは、料理が冷めないうちに食べていただくために、簡単な挨拶にします。食後の挨拶では、四十九日法要の案内を忘れないようにしましょう。
【食事前】
「一言、挨拶させていただきます。本日は皆様のおかげで無事に葬儀・告別式を終えられました。ささやかではございますが、精進落としとしてお食事を用意いたしました。お食事を召し上がって、時間の許す限りぜひおくつろぎください。」
【食時後】
「本日はお忙しい中、最後までお付き合いいただき感謝申し上げます。皆様からの心のこもったお見送りに、故人もさぞかし喜んでおります。これにて閉式にいたしますが、これからも変わらぬご支援よろしくお願いいたします。四十九日法要ですが、〇月〇日を予定しております。本日は皆様もお疲れかと思いますので、終了とさせていただきます。」
葬儀など弔事の場面では、使用を避けたほうがよいとされる「忌み言葉」があります。以下の言葉は挨拶に限らず使用しないようにしましょう。
NGワード | 理由 | 具体例 |
繰り返す言葉 | 不幸を連想されるため | いよいよ・重々・度々 |
祝いの席で使う言葉 | 弔事の場にそぐわないため | お開き・乾杯(葬儀では献杯を使用) |
宗派の異なる言葉 | 宗派によって思想が異なるため | 【死に関する言葉】 仏教:冥福を祈る 神式:御霊になる キリスト教:天に召される |
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喪主の挨拶では、故人を偲ぶ気持ちと参列者への感謝の気持ちを述べることが大切です。無理に立派なことを話す必要はなく、不安であればカンペを見ながら挨拶をしても構いません。忌み言葉や宗教上の言葉の使い方に気を付けて、事前に見直しをしておくと安心です。
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