天理教の一年祭の案内を頂いたけれど、お包みする金額について悩む方も少なくありません。天理教は江戸時代末期から続く、日本発祥の宗教です。教派神道(きょうはしんとう)の一派であるため、仏教用語である「香典」は使わず「玉串料」といいます。
仏式や神式とも異なるため、参列する機会が少ない傾向にあり、不安を感じる方もいるでしょう。この記事では天理教の一年祭でお渡しする玉串料の目安金額や、祭事に欠かせない作法などについて解説します。
<この記事の要点>
・天理教の一年祭とは、亡くなってから一年目の命日に行う大切な儀式
・仏式の香典にあたる「玉串料」は、地域や所属する教会によって目安金額が異なる
・玉串料は、年代や関係性によって金額が変わるため注意が必要
こんな人におすすめ
天理教の一年祭は何かを知りたい方
天理教の一年祭の玉串料の目安金額を知りたい方
天理教一年祭の流れを知りたい方
天理教では、人が亡くなった命日のことを「出直し」と表現し、死は新たな生の始まりであると考えます。「誕生とともに神様から身体を貸していただき、死後お返しして新たに生まれ変わる」という死生観です。
通常、「出直し」から丸一年経った日に一年祭を執り行いますが、集まりやすくするため、それより前の週末などに行うこともあります。仏式でいう一周忌に当たり、一年祭の基本的な作法や手順は神式に準じたやり方で行うのが一般的です。地域にもよりますが、多くの信者は遺族や親族をはじめ友人、知人をお呼びして盛大に祭事を行います。
出直し後に営まれる祭事の中では一年祭が最も大きく、神主に祭詞(祝詞)をあげてもらったのちに会食の場を設けるケースが一般的です。
一年祭の案内が届き参列を決めたら、仏式の香典に当たる「玉串料」を用意しましょう。玉串料は地域や所属する教会によって目安金額が異なります。もし自身で判断ができなければ、親族や教会の知人に尋ねてから決めるのがおすすめです。ここでは、一般的な玉串料の目安について紹介します。
葬儀を無事に終えたら五十日祭を営みます。これは仏式でいう四十九日法要に当たるものです。その後は、故人の亡くなった日付近に一年祭を営む運びとなります。
玉串料の目安金額を以下に記しますが、年代や関係性によって金額が変わるため注意しましょう。故人と近しい関係であればあるほど多く包む傾向です。
故人との関係性 | 五十日祭 | 一年祭 |
自分の親 | 1万円~10万円 | 1万~5万円 |
祖父母 | 5,000円~3万円 | 1万~3万円 |
兄弟姉妹 | 5,000円~3万円 | 1万~3万円 |
その他の親族 | 3,000円~3万円 | 1万~3万円 |
友人、元上司 | 3,000円~1万円 | 1万円 |
香典袋とは仏教式の言葉のため、天理教においては玉串料袋や玉串料封筒と表現するとよいでしょう。白い無地の封筒を使うのが一般的で、蓮の花のプリントされた封筒は仏教の仏を表すため使用できません。
一年祭にお渡しする玉串料の表書きは、水引を境に上段に「御玉串料」「御霊前」「御神前」などを書きます。「御仏前」「御香典」「御布施」は仏式のものである点に注意しましょう。下段には送り主の名前をフルネームで記入します。
天理教では、銀と黄色の水引が一般的です。その他にも、黒白の結びきりを用いることもあります。
天理教の一年祭は、所属する教会や自宅で営まれるのが一般的です。一年祭までは正式な喪服を着用することが多く、この点は仏式と同じと言えます。持ち物やかける言葉などは宗教により異なるため、失礼にならないようしっかり覚えておきましょう。
玉串料を持参する際には、香典と同様に袱紗に包むのがマナーです。準備した玉串料と一緒に、お供え物を持参する場合もあります。日持ちのするお菓子のセットや、季節の果物などが喜ばれる傾向です。天理教においてはお酒もお供えできるため、故人が好きだった銘柄を贈るのもよいでしょう。日用品なら洗剤やタオルなどがおすすめです。
ただしお供え物は必ずしも持参する必要はありません。故人との間柄や、これまでの感謝、これからのお付き合いなどを考慮し心を込めて贈ります。
一年祭に参列の際、迷いが生じやすいのが服装や小物です。一般的にはブラックスーツ、黒のワンピースやアンサンブルなどの喪服がふさわしいでしょう。
男性であれば黒色のネクタイ、光沢のない黒い革靴やスエード靴などを選び、派手なネクタイピンは外します。女性は黒色ストッキングとパンプスを履き、バッグや髪留めなども黒でそろえましょう。
基本的にアクセサリーは付けません。結婚指輪や真珠のネックレスなどは付けても問題ないされていますが、必要がなければ外して参列するのがおすすめです。
