葬儀や法要を含む仏事には聞き慣れない言葉も多く、なかでも仏事後の会食を指す「お斎」や「お斎料」については、どのような場面で使えばよい言葉なのか分からない方もいるのではないでしょうか。
しかし、葬儀や法要が行われる場合にはよく登場する言葉であるため、しっかり意味を理解して備えておくことが大切です。
そこで今回は、施主としても参列者としても知っておきたいお斎にまつわる言葉について解説します。同じ仏事で使う食事代を示す言葉である御膳料とお斎料の違いなども確認できる内容です。
<この記事の要点>
・お斎料とは、葬儀や法要後の会食にかかる費用のこと
・御膳料とは、僧侶が法要後の会食に参加しない場合に渡す金銭のこと
・お斎の料理内容は、精進料理や和食を中心としたメニューが一般的
こんな人におすすめ
お斎・お斎料について知りたい人
施主としてお斎を行う予定の人
お斎に参加する予定の人
「お斎(おとき)」とは、仏事にまつわる食事、つまり葬儀や法要の後に僧侶や参列者をもてなす食事を指します。お斎にかかる費用、つまり会食費が「お斎料(おときりょう)」です。ここでは、由来や意味からお斎とお斎料についてひも解いてみましょう。
お斎の「斎」という漢字は、「斎食(さいじき)」に由来しており、出家者・僧侶が決まった時間に食べる食事という意味を持っています。そこから転じて法要後の食事という意味にも使われるようになりました。
仏事においては、後者の意味合いが色濃い現状です。故人を偲びながら、お斎で思い出話をすることが供養になると考えられており、また、僧侶や参列者に感謝の気持ちを表す場でもあります。
しかし、必ず行わなければならないものではありません。お斎を行わない場合は、法要後の施主挨拶や事前にその旨を伝え、お斎の代わりとなるものを返礼品として渡すのが通例です。
「お斎料」は、葬儀や法要後の会食にかかる費用を指します。施主が会食会場であるレストランや寺院に飲食代として支払う金銭です。
同じ仏事の際に用いられる会食に関わる言葉である「御膳料(おぜんりょう)」は、施主から僧侶へお渡しする金銭を指します。
これは葬儀や法要の後のお斎に僧侶が参加しない場合に渡すお金のことです。食事の用意をしない場合でも御膳料は渡します。逆にいえば、僧侶が法要後の会食に参加されるときには用意する必要がありません。
地域によっては、御膳料のことを敬った言い方ではなく「お斎料」とするところもあります。御膳料以外に仏事で僧侶に渡す金銭にはお布施やお車代などが必要ですが、それぞれのお金がもつ意味は異なるため注意しましょう。
お布施とは、僧侶がお経を読んでくださったことに対して感謝を表すための金銭という認識が一般的です。ただし、お布施は僧侶の読経に対する報酬ではありません。
お布施の「布」は、文字通り布(ぬの)を指します。お布施は、日々の修行により粗末な衣類ばかり着ている僧侶に布を施し僧侶を援助することからきた言葉です。
この行動は善行となるため、転じてご本尊と寺院への帰依の心を示す金銭を指す言葉として浸透しました。僧侶はお布施を個人的にではなく御本尊と寺院を守るための寄付として受け取ります。
仏事の食事といえば、「精進落とし」が頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。厳密にいえば精進落としはお斎の一種ですが、地域によってその使い方は変わります。ここでは、精進落としの由来や、お斎と精進落としの違いについて詳しく見ていきましょう。
精進落としとは、葬儀・告別式や初七日法要の後、僧侶や集まった人に振る舞う食事のことです。昔は親族が亡くなると、喪明けとなる四十九日まで米や野菜中心の精進料理を食べて過ごす風習があり、通常の食事に戻す際に食べる食事が本来の精進落としでした。
ところが、時代が変わるにつれ精進落としの意味も変化し、現在では、火葬場で僧侶や参列者に振る舞う料理のことを精進落としと呼んでいます。これは、参列者の負担を軽減するため、現代においては火葬と初七日法要を同日に終えるケースが増えていることが関係しています。
一方、お斎は仏事で供される食事全般を指しているため、精進落としや通夜振る舞いもお斎に含まれることになります。
お斎という言葉の使い方は地域差によるところが大きく、仏事によって精進落としや通夜振る舞いといった呼び名を使い分ける場合もあれば、そういった名称を使わずにお斎という総称を使用する地域もあるなどさまざまです。
しかし最近では、お葬式と初七日法要を一緒に執り行うケースがほとんどであるため、初七日より後の法要での食事をお斎と呼ぶケースが増えています。
仏事にまつわる食事は、時代とともにスタイルが変わってきています。ここでは、施主が知っておきたいお斎に適したメニューや、提供するべきではない食事について紹介します。タブーとなる食材や料理もあるため注意が必要です。
