納棺は大切なお別れの時間|知っておきたい流れと手順

納棺は大切なお別れの時間|知っておきたい流れと手順

納棺(のうかん)とは、お通夜の前にご遺体を死装束(しにしょうぞく)で整え、生前に愛用していた物などと共にひつぎへ納める儀式のことです。故人と向き合うための目的もありますが、詳細について知らない方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、納棺の流れや死装束の取り扱いについて詳しく解説します。具体的な段階を踏まえておくと、万が一のときもスムーズに儀式を進められるでしょう。後半では、納棺や葬儀にかかる費用についてもご紹介します。葬儀全体の流れについても、あわせて理解を深めておきましょう。

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納棺とは?納棺の儀式の意味

亡くなった方を火葬するため、死装束を着せてひつぎに納めるのが「納棺」です。故人が生前好んでいた物を入れたり、供え物を入れたりといった一連の流れを意味しています。ひつぎに納める行為だけでなく、前後も含めてひとつの儀式とする点を理解しておきましょう。

納棺の儀式では、親族など故人と深い関係を持つ方がメインとなって進めるケースが一般的です。火葬の前に実施する儀式でもあるため、故人と遺族が向き合う最後の時間ともいえます。

納棺前の儀式や流れ

亡くなってからひつぎに納めるまで、実施に行う作業も把握しておくと安心です。葬儀の準備も進める必要があるため、遺族にとっては重要な工程ともいえるでしょう。故人を気持ちよく送り出すためには、準備段階に必要な儀式を理解することが大切です。5つのステップに分けて、納棺前の流れを詳しく解説します。

お亡くなり

自宅や病院など、亡くなった場所を問わず「死亡判定」が必要です。担当医師から死亡診断書を受け取り、死亡届を提出するまで保管しておきましょう。この後、なるべく早期に搬送の手続きを進めます。

葬儀を依頼する場所が決まっている場合は、葬儀会社での遺体安置も可能です。故人の友人や他の親族など、身近な方に訃報の連絡を入れましょう。葬儀に関するスケジュール決まっているのであれば、同時に伝えると相手も参列の準備を進めやすくなります。

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末期の水・死に水

安置場所が決まった後、「末期(まつご)の水」と呼ばれる儀式を行うのが一般的です。水を含んだガーゼや脱脂綿を用意し、故人の唇を潤します。「死後の世界で潤されるように」と願いが込められているため、慎重かつ丁寧に実行しましょう。配偶者・子ども・親族で、関係性の深い方から順に交代します。

エンゼルケア

生前と同じ姿のままひつぎに納められるよう、故人に施すのが「エンゼルケア(死化粧)」です。エンゼルメイクとも呼ばれ、看護師や葬儀会社のスタッフに依頼するケースが多く見られます。顔色を整えるだけでなく、爪を切ったりひげを剃ったりといったケアも可能です。

病院で亡くなった場合は、施設内でエンゼルケアが行えるか確認しておきましょう。規定によっては依頼できない可能性があるためです。エンゼルケアを終えた後は、あらかじめ決めた安置場所へ搬送しましょう。

ご遺体の搬送と安置

病院ではご遺体を長時間安置しておくことができないため、別の場所に搬送をして安置をします。安置には、自宅や葬儀社が所有する専用の施設などを利用します。

自宅で安置を行う場合、布団や枕飾りなどを用意します。枕飾りは宗教や宗派によって変わりますが多くの場合、白い布を敷いた台を遺体の枕元に置き、「燭台、花瓶、鈴、香炉、一膳飯、枕団子、水」などを供えます。

花瓶にはしきみを飾るのが一般的ですが、菊や水仙などの場合もあります。布団は季節を問わず敷布団1枚、掛け布団1枚で、北枕にします。このときに、ご僧侶を招いて枕経をあげていただく場合もあります。

葬儀の準備

安置が終わると、葬儀担当者と相談しながら、喪主や日時、葬儀内容、場所などを決めます。お付き合いのある菩提寺(ぼだいじ)があるのであれば、葬儀社との相談と合わせて菩提寺にも連絡を取ります。お通夜や葬儀での読経の依頼の他、戒名についても相談することになります。

納棺の儀式の流れ

適切な流れで納棺を実施するためには、湯灌や死装束の着用といった内容の理解が重要です。当日に「作業方法が分からない」といった結果にならないよう、ひとつずつチェックしておきましょう。お経の有無や納棺に要する時間など、遺族の希望や依頼方法によって異なる可能性も認識できると安心です。納棺全体の流れを6段階に分けて解説します。

