突然の訃報の知らせを受け取ると、戸惑い悲しむことでしょう。その後、葬儀に実際に参列するにあたり、弔事に関するしきたりやマナーに関して不安がこみ上げるかもしれません。葬儀の形式やマナーについては、それぞれの宗旨によって異なりますので、ことさらに気を遣います。
一般的に、香典は三千円以上と言われていますが、表書きや金額の書き方が分からないということもあるでしょう。この記事では、三千円の香典を包む時の書き方や袋のマナーについてご紹介します。
<この記事の要点>
・香典の金額が三千円の場合、漢数字で「金参阡圓」と書く
・仏教の場合、香典袋の表書きは四十九日までは「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」と書くのが一般的
・香典金額が3,000~5,000円程の場合は水引が印刷された香典袋を選ぶ
こんな人におすすめ
香典三千円の際の表書き・金額の書き方を知りたい方
香典三千円の際の香典袋の選び方を知りたい方
香典の渡し方について知りたい方
香典をお渡しする際には、いくつかの必要事項を自筆で記入する必要があります。表書きについては、下記の項目で大まかな宗教の違いについてご紹介しておりますので参考にしてください。
表書きの他に記入すべき項目に金額があります。冠婚葬祭時における金額の書き方に関して覚えておくべきマナーを下記の通りです。
一般的なしきたりとして、香典の金額を記入する際には漢数字の大字(旧字体)で書きます。この漢数字の大字とは、もともと中国から伝わった文字で、間違いや改ざんを防ぐために大切な書類で使用されてきました。
日常生活ではほとんど使用しないものですが、いざとなった時にスマートに使うことができるように社会人の知識として覚えておきましょう。下記に、主な漢数字に関して旧大字との違いを表にしています。
漢数字 | 大字 | 旧大字 |
一 | 壱 | 壹 |
二 | 弐 | 貮、貳 |
三 | 参 | 參 |
千 | ‐ | 阡、仟 |
万 | ‐ | 萬 |
円 | ‐ | 圓 |
上の表から、漢数字の大字には現代の大字と、旧大字とがあることがお分かりでしょう。よほどの指定がない限りは、どちらの大字を使用しても問題ありません。
実際に金額の書く際には、「金」を頭につけて縦書きで書きます。例えば、三千円の場合は「金参阡圓」、五千円の場合は「金伍阡圓」、一万円の場合は「金壱萬圓」と書くのが一般的です。千は「阡・仟」、円は「圓・円」のどちらを用いても構いません。金額の最後に「也」を付ける場合もあります。
漢数字の大字は、上記の表以外の数字もありますが、現代において日本の書類で使用するのは、主に「壱・弐・参・拾・阡・萬」がほとんどで、それ以外の漢数字の大字はあまり使用していません。
購入した香典袋の中には、金額の記入欄が最初から印字されており、それが横書きの場合もあります。横書きの金額記入欄が設けられている場合は横書きで書きますが、算用数字またはアラビア数字で記入しても構いません。
横書きで算用数字を使用して書く場合も、金額の前に「金」または「¥」を付けカンマを入れます。もちろん、漢数字で書いてもマナー違反ではありませんので、自分が書きやすい思うほうを用いることができるようです。
香典袋の金額の書き方について述べましたが、金額を記入するのは気が引けると思う場合があるかもしれません。しかし、遺族ではない方が葬儀の受付や会計を行っている場合も少なくないようです。お金の問題であり、間違いがないようにきちんと整理していくためには必要なマナーとされていますので、覚えておきましょう。他にも、注意する必要がある点についてご紹介します。
香典袋には、中袋がついているものが一般的です。まず金額を中袋表面の中央に縦書きで記入しましょう。中袋の表面というのは、封筒タイプの場合は蓋がない側、奉書紙タイプの場合は紙の端が見えないきれいな側を指します。中袋がないタイプの香典袋の場合は、香典袋(外袋)の表面には表書きと氏名を記入しますので、裏面左下の住所を記した横に改行して金額を書くことが必要です。
葬儀が終わった後香典の中身を確認する際には、香典袋の外袋を外してお金を集計することが一般的ですので、中袋の裏面に自分の住所と氏名を記しておきます。葬儀にはたくさんの方が弔問に来られますので、遺族側の負担を軽減するためにも、住所は郵便番号や部屋番号も含めて正確に記しておくようにしましょう。
