故人の遺体を葬儀場や安置場所などに運ぶ際、多くの場合は遺体の搬送を葬儀社に依頼します。では、自分たちで遺体を搬送することはできるのでしょうか。
この記事では、自家用車での遺体搬送は法律違反にならないのか、搬送時に発生するリスクや実際の流れと合わせて解説します。いざというときに慌てることのないように、事前に確認しておきましょう。葬儀全体の流れについてあわせてご確認することもおすすめです。
<この記事の要点>
・自家用車での遺体搬送は法律違反ではないが、費用が発生する搬送は違法である
・遺体の損傷や衛生管理の問題があり、感染症のリスクもある
・遺体を安定して運ぶためには、フルフラットになる車を使用し、死亡診断書や死体検案書を携帯する
こんな人におすすめ
遺体搬送に自家用車を使いたい人
遺体搬送に関する法律を知りたい人
遺体搬送を業者に依頼する場合の費用が知りたい人
自家用車で故人の遺体を搬送する行為は、法律違反にはなりません。しかし、事業許可のない業者や個人が費用をもらい、遺体を搬送する行為は違法です。
また、法律において遺体は貨物として扱われる点にも注意しましょう。タクシーや介護タクシーであっても、事業許可の範囲が異なり費用が発生するため法律違反にあたります。
遺体の搬送において、自家用車の利用が法律違反に該当しないケースは、故人の遺体を無償で運送する場合のみです。
遺体の搬送は葬儀社に依頼するのが一般的です。しかし、自家用車を使用して搬送するケースもゼロではありません。遺体搬送と法律の関係について、把握しておきましょう。
遺体を運ぶことを業務として行う場合には、法律により定められた基準を遵守しなければなりません。また、さまざまな制限があり、遺体の扱いについても熟知する必要があります。
遺体を運べるのは、国土交通大臣により「一般貨物自動車運送事業」の許可を受けている事業者に限られます。そのため、霊柩車など業務として遺体を格納し搬送する事業用車両には、「緑ナンバー」の装着が義務付けられています。
霊柩車のように遺体の搬送を目的として事業許可を申請する場合は、トラック運送などの一般貨物自動車運送事業と違い、「霊柩の運送に限る」ことや「許可を得ている都道府県を超えての利用はできない」など特殊な条件が課せられています。
霊柩車は道路運送車両法の通達により、「特殊用途自動車」に区分されています。分類番号は8で、「8ナンバー」とも呼ばれています。霊柩車のほかにも給水車・郵便車・図書館車・郵便車などが8ナンバーに区分されています。
遺体は法律の上では「貨物」として扱われます。そのため、業務として遺体の搬送を行う場合には、貨物の搬送に必要となる「一般貨物自動車運送事業」の許可を得る必要があります。遺体の搬送は、貨物自動車運送事業法に従います。
生きている人間を運ぶタクシーやバスなどは旅客運送事業です。貨物と人間は法律で明確に区別されており、タクシーなどが遺体を搬送することは禁じられています。また、事業許可を受けていても、無料だったり割引などの広告を打ったりして遺体を搬送した場合は、「不当表示」として法律に抵触する可能性もあります。
介護タクシーには、ストレッチャーと呼ばれる寝台型の移送器具が備わっている車両もあります。遺体を乗車させることは物理的には可能ですが、搬送するのは法律違反です。
介護タクシーは、要介護者や体の不自由な方が利用するためのサービスであり、法的な定義はありません。業務として介助を行う車両で、運転手は介護福祉関連の資格を持っている方のみです。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
自家用車を用いた遺体搬送は、法律的に問題ありません。しかし、遺体の扱いは難しく、さまざまなリスクが考えられます。自家用車で遺体を搬送する際、どのようなリスクが発生するのでしょうか。ここからは、遺体搬送における主なリスクを2つ紹介します。
搬送用の車であれば、ストレッチャーや担架を装備していますが、自家用車には備え付けがありません。自家用車の座席では遺体を安定した状態で運べないので、移動中の衝撃による遺体損傷のリスクがあります。
