故人を偲ぶ法要には、香典だけでなくお供え物を持参することもあります。このお供え物には「のし紙」をかけるのがマナーです。のし紙には慶事用や弔事用などさまざまな種類があるので、正しいものを選ばないと相手に失礼になることがあります。
この記事では、法要に持参するお供え物の「のし紙」の選び方やマナーをはじめ、お供え物の選び方や渡し方を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・お供え物には結び切りの水引を使う
・四十九日法要以降の表書きは「御仏前」を使用するのが一般的
・お供え物の予算は5,000円~15,000円が目安で「消えもの」が適している
こんな人におすすめ
のし紙について知りたい方
「のし紙」と「かけ紙」の違いを知りたい方
お供え物を渡すときのマナーについて知りたい方
かしこまった場面で渡す贈り物にかける紙を、「のし紙」といいます。しかし本来「のし紙」は慶事の贈り物にのみ使用されます。弔事で使用する紙は「かけ紙」と呼ばれます。
ここからは、お供えや「のし紙」の基礎知識と、「のし紙」と「かけ紙」の違いについて紹介します。
お供えは、葬儀や法事など儀式の際に信仰の対象に捧げるものです。仏教の信仰の対象は「仏陀(ブッダ)」ですが、法事などの際は「故人や先祖への捧げ物」という意味合いが強くなります。
お供えは、四十九日や一周忌などの法要に持参することが多いです。また、通夜や葬儀などに参列できず後日遺族の自宅へ弔問する場合や、お盆やお彼岸に親族の自宅に挨拶に行く場合にも、お供えを持参します。
また、仏壇やお墓にあげる花や線香、お茶やお菓子なども「お供え物」のひとつです
「のし紙」とは、贈り物にかけるかけ紙に「のし(熨斗)」「水引」「表書き」を印刷したものです。慶事に用いる祝儀袋の右上に赤と黄色の台形の絵が描かれているのを見たことがある方も多いかもしれません。
これを「のし」といい、縁起物の象徴である乾燥鮑を薄く熨(の)して巻いた「熨斗鮑(のしあわび)」を表現しています。
本来「のし紙」とは「熨斗鮑(のしあわび)」が描かれているものを指します。「のし紙」は慶事でのみ使用され、仏事の際に用いる水引と表書きのみのものは「かけ紙」と呼ばれます。
よって、お供え物のかけ紙を「のし紙」と呼ぶのは誤用ですが、昨今は「熨斗鮑(のしあわび)」のないかけ紙も「のし紙」と呼ぶことが一般化しています。この記事では、誤解をあたえないために、以降「弔事用のし紙」と表現します。
お供え物を用意する際は、水引の種類にも気を配りましょう。水引には「蝶結び」「結び切り」「あわじ結び」などがありますが、お供え物には「結び切り」を使用します。「結び切り」は一度結んだらほどけない結び方で、「一度だけ」「繰り返さない」という意味があります。
一方で、慶事には「何度も繰り返してもよいおめでたいこと」という意味がある「蝶結び」の水引を使用します。ただし、婚礼やお見舞いなど「一度きりでよいこと」には赤白の結び切りが使用されます。
故人を偲び供養するために、四十九日法要や一周忌、初盆法要や三回忌など、定期的に法事を行います。法事には香典と一緒にお供え物を持参するのが一般的です。
ここからは、お供え物を渡すタイミングや使用する弔事用のし紙の種類、表書きの書き方について解説します。
弔事用のし紙の種類は、大きく3パターンに分かれます。地域や宗派によってしきたりは異なりますが、お供え物を渡すタイミングと使用する弔事用のし紙の種類は以下のとおりです。
お供え物を渡すタイミング | のし紙の種類 |
四十九日前(通夜・葬儀) | 水引は白黒の結び切り |
四十九日以降(各種法要) | 水引は白黒・黄白・双銀いずれかの結び切り |
お盆 | 水引は黄白の結び切り |
「三回忌までは黄白の水引は使わない」という地域もあるため、お供え物を持参する際は事前に地域の慣習を確認しておきましょう。
