法事の際には、参列者は故人への供養の気持ちを表し、香典を持参します。香典には、袋の選び方から入れ方、渡し方まで細かいマナーがあります。
これから法事に参列する方の中には、香典についてのマナーを詳しく知りたいと思っている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、袋の選び方から金額の決め方、渡し方まで、香典にまつわるマナーを紹介します。注意したいポイントを具体的に解説するので、安心して香典の用意ができるでしょう。
<この記事の要点>
・香典袋は水引が「結び切り」か「あわじ結び」、色は黒白や双銀色のものを選ぶ
・香典の表書きは四十九日までは「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」を使用する
・香典は袱紗に包んで持参するのがマナーだが、ハンカチで代用してもよい
こんな人におすすめ
香典とは何かを知りたい方
香典袋の選び方を知りたい方
香典の金額・渡し方のマナーを知りたい方
香典とは、葬儀や法事において故人への供養の気持ちを表し、霊前に供える金品のことです。「香奠」という漢字が用いられることや、「香料」と呼ばれることもあります。
「香」という字が使用されるのは、昔は線香や花、果物などを捧げる風習があったことに由来しますが、現在は現金を包むのが一般的です。
香典は、故人への弔意を表すとともに相互扶助の意味合いもあります。葬儀のほか、主な法事・法要に参列する際には忘れずに持参しましょう。
葬儀のあと四十九日までは、初七日をはじめとして二七日(ふたなのか)、三七日(みなのか)と7日おきに忌日法要が行われます。とはいえ、初七日は葬儀とあわせて済ませることが多く、二七日や三七日などは省略されるため、参列者が香典を用意するのは「忌明け法要」である四十九日法要となるのが一般的です。
四十九日以降は、一周忌、三回忌、七回忌といった節目の年の祥月命日に営む年忌法要が行われます。一周忌と三回忌は参列者を招くケースが多く、参列者は香典を持参するのがマナーです。
香典にどのくらい包めばよいか判断に迷うという方もいることでしょう。香典の金額を決めるためには、自身の年齢や故人との関係性、当日の会食の有無など、さまざまな点を考慮することが必要です。
ここでは、どのような点を踏まえて金額を決めればよいか、ポイントを解説します。
香典の目安は、自身の年齢や収入によって異なります。収入がない学生は、香典を用意する必要はありません。また、社会人の場合も、自身の収入を踏まえて無理のない金額で弔意を示すのがよいでしょう。
また、香典の金額を決める際には、故人との関係性もポイントになります。一般的には、関係性が深いほど香典も多く包みます。
なお、法事は四十九日から一周忌、三回忌、七回忌と時が経つほど小規模になり、香典も控えめになっていく傾向があります。そのため、望ましい金額は一概にはいえませんが、一周忌以降の法事ではだいたい下記が目安となるでしょう。
一周忌以降の法事における香典の目安 | |
自分の親 | 1万円~5万円 |
自分の祖父母、兄弟姉妹 配偶者の親、祖父母、兄弟姉妹 その他近くない親戚 |
1万円~3万円 |
元上司 | 1万円 |
香典の金額を決める際には、法事における会食の有無も考慮します。会食がある場合は、ない場合の金額に1人当たり5,000円~1万円ほど上乗せするとよいでしょう。夫婦で連名にする際は香典の金額を2倍にする必要はありませんが、会食がある場合は2人分を上乗せするようにします。
また、過去に不祝儀やご祝儀などを受け取っている場合には、その金額に見合う香典を用意しましょう。地域の風習などがあれば、併せて考慮します。
香典に包む金額が決まったら、お金を包む袋を用意しましょう。香典は香典袋に入れるのがマナーとなっています。
袋にも多くの種類があるため、宗派や包む金額などを踏まえて適切なものを選ばなくてはなりません。香典袋の選び方について、ポイントを解説します。
香典を包む専用の袋が「香典袋」です。宗教や宗派によって特徴が異なるため、合うものを使用しましょう。
また、香典袋には通常、「水引」と呼ばれる飾り紐が結ばれているか、プリントされています。水引の結び方や色にも多くの種類があり、それぞれに意味があるため、ふさわしいものを選ばなくてはなりません。
香典袋はコンビニエンスストアや100円ショップ、書店などでも販売しているため、身近なところで入手できるでしょう。
香典袋を用意する際は、水引が「結び切り」か「あわじ結び」のものを選びましょう。これは、不幸が繰り返されないよう、解けない結び方の水引を使うのがマナーとなっているためです。
水引の色は黒白や双銀が無難ですが、地域によっては黄白も使用できます。水引の色は包む金額によって適した色が異なるため注意しましょう。
金額 | 主に使用される香典袋 |
~5,000円 | 水引がプリントされた香典袋 |
1万円~3万円 | 黒白の水引が付いた水引金封 |
3万円~5万円 | 双銀のあわじ結びの水引が付いた中金封 |
10万円~ | 双銀のあわじ結びの水引が付いた大金封 |
このように、香典袋を選ぶ際には水引の結び方と色がポイントになります。ただし、これらは仏式におけるマナーです。宗教によって異なるため注意しましょう。
香典袋には、表書きや名前などを記載する必要があります。表書きにはいくつも種類があり、宗派などによって使い分けなくてはなりません。また、表書きや名前は毛筆書きをするなど、書き方にもマナーがあります。ここでは、香典袋の書き方について解説します。
