一周忌法要とは、故人の命日からちょうど1年後に執り行われる法要のことです。一周忌法要に招かれた場合は、香典を用意して参列するのがマナーです。
一周忌法要でお供えする香典には、お通夜や葬儀とは異なるしきたりがあります。お通夜や葬儀における香典のマナーは知っていても、一周忌法要ではどのような準備をすればよいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、一周忌法要に持参する香典のマナーを紹介します。香典の基礎知識や相場を知り、一周忌法要に備えましょう。
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こんな人におすすめ
一周忌の香典の相場が知りたい人
香典袋の書き方に悩んでいる人
香典袋の渡し方に悩んでいる人
一周忌法要以降の年忌法要は、「三回忌」「七回忌」というように「周忌」ではなく「回忌」という言葉を使います。ここからは、「一周忌」と「一回忌」の違いについて解説します。
一周忌法要は、故人が亡くなって満1年で執り行うものです。一周忌までは喪に服す期間とされ、この期間を「喪中」と呼びます。一周忌を過ぎると喪が明けます。
一般的に一周忌法要では、僧侶による読経や出席者の焼香などを行います。参列者との会食の場を設けることも多く、故人との思い出を振り返る貴重な時間でもあります。
一周忌法要以降は、三回忌、七回忌など「回忌」という言葉を用います。「回忌」は命日を指し、故人が亡くなった日(命日)が一回忌です。つまり、一周忌法要は2回目の命日なので二回忌にあたります。
三回忌、七回忌などは亡くなった年から数えてそれぞれ2年後、6年後に実施するので、ややこしいと感じる方もいるかもしれません。しかし、「回忌」の意味を理解すれば、年忌法要を実施するタイミングも迷いにくくなるでしょう。
一周忌法要に招かれた場合には、香典を用意するのがマナーです。お通夜や葬儀に参列した方も、法要では新たに香典を用意します。これは、もともと香典が弔意を表すとともに、相互扶助の役割を担っていたからです。
一周忌法要ではお通夜や葬儀とは別の費用が発生するため、参列者は香典を渡す必要があります。なお、法要の案内状に香典辞退の旨が記されている場合、香典を無理にお供えする必要はありません。香典の代わりに供花やお供えものなどを持参し、弔意を表しましょう。
ただし、案内状に「ご厚志辞退」と記載がある場合、遺族は供花やお供え物の受け取りを辞退しています。この場合は、香典やお供えものを持参せず参列してもマナー違反にはなりません。心を込めて焼香を上げて、弔意を示しましょう。
香典を用意するにあたり、多くの方を悩ませるのが「いくら包むか」です。香典の金額は故人との関係性できまることが一般的ですが、自身の年齢や会食の有無によっても金額は変動します。いくら包めばよいのか分からない場合には、周囲の方と相談してきめることも大切です。
ここからは、香典に包む金額のきめ方について解説します。
故人との関係性が近いほど、香典を多く包む傾向にあります。故人が親や兄弟姉妹である場合は、香典の金額も比較的高くなるでしょう。
故人よりも自分のほうが年上だった場合にも、多めに香典を包みます。また、生前の付き合いの深さも加味して香典の金額を調整することも大切です。
香典は、自身の年齢によっても包む金額が変動します。働き始めたばかりの10代後半から20代前半くらいの年齢の場合、目安となる金額の下限を包んでも問題ありません。
30代以降は、年齢相応の金額を包むのが望ましいでしょう。特に、年長者の場合は多めに包む傾向があります。
会食の有無も、香典の金額をきめる際に大切な要素のひとつです。会食は事前に手配する必要があるので、案内状に開催の有無が記載されています。一周忌法要の案内状は、会食に参加する方の人数確認の役割も担っているのです。
法要後に会食の場が設けられている場合は、出席人数分の食事代を香典に上乗せしましょう。このほか、食事代の代わりとして相応のお供え物や供花などを持参する方法もあります。
一周忌の法要における故人との関係性別の香典相場は、以下のとおりです。
故人との関係性 | 一周忌法要の香典の相場 |
故人が自分の親 | 1万円~5万円 |