また、防腐処理された遺体であっても、不安定な状態だと体液が流出する可能性もあり危険です。車両が体液で汚れるだけでなく、感染症を引き起こすリスクも考えられます。
遺体を安定した状態で運ぶには、故人を寝かせるスペースを確保する必要があります。ミニバンやワゴンなど、後部座席がフルフラットになるタイプの自家用車が最適です。
ただし、スペースを確保できたとしても、遺体の乗降手段や車内での固定方法なども考える必要があります。自家用車での搬送が難しいと感じた場合は、搬送用の車両を別途手配しましょう。
遺族が自家用車を使って個人で遺体を搬送することは法律に抵触しません。ただし、専門知識のない方が遺体を扱うと、さまざまなリスクにさらされます。
リスクを回避するためにも、プロである葬儀社に依頼するのが最善です。どうしても個人で運ぶ必要がある場合は、以下の4点に注意しましょう。
まず、遺体を納める棺を用意します。遺体を座席に座らせたり縦向きに乗車させたりした場合には、体液が流出する危険があります。
体液から感染症にかかる可能性も高く大変危険なため、遺体は棺に格納した上で運ぶようにしましょう。ただし、棺に納めたからといって、体液が漏れるリスクを完全になくすことは不可能です。
葬儀社が遺体搬送をする際には、担架やストレッチャーごと車に乗せます。専用のベルトで固定しているので揺れることは少ないでしょう。
しかし、普通の乗用車の場合、担架やストレッチャー、棺などを入れるスペースはありません。できれば後部座席をフルフラットにできるミニバン以上の大きさの車を選びましょう。事前に空の棺を入れて運んでみて、揺れることがないかなど安全性をしっかりと確認しておきましょう。
レンタカー業者や知人から借りた車を搬送に使用する行為は絶対にやめましょう。乗用車を用いた遺体の搬送は非常に難しく、車内を汚してしまう可能性が高いからです。通常の汚れとは異なり、感染症を引き起こす恐れもあります。
車内の汚れから、遺体を搬送する目的が発覚した場合は補償問題にも発展しかねません。状況によっては、犯罪性や事件性を疑われることも十分にありえます。
自家用車に遺体を乗せていると、事件性を疑われかねません。トラブルを避けるためにも、死亡診断書や死体検案書を携帯しておきましょう。死亡診断書は病院で、死体検案書は警察署で発行できます。
基本的に、これらの書類はコピーでも問題ありませんが、原本を携帯しておけば疑われる可能性は低くなるでしょう。葬儀や火葬の手配にも必要となる書類なので、搬送後も紛失しないよう注意が必要です。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
自家用車を用いた無理な遺体の搬送は、遺体損傷や体液流出などのリスクを招きます。自家用車には、ストレッチャー類や固定ベルトといった、遺体搬送に適切な装備もありません。
感染症を予防するための布団や納体シートなど、衛生面の対策も大変です。よほどの理由がない限りは、専門業者に遺体搬送を依頼した方がよいでしょう。
専門的知識がない方が遺体を搬送するリスクは非常に高く、遺体の損傷につながります。また、意図せず故人の尊厳を損ないかねません。
遺体の搬送は業者に任せるのがベストといえますが、専門業者に遺体搬送を依頼する場合、費用はどれくらいかかるのでしょうか。ここからは、遺体搬送の一般的な相場を紹介します。
すでに葬儀社がきまっている場合、基本的に搬送費用は葬儀代金に含まれています。ほかにも棺や飾り、安置施設使用料など、葬儀を一通り執り行えるサービスが付帯していることがほとんどです。
ただし、葬儀代金に含まれる搬送距離は10キロメートルまでとされることが多いので、葬儀社に確認しましょう。
また、遺体搬送のみ依頼することも可能です。取り急ぎ搬送と安置、衛生保全のみを依頼し、葬儀は別の会社に依頼することもできます。
ただし、運搬のみを依頼した場合は、搬送代金として備品代が含まれないことが多い点に注意が必要です。棺桶や防水シーツ、ドライアイスなど、搬送に必要な付帯品一式が別途加算されていくため、価格の内訳はしっかり確認しましょう。