湯灌を行う

ひつぎに納める前、故人の体をきれいにするために行われるのが「湯灌(ゆかん)」です。特別な専門設備を用いて実施します。設備がない場合や葬儀会社の方針によっては、体を拭いて汚れを取り除く「清拭(せいしき)」が優先されるかもしれません。湯灌を希望する場合は、あらかじめ葬儀会社に確認しておいた方が良いでしょう。

死装束を着せる

体がきれいになった後は、白色で統一された「死装束」を着せる作業に移ります。本来は三角布などを用いて巡礼姿に施しますが、近年は死装束のみを選ぶケースも多いといえるでしょう。故人や遺族が希望する場合は、生前に使用していた服を用いることも可能です。事前に希望を知らされているのであれば、私物を持参して担当者に依頼しましょう。

納棺を行う

清潔な状態で死装束を着せた後、ひつぎに納める段階へと進みます。故人と共に火葬したい物(副葬品)がある場合は、納棺のタイミングで入れても問題ありません。全て整った後、ひつぎのふたを閉めて終了です。

遺体を納める際は、遺族でなく葬儀会社のスタッフや「納棺師」と呼ばれる担当者が行うケースもあります。自らの手で納棺したい場合は、事前に確認しておくと良いでしょう。口上のあいさつは、出棺の際に喪主が行います
納棺経をあげてもらう場合もある
儀式内容の詳細は、宗教・宗派や地域によってさまざまです。納棺の場合、僧侶を招いて「納棺経」を唱えてもらうこともあります。ひつぎにふたをする前の段階で行われるため、適切な段取りで進めましょう。

遺族が希望しないのであれば、無理に読経を依頼する必要はありません。菩提寺がある方は、納棺前に僧侶へ相談して打ち合わせを済ませておきましょう。

納棺に必要な時間

数時間程度を要するお通夜や火葬に対し、納骨の儀式は短時間で完了します。一般的な流れを想定すると、1時間前後が目安です。納棺経の有無によって異なりますが、短時間の場合は30分程度で終わることもあるでしょう。死装束を着せたり副葬品を納めたりといった儀式に時間をかけた場合は、2時間以上を要する可能性も考えられます。

納棺をするタイミング

納棺の儀式を行う際には、「お通夜の日程に間に合うかどうか」を重視することが大切です。直前に済ませたい場合は、開式の2時間程度前からスタートすると良いでしょう。加えて、参加希望者が全員集えるスケジュールに配慮できると安心です。納棺はいつ行うのか厳密なルールがないため、遺族や親族の予定を考慮した上で検討しましょう。

納棺後の葬儀の流れを把握しておきたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

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葬儀は段取りが肝心。流れ・費用・マナーが「やさしくわかる!」

仏式の死装束について

仏式の場合、死装束は白の巡礼の衣装です。経帷子(きょうかたびら)を着せて、手甲(てっこう)、脚絆(きゃはん)、頭陀袋(ずだぶくろ)をひつぎに入れます。それぞれの物品の意味は次の通りです。

経帷子(きょうかたびら)

経帷子とは、遺体に着せるための白一色の和服です。麻や木綿、紙布などでできていて、縫い目の糸がとめられていません。経帷子を着せる時は、左前という着せ方をします。左前は左の身頃を先に合わせるというもので、一般的な右前とは逆の着せ方になります。なぜこれを行うのかは諸説ありますが、生きている人と区別するために逆のことをするという説が一般的です。

手甲(てっこう)、脚絆(きゃはん)、頭陀袋(ずだぶくろ)

手甲や脚絆は手足を守るための物で、いずれも旅に出る際に利用していた物です。亡くなってから四十九日間は死出の旅を行うといわれているため、実際の旅僧と同じような格好をさせます。

頭陀袋はいわゆる鞄の役割を果たす物で、この中には六文銭を入れておきます。六文は三途の川を渡るために必要な金額とされている物で、上手く向こうへ渡れるようにとの願いが込められています。現在は金属を入れたまま火葬をできなくなっているため、紙に印刷された物が使用されています。

これら以外にも三角頭巾、足袋、わらじなどがあります。現代ではこういった昔ながらの死装束を用いるのではなく、故人が生前好きだった服装にすることも多くなっているようです。そういった場合でも、死装束を別の衣装の上から着せたり、棺の中に入れたりします。

現代の納棺の衣装

昔ながらの死装束として挙げられるのは、三角布足袋わらじといった衣装です。現代においては、「純礼服を着せなくても良い」という考え方が広がっています。形式にこだわらないのであれば、故人が気に入っていた服装も選択肢に含めましょう。死装束のないひつぎが不安な場合は、納棺の際に死装束を入れることも可能です。

納棺に立ち会う人とは

基本的に、納棺の儀式には遺族や親族が立ち会います。お通夜などのように、友人や仕事の関係者が参加するものではない点を理解しておきましょう。服装も厳密な規制はなく、カジュアルなスタイルを可能とすることもあります。今後納棺に立ち会うケースを想定し、原則的なマナーや服装に関する知識を深めておきましょう。