のし紙には「内のし」と「外のし」があり、包装紙の内側にのし紙をかけるのが「内のし」、外側にかけるのが「外のし」です。一般的に、法要当日に直接お供え物をお渡しする場合は外のしにします。法要当日は多くのお供え物が仏前にお供えされるので、見えるところに贈り主の名前が書いてあるほうが、誰からのものかわかりやすいためです。
当日参列できず郵送する場合や法要以外のタイミングでお供え物を持参する際は、内のしが多く用いられます。ただし、外のしでも間違いではありません。不安な場合は購入店舗や葬儀会社に確認しましょう。
お供え物にかける弔事用のし紙には、水引の上に表書き、下に贈り主の名前を書きます。表書きの文言は、お供え物を贈る時期によって変える必要があります。
お供え物を送るタイミングに応じた表書きの種類は、以下の表のとおりです。
表書きの種類 | お供え物を贈るタイミング |
御霊前 | 四十九日前(ただし浄土真宗では四十九日前も「御仏前」を使用する) |
御仏前 | 四十九日法要以降に使用する |
御供物 | 時期選ばず幅広く使用できる(地域によっては「御供」が一般的な場合もある) |
新盆御見舞 | 初盆のお供え物にのみ使用できる |
志 | 喪主や施主が香典返しをする際に使用する |
表書きも水引の種類と同様に、地域や宗派によって異なる場合があります。不安な場合は近しい方に確認してから手配をすると安心です。
弔事用のし紙の水引下部には送り主の氏名を記載します。連名で贈る場合は、立場や年齢が上の方の名前を右に書くのが一般的です。夫婦の場合は、夫の氏名を書き、その左側に妻の名前だけを記載します。
連名で記載できるのは通常は3名までです。4名以上の場合は「有志一同」「社員一同」と記入して、全員の氏名を書いた別紙を添えましょう。社名や肩書きを記載する場合は、中央に書いた名前の右上に名前よりも小さい文字で記入します。
弔事用のし紙に名前を書く際は、薄墨の筆ペンを使用します。薄墨には、「涙で墨が薄まった」という意味が込められています。最近は、薄墨と通常の墨色の両方がセットになっている筆ペンもあるので、1本持っておくと便利です。
お供え物としてお渡しする品は、何でもよいわけではありません。「自分が好きだから」「故人が好きだったから」という理由でお供え物を選んでしまうと、遺族の迷惑になってしまうこともあります。
ここからは、法事におすすめのお供え物やマナーを紹介します。
法事のお供え物の予算は5,000円~15,000円が目安とされています。故人との関係性にもよりますが、あまりにも高価なものだと遺族がお返しに困ってしまいます。
上質なものを贈りたいと思うかもしれませんが、高くても15,000円くらいに収まるようなものを選びましょう。
お供え物を選ぶ際は以下の3点に注意しましょう。
・消えもの
食べたり使ったりすると消える消耗品のことを「消えもの」と呼びます。消えものはお供え物としてよく選ばれます。食べ物や飲み物をはじめ、仏壇やお墓に供える線香やロウソクなども喜ばれます。
・日持ちするもの
食べ物や飲み物は、常温で賞味期限が長いものを選びましょう。遺族がお供え物を多く受け取った場合、賞味期限が短いと消費しきれない可能性があります。
・故人が好きだったもの
故人が生前好きだったものを把握している場合は、それをお供え物に選んでもよいでしょう。遺族も「故人のことを覚えていてくれる」と喜んでくれるかもしれません。ただし、日持ちしない生菓子や、遺族が飲むかわからないお酒などは避けましょう。遺族が受け取って困らないものを選ぶことが大切です。
喜ばれるお供え物の条件を聞いても、「具体的に何を選んだらよいか迷ってしまう」という方もいるでしょう。ここからは、季節を問わず喜ばれるおすすめのお供え物を4つ紹介します。
ただし、相手の好みにもよるので、不安がある場合は家族や友人に相談して選びましょう。
・季節の果物
季節の旬の果物を贈る方も多くいます。特にパイナップルやメロンなどは、盛り合わせでも単体でも仏壇周りが華やかになるため、喜ばれます。
・ジュース