そうすれば、あとからお礼状などを準備する際にわざわざ住所を確認しなくてもよくなります。香典の際のマナーにおいては、遺族側の負担を減らしたいという配慮の気持ちから考えることがすすめられています。
香典袋の外袋表面の中央上部には「表書き」と呼ばれる表記を記し、下部には氏名を記します。表書きが印刷されている香典袋を購入することもできますが、表書きの書き方はそれぞれの宗教で異なりますので、購入するにしても自分で記入するにしても注意することが必要です。
仏教の場合は、一般的に四十九日より前は「御霊前」と書き、四十九日の法要以降は「御仏前」と書くとされています。ですから、香典を渡すタイミングで表書きが異なるということです。
同じ仏教の中でも、浄土真宗の場合は異なります。霊に対する考え方が異なりますので「御霊前」という表記は使用しません。渡すタイミングにかかわらず「御仏前」という表書きを使用します。仏教にも色々な宗派がありますが、どの宗派が分からない場合は「御香料」または「御香典」と書くのが無難でしょう。
神道にのっとって執り行われる神式の葬儀の場合は、表書きとして「御榊料」「御玉串料」「神饌料」を用いるとされています。また「御霊前」「御神前」を使用することもできるでしょう。地域によって異なる場合が多々ありますので、詳しくは地元の風習に詳しい方に聞くことが無難だといえます。
キリスト教の場合もたくさんの宗派に分かれていますので、一概に言うことはできません。一般的にキリスト教の場合は「御花料」「御ミサ料」を使用します。香は焚きませんし、仏になるという考え方もありませんので「御香料」「御仏前」は使用しません。カトリックの場合は「御霊前」は用いることができるとされていますが、プロテスタントの場合は失礼に当たるとされています。
場合によっては、会社の部署内や学校のPTA、その他仲の良い友人同士連名で香典を包むことがあるかもしれません。連名で包む場合は、人数によって香典袋の書き方に違いがあるので注意が必要になってきます。
3人までの連名で包む場合は、香典袋の外袋表面下部の中央に一番目上の人の名前を書きましょう。それから、左側に順にあと2人の名前を書きます。書く順番は、上下関係があればその順番で、同等の立場であれば五十音順に書きましょう。
4人以上の多人数の連名の場合は、香典袋の外袋には「○○一同」と会社名やグループ名を記します。職場のグループであれば、部署名など細かな名称を書いておくと分かりやすいでしょう。その後、中袋の裏面に一番目上の人の名前のみを書きます。加えて、別紙に全員の住所と氏名とそれぞれが包んだ金額を書いておくと、遺族が後から確認する時に助かることでしょう。
香典袋に書く際のペンを選ぶ時も注意が必要とされています。表書きや氏名を書く場合は、弔意を表す薄墨専用の筆ペンを使用するのが一般的な作法です。古来、墨をすって筆で文章をしたためていた時代に「訃報を聞いて、悲しみの涙で墨がにじんで薄くなってしまった」というのがそのしきたりの由来だといわれています。薄墨専用の筆ペンは、コンビニでも容易に手に入るので大抵の場合用意できるでしょう。
最近は最初から印字されている香典袋もありますが、そうではない場合は手書きで丁寧に書く方が相手に自分の心遣いが伝わります。しかし、慣れない筆ペンのため、小さい文字や金額を記入する際にどうしてもにじんだりして上手に書くことができないのであれば、黒いサインペンで構いません。
香典袋をいざ購入しようとする場合、その種類の多さに戸惑うかもしれません。選ぶ際に気を付けるべきだといわれていることとは、包む香典の金額に見合ったものを選ぶということです。
例えば、3,000~5,000円程を包む際には、水引が印刷された香典袋を使うとよいとされています。黒白あるいは双銀の水引を自分でかけるタイプもありますが、これは1~3万円程包む時に用いることができるでしょう。
亡くなった方との関係性を考慮して、3万円を超える額を包む場合もあるかもしれません。その際は、双銀の水引がついている高級和紙で作られた中金封の香典袋を使用するとよいとされています。購入する際に大まかな金額の目安がパッケージに書かれている場合もありますので、包む金額を決定した後に購入するとよいでしょう。
