一周忌に持参する物を確認したいと考えて、さまざまな情報を探しているという施主や参列者の方もいるのではないでしょうか。
施主と参列者だけでなく、宗教・宗派によって用意すべきものが異なります。できれば自分の立場ごとに必要なものを1回ですぐ把握して、足りないものを適切に用意したいものです。
そこで本記事では施主、参列者それぞれが一周忌に用意するものについて、網羅的に分かりやすくご説明しますので、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・施主は2ヶ月前までに案内状の作成や会場・僧侶の手配をしておく
・施主は2週間前までにお布施や香典返しを用意しておく
・参列者は当日までに香典を用意し、袱紗に包んで持参する
こんな人におすすめ
一周忌に用意するものを網羅的に知りたい人
施主としての準備物が知りたい人
参列者としての準備物が知りたい人
施主側は、おおよそ2ヶ月前からさまざまな準備に取りかかります。準備の段階ごとに用意するものが変わるため、滞りなくそろえたいものです。
リストを用いながら準備の段階ごとに用意すべきものを把握し、亡くなった方を安心して偲ぶことができるようにしましょう。
一周忌2ヶ月前までに用意するものリスト |
・参列してほしい方の人数分の一周忌案内状 |
一周忌に呼ぶ方を選び、会場・僧侶の読経に関する手配が完了したら、参列者向けの案内状を準備します。日程選びのポイントは、命日の前の週の週末を選択することです。
5月25日(火)に亡くなった場合 → 5月22日(土)または5月23日(日)
一周忌は日程を前倒しすることは可能ですが、後倒しにはしません。仏事は先延ばししないという古からの教えがあるためです。
何らかの事情により、亡くなった方の命日の前の週末に一周忌を執り行えない場合は、
・2週前の土日
・1ヶ月程度前の週末
などとしても差し支えないでしょう。
会場選びは、亡くなった方のお墓や食事会場に近いかどうかがポイントです。施主や参列者の中には、長距離を歩けないという方もいるかもしれません。
そのような場合を考慮し、バリアフリーがあるのかどうかや、移動用のマイクロバスの手配なども検討します。
菩提寺で一周忌を執り行う場合、正座が難しい方がいることにも配慮し、椅子の用意があるかどうかも併せて確認するとよいでしょう。
案内状は、日程や会場、僧侶の読経を手配したうえで作成します。一周忌の案内は、電話が一般的です。ただし、一周忌の場に亡くなった方と生前親しかった知人・友人を呼ぶ場合は案内状の送付をすることもあります。
案内状の作成に当たっては、
・一周忌を執り行うこと
・日にち
・時間
・場所
・差出人
・返信期日
を盛り込み、句読点の代わりにスペースを含めながらしたためましょう。以下に例文を示しましたので、参考にしてみてください。
謹啓 新緑の侯 みなさまにおかれましては ご清栄のことと存じます
亡父○○○○(戒名 ○○○○居士)の逝去より まもなく一年が過ぎようとしております
つきましては 一周忌法要を下記にて営みたく存じます
ご多用中のところ大変恐縮ではございますが ご参会賜りたく ご案内申し上げます
謹白
記
日時 令和○年○月○日 午前11時より
場所 法事専門会館 春秋苑
住所 東京都墨田区xxx○-○-○
電話番号 03-1234-5678
法要後に同会館にて粗宴のご用意がございます
以上
令和○年○月○日
東京都足立区xxx○-○-○
施主 山田太郎
他 家族一同
※お手数をおかけして恐縮ではございますが◇月◇日までにご参会有無のご連絡をいただきたくお願い申し上げます
案内状の送付が完了し、正式な参列者の人数が確定してから、会場規模や料理など必要に応じた手配をするとスムーズです。
参考:『法事・法要の案内状の書き方徹底解説!法事や場面ごとの文例も紹介』
一周忌2週間前までに用意するものリスト |
・僧侶や司式者へのお礼 ・参列者への香典返し ・会場に供えるお花 ・挨拶文 |
一周忌の2週間前には読経する僧侶も正式に決まり、会場規模や送付先の住所も判明する頃でしょう。この時期には僧侶や司式者へのお礼や参列者への香典返しの用意を進めます。
僧侶を手配した場合、一周忌のお布施の目安は3万円~10万円ほどです。お車代や御膳料に関しては別途用意するケースが多いこと、地域差があることから、不明な点があれば周囲に確認しましょう。
参列者に渡す香典返しは、香典の2分の1~3分の1または3,000円~5,000円が目安とされています。持ち帰るのに重すぎず、もらったらちょっとうれしい消耗品がおすすめです。
香典返しで選ばれる品物 |
・お茶や紅茶セット ・調味料セット ・洗剤 ・タオルセット ・カタログギフト |
最近では亡くなった方の生前好きだったものや予算に応じて選びやすい「カタログギフト」も選択肢のひとつとして定着しつつあります。また、一周忌当日に供えるお花やお供え物もこの時に手配しておくとスムーズです。