ジュースは大人も子供も飲めるのでお供え物に適しています。お供えを終えたあとに、参列者で分け合うこともできます。
・小分けのお菓子
個包装のお菓子は少しずつ消費できて、調理の手間もいらないのでおすすめです。お茶菓子として出すこともできるので、何かと来客が多い法要前後は助かるでしょう。洋菓子でも和菓子でも日持ちする個包装のお菓子は多くあります。相手の好みに合うものを選んでみましょう。
・花
故人の好きだった花を贈ってもよいでしょう。花をお供え物として選ぶ場合は、花瓶がなくても飾れるフラワーアレンジメントを贈るのがおすすめです。葬儀や法事の花というと、菊を連想する方も多いかも知れませんが、最近はカーネーションやユリなど季節の花をお供えすることも増えています。ただし、トゲのある花や匂いがきつい花はお供え物としては不適切です。
お供えを物ではなく、現金でお渡しすることもあります。金銭を包む際は、弔事用のし紙と同様に水引の色や表書きを目的に応じて変えましょう。
現金の場合、表書きは「御仏前」や「御霊前」と記載するのが一般的で、薄墨ではなく濃墨で書きます。現金をお供えする際の水引と表書きの種類は、以下の表のとおりです。
お供えのタイミング | 水引の種類 | 表書きの種類 |
四十九日前(通夜・葬儀) | 白黒の結び切り | 御霊前・御香典 など |
四十九日以降(法事) | 白黒・黄白(青白)・双銀の結び切り | 御仏前・御供物料 など |
お盆 | 黄白(青白)の結び切り | 御仏前・御供物料 など |
最近では「御供」と印字された不祝儀袋に現金を包んで贈ることもあるようです。ただし、古くからのしきたりでは「御供」という表書きはマナー違反とされてきました。礼儀作法を重視する方もいるため、従来の表書きを使用することをおすすめします。
また、お供え物と香典の両方を渡す場合は、表書きがかぶらないようにしましょう。
ここからは、お供え物を遺族に渡す際のマナーを紹介します。当日参列できず、郵送で贈る際のマナーについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
お供え物は、紙袋か風呂敷に包んで持参しましょう。相手に渡すときは、袋もしくは風呂敷から出し「お仏壇にお供えくださいませ」と一言添えて渡します。
そのまま受け取ってくれることもあれば、「お供えしてあげてください」と促されることもあるでしょう。その場合は、仏前で一礼して仏壇横にお供え物を置きます。紙袋に入れて持ってきていた場合はお供え物の下に敷きましょう。状況によっては、焼香の際にお供え物を並べることもありますので、ほかの参列者に合わせることも重要です。
法要に参加できなかった場合や遠方でお参りに行けない場合は、お供え物を郵送することもあるでしょう。その際は、法要の前日までに届くように発送します。届け先は自宅の場合と法要会館やお寺の場合があるので、事前に必ず確認しましょう。
自宅以外に送るときは、送り状に「誰の法要か」「開催日時」「喪主の名前」を記載します。法要会館やお寺では、日々多くの方の法要が行われています。必要事項を記載しておくことで間違いが起こりません。
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お供え物を贈る際は、縁起物である「のし」が印刷された「のし紙」ではなく、水引と表書きのみの「かけ紙」を使用しましょう。お供え物は「消えもの」と呼ばれる食料品や日用品を選ぶのが一般的です。故人への弔いの気持ちと遺族への心遣いを大切に、5,000円~15,000円を目安に選びましょう。
また、お供え物は送るタイミングによって適した水引や表書きが異なるため注意が必要です。
お供えや弔事用のし紙について疑問をおもちの方は、小さなお葬式にお気軽にご相談ください。通夜・葬儀を終えた後の法要にまつわるお悩みに対してもサポートいたします。
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