また、宗教によっても使用できる香典袋に違いがありますので、事前に確認しておくと安心です。
香典に包むお金を入れる時のマナーについても不安に思うことがあるかもしれませんが、最近では特に厳密な決まりはないといわれています。しかし、暗黙のルールとして認められているのが、お札を同じ向きで揃えて入れることや、肖像画が描かれていない裏面を下向きで入れておく、ということです。
中袋がある場合とない場合がありますが、いずれにしても表書きを書いている表面を基準にして考えると分かりやすいかもしれません。表面から見た時に、お札の肖像画も額面も映っていなければ正解です。
また、新札は使用しないというのは、どの宗教や地域においても通じる習慣と言えます。昔の人々は、新札があまり手に入らなかったので、必要に応じて前もって用意していたという習慣があったため、不幸を予測していた印象を与えるという考え方が根強くあるからでしょう。もし新札しか手元にない場合は、一回折り目を付けて包むのが望ましいようです。
また、連名で包む場合に紙幣が複数枚になる時は、可能であれば5千円札や1万円札に両替しましょう。これは、遺族側の負担を減らす気遣いです。
香典をお渡しする場合は袱紗(ふくさ)に包んでおき、お渡しする直前に袱紗から取り出すこともマナーの一つです。決して間違ってはいけないのは、袱紗ごと香典を受付などで相手に渡してしまうということで、これは大変失礼に当たります。金額がたとえ3千円ほどの少ない金額であったとしても袱紗を使用するというのは同じです。
最近では、袱紗も様々な場所で気軽に購入することができるようになりました。袱紗の色には何種類かありますが、冠婚葬祭に応じてふさわしい色が定められています。弔事の場合は、紫色や暗色系の色の袱紗を利用することが作法です。
香典を実際にお渡しする方法についても、注意しておくとよい点があります。通夜と葬儀片方のみの参列の場合はその時に渡すことができますが、両方に参列する予定の場合は悩むところかもしれません。地元に詳しい方にお聞きするのが一番ですが、多く聞かれるのは通夜の席でお渡しするケースです。
葬儀に参列した際に渡す場合は、受付で「この度はご愁傷様でございます」などと気持ちのこもった一言を添えて一礼するとよいでしょう。そして、袱紗に包んでおいた香典を取り出し、袱紗をたたんでその上に香典袋を置きます。
そして、受付の方から見て表書きが正面を向くように袱紗と香典袋を180度回転させて丁寧にお渡しするとよいとされていますので、慌てずに渡す時の向きに注意することが必要です。この際にも「御霊前にお供えください」など、自分の気持ちを一言添えるという方が多くおられます。
この時に発する言葉は「わざわざ」や「重ね重ね」などの忌み言葉を避けて、短い方が良いでしょう。なんと言っていいのか分からない場合などは丁寧な目礼だけでもよいとされています。
参考動画:香典の渡し方・マナー【小さなお葬式 公式】
動画が見られない場合はこちら
一般的なしきたりとして、葬儀に参列できなかった場合の弔問は葬儀後7日以内が理想だと言われていますが、厳密に決まっているわけではありません。その際に香典をお渡しする方法としては、仏壇や祭壇にお参りする前に香典を供えるのが作法とされていますので注意しましょう。
供える際の向きは、自分の方に表書きが読める方向に向けます。もし、どこに供えていいか分からない場合は、遠慮なく遺族の方にお尋ねするか、お参りの後再度ご挨拶をする際に直接お渡しすることができるでしょう。法要や納骨式の際にお渡しする場合は、始まる前に施主様にお渡しします。
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弔事のしきたりやマナーについては、地域や宗教などの要素が深く関係してきますので、多方面にわたって注意することが必要です。様々な考え方があるということについて、知識と理解を示すことが必要になってきます。細かいことは地元の慣習に詳しい方に聞くこともできますが、一般的な作法などについてお知りになりたい方は「小さなお葬式」へご相談ください。
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