故人が自分の祖父母 | 1万円~3万円 |
故人が自分の兄弟姉妹 | 1万円~3万円 |
故人が配偶者の親 | 1万円~3万円 |
故人が配偶者の祖父母 | 1万円~3万円 |
故人が配偶者の兄弟姉妹 | 1万円~3万円 |
故人が親戚のおじ・おば | 1万円~3万円 |
故人が近くない親戚 | 1万円~3万円 |
故人が元上司 | 1万円 |
上記はあくまでも目安のひとつです。「香典としていくら包むか」は、地域や年齢、親族の考えによって大きく異なります。
また、相場内の金額であっても、「死」や「苦」を想起させる「4」や「9」のつく金額を包むのはマナー違反です。特に、連名で香典を包むときは合計金額に配慮しましょう。
<h3>わからない場合は周囲に相談を</h3>
香典のしきたりは、地域によってさまざまです。また、親族や遺族によっても一周忌法要の香典に対する考え方が違うでしょう。
一周忌法要に参列するにあたって香典の金額に悩む場合は、親しい人や葬儀会社に相談することをおすすめします。香典の金額に大きな差が出ないように、近しい親戚と相談して包む金額を事前にきめておくことも大切です。
一周忌法要の香典は、香典袋に入れて持参します。香典袋の選び方や書き方は、宗派や袋の種類、送り主の人数により異なるので、事前に確認して正しい香典袋を準備しましょう。
一周忌法要に使用する香典袋は、お通夜や葬儀と同様に結び切りの水引がついているものを選びましょう。仏式の場合は、包む金額に合わせて水引の色・種類を選びます。金額に適した香典袋の種類は以下のとおりです。
5,000円前後:水引が印刷された略式の香典袋
1万円~3万円:白黒の水引を掛けた香典袋
3万円~5万円:双銀の水引が掛かった香典袋
香典袋のなかには花などが印刷されているものもありますが、ハスの花がデザインされているのが仏式の香典袋です。ユリの花がデザインされている香典袋はキリスト教式なので、仏式の法要にはふさわしくありません。
一周忌法要は仏教の行事ですが、神道やキリスト教にも、一周忌法要と同じような儀式があります。それぞれの儀式に持参する香典袋は、故人が信仰していた宗教・宗派にふさわしいものを選び、表書きも宗派に合わせて記入しましょう。
仏教式の一周忌法要の場合は、「御仏前」という表書きが使われることが一般的です。「御仏前」以外に「御佛前」「御香料」「御香典」なども使えます。
神道にも「一年祭」と呼ばれる儀式があり、これは仏教の一周忌法要に相当します。神道の死生観に基づき、表書きは「玉串料」や「御榊料」「御神前」です。
キリスト教にも「追悼式」と呼ばれる一周忌法要に似た儀式があります。表書きは、カトリックとプロテスタントどちらにも使用可能な「御花料」が便利です。カトリックでは「御ミサ料」や「御霊前」も使えます。プロテスタント特有の表書きは、「献花料」「忌慰料」です。
表書きの下には、香典の送り主の氏名を書きましょう。個人で出す場合には、表書きの下部中央に書きます。夫婦で香典を包む場合は、代表者の氏名を表書きの下部中央に書き、その横にパートナーの名前のみを書きます。
3人以内の連名で出す場合は、全員の氏名を書きましょう。上司・部下・先輩・後輩のような上下関係がある場合は、立場が高い順に右から氏名を書きます。立場に上下がない場合は、五十音順に記入しましょう。
4人以上の連名の場合は、団体名や法事に参列する代表者の氏名のみを中央に書きます。「○○(団体名)一同」や「○○(団体名)有志」「代表○○(代表者の氏名)他○名」などが代表的な書き方です。
香典袋には、中袋があるタイプとないタイプがあります。中袋がある場合は、裏面左下に送り主の住所と氏名を記入します。おもて面の中央には香典の合計金額を記載しましょう。金額は「大字」と呼ばれる旧字体の漢数字を使って縦書きで書きます。記入欄があれば、各項目に従って記入しましょう。
これらの内容は、遺族が後から確認する大切な情報です。郵便番号や都道府県名は省略せず、はっきりと見やすい字で書きましょう。
連名で香典を包んだ場合は、全員分の情報を縦書きで記載します。スペースが足りない場合には別紙を用意して同封しましょう。遺族の立場になって、正確な情報を記入することが大切です。