立ち合いは身内のみが基本

原則として、納棺の儀式に立ち会うのは配偶者子どもといった遺族と親族です。友人が参加を希望することもありますが、基本的には不可と考えた方が良いでしょう。納棺には、「遺族と故人が向き合って別れを告げる」という目的があるためです。

ただし、本来立ち会う予定の方が時間を確保できない状況であれば、代理として友人などに依頼するケースもあります。立ち合いにふさわしい方がいない場合は、葬儀会社に相談してスタッフに実施してもらうと良いでしょう。

服装は喪服

特に規定がない場合でも、納棺時は喪服またはブラックフォーマルを着用して立ち会うのが適切です。30分程度で終わる儀式や直後にお通夜を行わない予定であれば、ジーパンなどのカジュアルな私服でも良いとするケースがあります。

葬儀関係の服装はマナーとして知られているため、可能であればブラックフォーマルで参加した方が良いでしょう。遺族が「私服でも良い」と考える場合は、無理に形式的な服装を整える必要はありません。具体的な通知がなく迷うときは、葬儀と同じ服装で参加しましょう。

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お通夜の服装マナー|男性・女性・子ども

棺へ納める副葬品

納棺の際に、副葬品(ふくそうひん)として、故人の愛用品などを一緒にひつぎに入れることができます。例として、愛用していたタバコや生花、簪(かんざし)、櫛(くし)などの他、杖や経典といった物も入れられます。

ただし、燃えにくい物や爆発の恐れがある物は入れることができないので注意しましょう。例えば、メガネや有毒ガスが発生するプラスチック製品の他、爆発する可能性のある密封したビンや缶などが当てはまります。

納棺からお別れまでの流れ

納棺の儀式を終えた後は、お通夜を執り行うケースが一般的です。場合によっては火葬のみ行うこともありますが、多く見られる流れとしてお通夜・葬儀も押さえておきましょう。一連の儀式を無事に終えると、火葬のために出棺する流れです。3つのステップに分けて、納棺後のお通夜から出棺までの内容を解説します。

お通夜

あらかじめ依頼した僧侶を招き、参列者と共に着席しましょう。準備が整い次第、読経が始まります。担当者から焼香の指示が出ると、喪主・遺族・親族といった順に焼香を実施する流れです。

故人だけでなく、僧侶への一礼も忘れないよう注意しましょう。回し焼香では席を立たないため、隣席の方へ手渡すのみで問題ありません。読経を終えた後、飲食物を提供して「通夜振る舞い」が行われます。

葬儀

通夜振る舞いが終了した後は、葬儀告別式へと移行します。参列者や僧侶がそろうと、喪主のあいさつにより開式とする流れです。式辞や弔電がある場合は、読経を終えた後に紹介します。遺族から関係者の順に焼香を行い、参列者にも順に実施してもらいましょう。最後に閉式のあいさつを告げ、参列者が退場すると一連の工程は終了です。

出棺

葬儀・告別式を終えると、ひつぎに入った故人を火葬場へ搬送します。火葬に立ち会う人数が多い場合は、あらかじめ移動用の車を手配できると安心です。葬儀会社の担当者や遺族がひつぎを運び、霊きゅう車など輸送用の車へ載せます。

火葬場と会場の位置関係によっては、事前に用意された台車での移動も可能です。葬儀会社の指示に従い、適切な方法で火葬を行いましょう。

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出棺・火葬の流れと参列する際のマナー

納棺や葬儀の費用

葬儀会社に納棺を依頼する場合、お通夜や火葬費用も含めて提示されるケースがほとんどです。全体の費用は葬儀の規模によって異なり、高額な儀式では100万円を超えることもあります。「出費を抑えたい」と考える方は、家族葬のように小規模な葬儀を検討するのもおすすめです。

「小さなお葬式」では、遺族の希望や予算に適した葬儀プランを多数展開しています。納棺料もセット料金に含まれるため、費用面で不安を感じている方もぜひご利用ください。豊富なラインアップの中から、ニーズに応じたプランをご提案します。

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まとめ

お通夜や葬儀が必要になったとき、初期段階で重要な儀式が「納棺」です。火葬まで故人が休む場所でもあるため、実際に行われる工程や内容をしっかり理解しておきましょう。近年では選択肢の自由度も高まっていますが、マナーに関する知識も大切です。

納棺の前後に行われる作業を把握しておくと、焦らずスムーズな儀式を進めやすくなります。経験や知識の不足を懸念している方は、ぜひ「小さなお葬式」へご相談ください。疑問や不安を解消しながら、希望に沿った葬儀プランをご提案します。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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