搬送料金は、10キロメートルまで葬儀代金に含み、超える場合は10キロメートルごとに3,000円~5,000円が加算されることが多いようです。
長距離であればあるほど、搬送料金は高額になります。離島にお住まいの方など、搬送にフェリーや航空機などが必要になれば、料金はさらに高くなるでしょう。
また、深夜や早朝の時間帯や、雪道などの条件が加わった場合は割増料金になることもあります。葬儀社に依頼する際は、細かいところまでしっかり確認するようにしましょう。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
ここからは、病院で亡くなった場合の遺体搬送の流れについてみていきましょう。現代では、多くの方が、病院で死を迎えます。いざというときに慌てないためにも、事前に全体の流れを確認しておきましょう。
医師が故人の死亡確認をすると、「臨終」が告げられます。死亡確認後はエンゼルケアを施します。
遺体を入浴させ洗浄する「湯灌」、体をきれいに拭く「清拭」、身繕い、死化粧が一般的なエンゼルケアの内容です。しかし、病院で最期を迎えることが多くなった現代では、病院で湯灌を行わないことも増えています。湯灌を希望する場合は、葬儀社や専門の業者に依頼しましょう。
死亡が確認されたら、速やかに病院から遺体を搬出する必要があります。自宅などの安置先へ搬送する場合には、葬儀社に依頼して遺体搬送車(寝台車)を手配しましょう。
遺族であれば個人で搬送することもできますが、備品の用意や安全性の確保などが難しく、手間やリスクが大きくなります。葬儀社の専用の寝台車を手配する方が確実でしょう。
できれば臨終の時点で葬儀社を決めておくのが理想ですが、急なことで状況的にままならない場合もあります。その際は、病院提携の葬儀社に遺体搬送のみ依頼しましょう。
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車を手配したら、遺体の搬送先をどこにするかきめましょう。近年では自宅が狭かったり、近所に知られたくなかったりする事情もあり、自宅以外に安置するケースも増えています。
一般的な安置先は、遺体安置室や保冷庫のある斎場や葬儀社、あるいは火葬場の霊安室・保冷庫などです。自宅以外に搬送する場合は搬送先の選定を速やかに行う必要があるので、あらかじめ調べておくとよいでしょう。
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遺体搬送の手配が整ったら搬送車到着までに病院での精算を済ませ、医師に「死亡診断書」を書いてもらいましょう。
人が亡くなると故人が住民登録をしている自治体に「死亡届」を提出しますが、死亡届とともに死亡診断書を出さないと受理されず、火葬や埋葬も許可がおりません。
遺体搬送の際に死亡診断書を携行することは義務付けられているわけではありませんが、葬儀社や火葬場における手続きで必要な場合もあります。できれば搬送までに取得しておくとよいでしょう。
近親者への連絡も速やかに行います。自宅などの安置場所に駆けつけてほしい方に連絡を取りましょう。
お寺の檀家で菩提寺がある場合は、僧侶にも一報入れておきましょう。地域や宗派によっては、通夜の前に安置場所にて枕経を上げることもあるかもしれません。
宗派やお寺により細かい式の作法も変わるため、細かい宗派や宗教がわからない場合は喪主の経験のある身内に相談してみましょう。その地方独特の風習が残っていることもあるので、トラブルにならないようにしておくことが賢明です。
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自家用車での遺体搬送は法律違反にはなりません。しかし、安全に運ぶ手段や遺体を傷つけるリスクや体液が流出してしまう危険性があるため、専門業者へ依頼するのが賢明です。
身内が不幸に見舞われた際は、煩雑な手続きが多く、自分達ですべてを的確に行うには限界があります。必要に応じて専門の業者や葬儀の依頼先に相談するとよいでしょう。
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