数珠はもともと仏教で使用する仏具であるため、天理教では使いません。また、線香やろうそくも仏式の文化です。天理教では、焼香の代わりに玉串と呼ばれる神具を用い「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」を行います。
日本では仏式や神式が多い傾向にありますが、弔事の際は宗教間の違いやしきたりに注意し、失礼にならないよう心掛けましょう。
仏式の葬儀や法要に慣れている方は、仏教用語や概念を天理教の祭事に持ち込まないように注意が必要です。天理教には「出直し」や「生まれ変わり」という死生観があるため、死は必ずしも悲しいものとして捉えられるわけではありません。遺族にかける言葉にもNGな表現があります。
天理教でNGとされる言葉 |
冥福、供養、成仏、他界、往生、ご愁傷様、焼香、あの世 |
また、仏式のように「お悔やみの言葉」を言わないのも特徴です。遺族へお声かけする際には、言葉選びに十分注意しましょう。
一年祭の案内を頂いたものの、参列できないときは弔電を送りましょう。その際も仏教用語に注意します。参列できないことへのお詫びとともに、御霊の平安を祈ることに触れるのがポイントです。弔電に使える文例をいくつか紹介します。
【文例1】
一年祭に当たり参列すべきところ 諸事情により参列がかなわぬ失礼をお許しください
御霊のご平安をお祈り申し上げます
【文例2】
遠方から安らかなお眠りにつかれますよう お祈りいたします
同じ天理教であっても、教会ごとに細かな違いがあります。所属する教会の習わしにのっとり、祭事に参列しましょう。こちらでは一年祭を営む一般的な流れと、玉串奉奠(たまぐしほうてん)の作法について解説します。
一般的な天理教の一年祭の流れは以下の通りです。
1.お祓いをする
2.神職が献饌し、神前で玉串奉奠を行う
3.施主から順に参列者が玉串奉奠を行う
4.神職が神前のお供え物を下げる
しかし、天理教は教会も多数あり、少しずつ手順ややり方が異なることもあると覚えておきましょう。また、一年祭にかかる時間は参列者の人数によっても左右されます。祭事の後に会食の場を設けたり、参列者と話をする場を作ったりするのも一般的です。
玉串奉奠に使われる「玉串」とは、榊(さかき)の枝に紙垂(しで)や麻を結んだもので、祭事には欠かせない神具のひとつです。玉串は右手の甲が見えるようにして根本を持ち、左手で枝葉の先を下から支えます。拝礼の作法は以下の通りです。
1.施主(喪主)と遺族に会釈をする
2.神主に一礼し、玉串を受け取る
3.玉串を胸元で保持したまま進み、祭壇の前で一礼する
4.玉串を時計回りで90度回転させる。根元が自分のほうに向いたら気持ちを込める
5.そのまま180度回転させて根元を祭壇に向け、両手で台の上に供える
6.二礼・四拍手・一拝・四拍手をする
7.遺族と神官に会釈をして席に戻る
神式の場合は「二拝・二拍手・一拝」ですが、天理教の習わしは「二礼・四拍手・一拝・四拍手」となります。「一礼」は軽いお辞儀、「一拝」は深いお辞儀です。神式では音を立てずにかしわ手をしますが、天理教では音を立てても問題ないとされています。玉串奉奠を行う際は作法だけでなく、故人を想い、心を込めることも大切です。
天理教の年祭は一年祭ののち三年祭、五年祭、十年祭と続き、その後は10年ごとに営まれるのが一般的です。百年祭までは年祭を続けるとされていますが、近年は親族の高齢化や家族の生活環境の変化により、十年祭や二十年祭を節目と捉えることが多くなっています。
また仏式や神式と同様に、年月が経過するにつれて規模を縮小する傾向です。十年祭以降は正式な喪服ではなく平服で参列したり、家族やごく近しい親族のみ参列したりするケースが多いでしょう。教会により異なる点はいくつもあるので、いつまで年祭を営むかなどは周囲や教会へ相談するのがおすすめです。
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天理教の一年祭は通常、親族や友人をお呼びして盛大に執り行われます。一般的な玉串料の目安金額や玉串奉奠の作法について知り、スムーズに参列しましょう。また、同じ天理教であっても、教会や地域による違いもあるため、所属する教会のしきたりやルールに沿うことが大切です。
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包む香典の金額は、故人・遺族との関係の深さ、年齢や社会的な立場で異なります。ホゥ。