一周忌法要に持参する香典は、あくまでも成仏した故人へのお供え物です。お通夜や葬儀とは香典に込められている意味合いが違うので、包み方や渡し方も異なります。
ここからは、一周忌法要の香典袋の包み方と渡し方を紹介します。
葬儀ではお札を入れる向きで悲しみを表現しますが、一周忌の法要に持参する香典にはこのような意味はありません。お札の向きをそろえて、肖像画が中袋の表側を向くようにお札を入れましょう。
香典は葬儀のときと同様に、袱紗(ふくさ)に入れて持参するのがマナーです。一周忌法要で使う袱紗は、紺色や濃い紫色、灰色が適しています。
風呂敷を袱紗として使う場合の包み方は、弔事用の左包みです。香典袋を風呂敷の中央に置き、香典袋の右側・手前側・向こう側・左側の順に折り畳み、はみ出た部分を内側に折り込んで整えましょう。
一周忌法要では、会場に到着したタイミングで香典袋を渡しましょう。渡す相手は法要の施主です。渡す直前に袱紗から取り出して、表書きが見えるように香典袋を表向きにして手渡します。
このとき、「どうぞ仏前にお供えください」「心ばかりではありますが、御仏前にお供えください」など挨拶の言葉を添えることを忘れないようにしましょう。また、お供えものを持参している場合は、香典と同じタイミングで渡します。
お通夜や葬儀の香典袋は、訃報を知った悲しみを表現するために薄墨で書くのがマナーです。一方で、一周忌法要に持参する香典袋は濃い墨で書きます。
四十九日法要以降は、墨の色で悲しみを表現する必要がありません。「一周忌法要の香典は、仏様になった故人へのお供え」であることを理解して準備を進めましょう。
一周忌法要の香典に新札を入れることは避けましょう。古いお札を用意する時間がない場合は、新札に折り目をつけてから中袋に入れます。
香典は仏様にお供えするものなので、あまりにも汚れているお札やしわだらけのお札などは適していません。できるだけきれいなお札を選ぶのも、香典のマナーといえます。
香典の準備ができたら、法要の際のマナーも確認しておきましょう。服装のマナーや会場での振る舞い方を知っていれば、一周忌以外のさまざまな法要でも役立ちます。
一周忌法要では、施主や親族は喪服を着用します。参列者も喪服や略式喪服を着るのが一般的です。男性のネクタイは、柄やイラストなどがないシンプルな黒を選びます。
学生は制服が正装なので、制服で出席して問題ありません。制服がない場合は、白のシャツやブラウスに、黒や紺、グレーなどダークカラーのパンツやスカートを履きます。
読経の際は並べられた椅子や座布団に座りますが、好きな席に座ってよいわけではありません。仏壇の前には僧侶が座り、並んだ席には、前列から順に故人との血縁が濃い方から座ります。
遺族が誘導してくれることもありますが、わからない場合は後ろのほうに座ることをおすすめします。
また、焼香は初めに施主が焼香をします。その後、前方に座っている方から順に行います。前列の方の焼香が終わったら、すぐに焼香できるように準備をしておきましょう。
一周忌法要の連絡をもらったら、早めに出欠の連絡をしましょう。電話で連絡がきた場合は、予定がわかればその場で返答します。検討が必要なときは改めて電話で伝えますが、会食の手配などを考慮してなるべく早めに連絡しましょう。
はがきなどで案内状が届いた場合は、期日までに返信用のはがきを送って出欠の旨を伝えます。
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一周忌法要は、故人が亡くなって1年で執り行われる大切な儀式です。参列する際は香典を持参しますが、香典の相場は自身の年齢や故人との関係性によって異なります。故人が親の場合の香典の目安は1万円~5万円、故人が兄弟姉妹や祖父母の場合は1万円~3万円が目安です。
故人の宗派や包む金額によって適切な香典袋は異なります。一周忌法要では墨の色で悲しみを表現する必要がないので、濃墨を使います。また、香典を持ち歩くときは「袱紗(ふくさ)」と呼ばれる入れ物に入れましょう。
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葬儀費用は「葬儀一式費用・飲食接待費用・宗教者手配費用」で構成されます。ホゥ。