仏事で供される食事は、和食を中心としたメニューであることが一般的です。四十九日までは精進料理を出すことが本来のあり方だったため肉や魚などを避け、ゴマ豆腐や厚揚げなど大豆製品を使ったメニューが定番として多く取り入れられています。
最近では、お斎として懐石料理を振る舞うケースも少なくありません。ひと昔前の懐石料理は「一汁三菜」が基本でしたが、現在の懐石料理は寿司や炊き合わせ、焼き物など品数も豊富です。
さらに、寿司や天ぷら、エビフライなどが入った仕出し弁当をお斎として振る舞うパターンも増えています。
お斎のスタイルは時代とともに変わってきており、厳密な制限はなくなりつつあります。とはいえ、鯛や伊勢海老などお祝いの席で食べるような食材は避けるようにしましょう。
また本来は、四十九日法要を終えるまで仏教の殺生禁止の考えに基づいて肉や魚の料理を避けなくてはなりません。ただし最近では、肉や魚もメインでなければよいとされています。
仏式葬儀や法要にはさまざまなマナーが存在するため、施主は僧侶や参列者に失礼のないようしっかりとマナーを把握する必要があります。
そのためには、仏事における言葉の意味や由来を理解することが大切です。ここでは、施主が覚えておきたいお斎のマナーを紹介しますので、ひとつずつ確認していきましょう。
僧侶に会食に代わる金銭として渡すお斎料(御膳料)の相場は、地域差もあるため一概に金額をお伝えすることはできませんが、一般的には5,000円~1万円程度をお渡しするケースが多いようです。また、お寺やホテルなどお斎を行う場所によっても変わります。
なお規模の大きい法要で僧侶が複数名で来られる場合には、ひとつの封筒に人数分のお斎料をまとめて入れて渡しましょう。食事の敬った言い方である「御膳料」と表書きを記入するのが一般的ですが、「お斎料」を使うケースもあります。
お斎料は、お布施と同じタイミングで渡します。葬儀や法要が始まる前に僧侶と挨拶を交わすタイミングがあればそこで渡すのがスムーズですが、タイミングが合わなければ式が終了してからでも構いません。
僧侶にお布施やお斎料を渡せないことがもっとも礼を欠く行為になるため、開始前・終了後にこだわらず渡しやすいタイミングでお渡しするのがよいでしょう。
お斎料(御膳料)に限らず僧侶へお金を渡す際、むき出しで渡すのはマナー違反です。お札を封筒に入れて袱紗(ふくさ)や切手盆(きってぼん)を使ってお渡しします。
切手盆を使う場合は、僧侶に渡すタイミングで表書きが相手から読めるよう回転させてから差し出します。切手盆がなければ、お斎料の封筒の下に袱紗を敷いて渡しても問題はありません。
お布施とお斎料、御車代を一緒に渡すときは、お布施を一番上にしましょう。お斎料とお車代は、特に決まった順番がないのでどちらを上にしても構いません。手渡すときには、感謝をお伝えしつつ「どうぞお納めください」と声をかけましょう。
葬儀や法要に招かれて参列した上でお斎に参加する場合に、費用を支払う必要があるのか、お斎への参加辞退はできるのか、悩まれる方もいるのではないでしょうか。参列者側から見たお斎に関するマナーを紹介します。
お斎はただの会食ではなく、故人を偲ぶ場であることも忘れてはなりません。お酒を飲み過ぎて酔っぱらったり、大声で笑ったり、故人のネガティブな話をしたりするのはマナー違反です。
施主から法要後にお斎があると言われたら、お斎料の用意に悩む方もいるかもしれませんが、基本的に香典とは別にお金を用意する必要はありません。
「食事をいただくのにお金を渡さないのは」と気になる場合は、香典に5,000円程度上乗せしてもよいでしょう。ただし上乗せする金額については、地域差や価値観の違いなどによってまちまちです。心配であれば、親戚やお斎に参加する他の参列者に確認することをおすすめします。
箸をつけることが故人の供養につながるといわれているため、お斎に誘われた場合は少しの時間でも参加するのが望ましいでしょう。
参加が難しいと事前に分かっている場合は、なるべく早く施主にその旨を連絡する必要があります。料理の数など、手配を進めている場合に連絡が遅くなると施主に迷惑をかけることになってしまうためです。
食事をしないで解散するケースは最近珍しくなくなりました。社会情勢や家庭の状況によってお斎をしないと決めた場合は、その旨を法要のお知らせと同時に参列者に伝えるようにしましょう。
お斎は必ずあるものと考えている方もいるため、丁寧に対応しておかなければなりません。
食事の席がない代わりに、お斎の予算内で仕出し弁当や乾物などを配ると、参列者に丁寧な印象を与えられます。
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お斎は仏事にまつわる会食のこと、お斎料は会食にかかる費用のこと、そして、御膳料は僧侶にお渡しするお斎の代替となる金銭のことです。ひとつひとつの言葉の意味をしっかり理解すれば、適切な準備が可能です。
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