特にお花の場合、一周忌では淡い色のお花であればお供えできるため、亡くなった方の好きだったお花や色味を添えるとよいでしょう。
進行を担当する場合や施主を務める場合は、最初と最後の挨拶文を準備しておくと当日慌てずに済みます。
一周忌当日までに用意するものリスト |
・亡くなった方の本位牌 ・遺影 ・骨壺(納骨式も執り行う場合) ・あらかじめ用意したお布施や香典返し、お花やお供え物 ・数珠 ・ろうそく ・線香 ・経本(宗派による) ・一周忌にふさわしい装い(準喪服など) |
亡くなった方の本位牌は忘れずに用意しましょう。四十九日以降、位牌は白の仮位牌から本位牌へと変わっているのが一般的です。持ち出すまでに丁寧に拭くなどしてきれいにしておきます。
遺影は亡くなった方をしのぶという点においては、あったほうがよいでしょう。必ずしも葬儀の際に使った遺影を使わなければいけないということはありません。
葬儀後により良い写真を見つけた場合、一周忌の遺影として差し替えることがあります。
一周忌と併せて納骨式を執り行う場合は、骨壺も忘れないように準備しましょう。宗派によっては経本の持参を求められることもあるため、忘れず用意します。
また、一周忌で施主の服装は、葬儀・告別式とほとんど同じです。施主の場合、一周忌法要においても正喪服の着用が正式ですが、現状として参列者と同じ準喪服を着用するケースがほとんどです。
自宅で一周忌の法事を執り行う場合は、本位牌だけでなく仏壇周りもきれいに掃除するのを忘れないようにしましょう。
宗派によっては普段と法事用で仏壇飾りを分ける場合もあるため、当日までに菩提寺などに確認したうえで準備すると安心です。
参列者として一周忌に赴く場合、どうしても外せない用事がない限り、参列を断ってはいけません。
一周忌の場合はおおよそ1、2ヶ月前に案内があるため、焦らず準備できるでしょう。案内状をもらったら早急に返事し、用意するものを確認するのがおすすめです。
一周忌でも持参します。香典は、以下の記事を参考に自分と亡くなった方の関係性に応じて包む金額を決めましょう。
不祝儀袋の内袋や数字の書き方は、葬儀・通夜時における香典の書き方とほぼ変わりありません。しかし、仏式の場合は表書きを「御仏前(御佛前)」、または「御香料」「御香典」とします。一周忌は忌明け後初めての法要であることから、表書きも含め全て濃墨です。
参考:『法事に参加するときに持っていくお金の相場は?|香典袋や袱紗も用意しよう』
葬儀・通夜の時と同じく、香典を丸裸で持参してはいけません。香典を包むための袱紗(ふくさ)を当日までに準備しましょう。
現代では、袱紗の色も多種多様です。一周忌など弔事の場では、無地・寒色の袱紗が選ばれます。
・紺色
・深緑色
・うぐいす色
・グレー
・紫色 など
特に紫色は弔事だけでなく慶事でも使用できる万能カラーです。紫色の袱紗をひとつ持っているだけで、あらゆるシチュエーションに対応できるためおすすめします。
亡くなった方が仏式でお見送りされている場合は、数珠を持参するのが無難です。亡くなった方の宗派に合わせた数珠を用意するのが最適ではあるものの、毎回数珠を買い足すわけにはいきません。
そのため、参列側は宗派を選ばない略式数珠を持参するのが一般的です。もし、略式数珠の持ち合わせがない場合は自分の宗派の数珠でも差し支えありません。
香典とは別に、参列者側がお供え物やお花を持参しても問題ありません。仏式の場合は五供(ごくう)・神式の場合は神撰(しんせん)にのっとった、一周忌の場にふさわしいお供え物を用意しましょう。
仏式における五供(ごくう) | 神式における神撰(しんせん)の一例 |
・お香 ・お花 ・灯明(ろうそく) ・水 ・飲食(おんじき) |
・お米 ・塩 ・酒 ・玉串 ・野菜や果物 ・魚 |
仏式の一周忌におけるお供え物として親しまれているものをいくつかピックアップしてご紹介します。
五供(ごくう)に則ったお供え物の一例 |
・線香 ・ろうそく ・小分け包装の乾燥菓子 ・果物 ・お花 ・ペットボトル飲料 など |
仏式では、亡くなった方が大好きだったとしても、十悪に入る「殺生」を連想させるものや「四つ足生臭」に該当する肉や魚類はお供え物としてふさわしくありません。
また、宗派によっては、香りの強いものが禁止されていたり、酒は心を乱すとして供えられなかったりする場合があるため、参列する一周忌によって注意すべき点が異なります。
以下の記事では、一周忌のお供え物の選び方をより詳しくご紹介しています。参考にしてみてください。
参考:『一周忌のお供えは何を選ぶべき?選び方と渡し方のマナーを解説!』
弔事の参列者の装いは、施主よりも格下の喪服でなければならないという基準があります。しかしながら、現在は施主と同様に準喪服を選ぶことが一般的です。
本来であれば準喪服での来場が望ましいとされていますが、施主の意向などにより平服の場合もあることを覚えておくと便利です。
受け取った案内状に「平服で」と記載されていれば亡くなった方をしのぶ場にふさわしい平服を準備し、特に言及がなければ準喪服で向かうとよいでしょう。
最近では個人の考え方も多様化しています。着用すべき喪服に不安がある場合は、周囲の方や地域に詳しい方・葬儀社に相談してから装いを選んでも遅くないでしょう。
一周忌は仏式において重要性があるというだけでなく、他の宗教においても節目であることから、盛大に執り行われる傾向にあります。
一方で、近年では新しい生活様式や費用面などの影響から一周忌も簡素化傾向にあることも覚えておくと役立つでしょう。
誰かが亡くなって1年経過したということは、どの宗教・宗派においても節目であることから、大切な儀式が執り行われます。神道では式年祭のうちの一年祭、キリスト教ではカトリックでは追悼ミサ、プロテスタントでは記念集会を開きます。
仏教の場合、亡くなった日と月のことを「祥月命日(しょうつきめいにち)」または「忌日(きにち・きじつ)」とも呼んでいます。
祥月 | 亡くなった日の「月」のこと |
命日 | 亡くなった日の「日」こと |
人が亡くなった日を1日目(命日)と数えます。1年後が一周忌です。
以下がその一例です。
家庭や地域によっては、一周忌に併せて納骨式がある場合も考えられます。納骨自体は、火葬後に発行される埋葬許可証があればいつでも可能です。
納骨は遺族のタイミングが重視されることから、日程に関する明確な決まりはありません。一周忌は遺族にとっても大きな節目であることからタイミングも良く、元々お墓を持ってなかった場合などに一周忌までにお墓を用意して、法事と同時に執り行われるケースが多いようです。
また、一周忌と納骨式をまとめることにより、時間を別に確保する必要がないだけでなく、参列者への負担・施主側も手間が省けるという利点があります。
葬儀の縮小化傾向に伴い、近年では家族のみで一周忌を執り行うケースが増えていることが話題となっています。
一周忌の簡素化は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による法要延期や、新しい生活様式の推奨・核家族化など社会的要因が背景にあるようです。
亡くなった方を同じ場で偲び、思いをはせるという共通の目的のもと、親戚が顔を合わせる機会がないのは少し寂しい気もしますが、家族のみで一周忌を執り行うというのは悪いことばかりではありません。
家族だけで一周忌を執り行うメリット |
・故人をしのぶ時間をゆっくり持てる ・故人や家族の要望に適う一周忌が執り行える ・3密を回避できる ・費用を抑えられる ・香典返しを用意しなくてよい ・自宅が狭くても執り行える ・参列者がいないため喪服の格式を気にしなくてよい |
葬儀だけでなく法要の縮小化もあり、小さなお葬式でも、家族・親族だけの少ない人数での法要をサポートしています。小規模法要でもご不明点がありましたら小さなお葬式へご相談ください。
参考:『新型コロナウイルス禍での葬儀について』
一周忌は仏教で使われる言葉ですが、誰かが亡くなった1年後という節目は、神道やキリスト教など他の宗教でも重要とされています。また、仏式のなかでも宗派によって一周忌での振る舞いが異なるため、覚えておきましょう。
仏教の中でも浄土真宗においては、信者が亡くなった後の魂の在り方が他の宗派と異なります。
浄土宗は阿弥陀如来に全てを委ねることで救いを得る「他力本願」の考えを持つ宗派です。信者の魂は「臨終即往生(りんじゅうそくおうじょう)」に基づき即、仏になるという考え方があります。
浄土真宗は、特に一周忌においては故人の「冥福」ではなく「亡き人をご縁に仏前に集まりお念仏の教えを味わう場」という考えがあるということを覚えておきましょう。
キリスト教の場合は、亡くなった方の追悼方法が宗派で異なります。カトリック式では、亡くなった方を追悼ミサという形でしのび、プロテスタント式では、記念集会または記念式といった、ある程度大きな形で執り行われるのが一般的です。
キリスト教式ではお花を献花として供えることから、香典の表書きはカトリック式では「お花料」プロテスタント式では「忌慰料(プロテスタント式)」とします。
神式の一周忌に該当するのが「一年祭」です。一年祭は通常、自宅または亡くなった方の墓前で執り行われます。
また、お供え物に魚やお酒が供えられるという点に違いはあるものの、日取りの決め方や用意するものについては仏式とほぼ変わりありません。
神式では仏式の焼香にあたる「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」の儀式があるため、香典の表書きは「御神前」または「御玉串料」です。
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