香典袋の表書きは下記のような種類があり、宗派や法事によって使い分けます。
御香典
御霊前
御仏前
御弔料
御香料
御香華料
御悔
御佛前
御供
一般的によく用いられるのは「御香典」です。「御霊前」もよく使用されますが、四十九日前までしか使えません。代わりに、四十九日以降は「御佛前」や「御仏前」を使用します。なお、浄土真宗には「霊」の概念がなく、「御霊前」は使用しないため注意しましょう。
表書きは、筆もしくは筆ペンを用いた毛筆書きがマナーです。墨については、四十九日前までは悲しみを表す薄墨を使い、四十九日以降は濃墨を使用します。ただし、地域によっては四十九日以降も薄墨を使うこともあるため、事前に確認するとよいでしょう。
水引の下には、送り主の名前をフルネームで記載します。表書きと同じく毛筆で、表書きより小さめの文字で書きましょう。
夫婦で連名の場合は、中央にどちらかのフルネームを書き、左側にもう一方の下の名前を書きます。
3名で連名にする場合は、一番目上の人あるいは代表者のフルネームを書き、左側にあと2人のフルネームを書くのがマナーです。4名以上の場合は、代表者のみフルネームを書き、左側に「他一同」と記載します。
香典袋は二重になっているものが多く、「中袋」が入っているのが一般的です。中袋の表面には金額を記載し、裏面には送り主の名前と住所を記載しましょう。
表面に金額を書く際には、略式の漢字を使用する場合と「大字(だいじ)」を使用する場合があります。大字とは、古くから用いられてきた旧字体の漢字です。壱(いち)・弐(に)・参(さん)・伍(ご)・捨(じゅう)・仟(せん)・萬(まん)・圓(えん)などがあります。
例えば3万円を包む場合、略式では「金三万円」、大字では「金参萬圓」となります。略式でもマナー違反とはなりませんが、正式な記載方法としては大字を用いるのが望ましいでしょう。
香典を包むための袋を一般的に「香典袋」と呼びますが、「香典」は仏教ならではの概念です。仏教以外の宗教の儀式で「香典袋」という表現を用いるのは、厳密には正しくありません。
仏教以外でお金を包む際に用いる袋を指す言葉としては、「不祝儀袋」が適切でしょう。ただし、一般的には「香典袋」という表現が定着しているため、宗教を問わず「香典袋」ということもよくあります。
仏教の法事にあたる儀式として、神道には「霊祭(れいさい)」や「式年祭(しきねんさい)」があります。霊祭は故人の死後100日目までに行われる儀式であり、式年祭は1年目の命日以降に行われる儀式です。
霊祭や式年祭式は、神社ではなく自宅か故人の墓前で行われます。案内状に辞退の旨が記載されている場合を除き、参列者は仏式同様、お金や供物を持参するのがマナーです。
神式の霊祭や式年祭で使用する不祝儀袋は、仏式と同じく「結び切り」か「あわじ結び」で、黒白や双銀の水引が付いたものが一般的です。地域によっては、黄白や双白の水引を使用することもあります。
蓮の花の絵柄が入っている不祝儀袋も市販されていますが、これらは仏式のため避けましょう。神式では、白い無地の不祝儀袋が適しています。
神式の場合、仏式でいう香典袋の「表書き」は「献辞」というのが正しい呼び方ですが、仏式の言い方で「表書き」と呼ばれることもあります。
「献辞」として書かれるのは、「御玉串料」「御榊料」「御神饌料(ごしんせんりょう)」「御弔料」「御神前」「御霊前」などです。神道の場合、宗派によって「献辞」を使い分ける必要はありません。
キリスト教でも、仏教の法事にあたる儀式は存在します。ただし、故人の供養を目的とする仏式とは異なり、キリスト教式では遺族や近い人々が故人を思い出し、お別れをすることが主な目的です。
故人の死後、カトリックの場合は「追悼ミサ」、プロテスタントの場合は「記念集会」を行います。儀式の後には、教会や自宅で「茶話会(さわかい)」という会食をするのが一般的です。
キリスト教式の場合も、案内状に辞退の旨が記載されている場合を除き、参列者はお金や供物を持参します。
キリスト教式の場合、不祝儀袋は十字架や白百合の絵柄が入った袋か、白い無地の袋を選びましょう。水引は必要ありませんが、付いていても問題はありません。
不祝儀袋の表書きは、カトリック・プロテスタントともに「御花料」が一般的です。宗派が分からない場合には「御花料」とするのがよいでしょう。
ほかに、カトリックの場合は「御ミサ料」や「御霊前」も使用可能です。プロテスタントの場合は「忌慰料」とすることもあります。キリスト教式でも、名前や中袋の書き方は仏式や神式と同様です。
故人の宗教や宗派が分からないという場合は、白い無地の袋で黒白の水引が付いたものがよいでしょう。表書きは、仏式、神式、キリスト教式(カトリック)に幅広く使用できる「御霊前」か、「御香料」が比較的使いやすいといえます。
ただし、「御霊前」は浄土真宗やプロテスタントには適さない表書きです。また、「御霊前」は仏式では四十九日前までしか使えない表書きのため、もし仏教の四十九日以降の法要で宗派のみ分からないという場合は、「御佛前」や「御仏前」にしたほうがよいでしょう。
宗派が分からない場合は、葬儀場に問い合わせて故人の宗派を確認したり、自分の宗派の表書きを記載したりする方法もあります。
袋に必要な内容を記載したら、お札を包みます。香典に使用するお札や袋への入れ方にも細かいマナーがあるため、準備を始める前に確認しておきましょう。ここでは、香典で包むお札の選び方と、袋に入れる際のポイントについて解説します。
香典では新札は使わないのがマナーとなっています。これは、通夜や葬儀に備えていたように見えるのは失礼である、という考えによるものです。
一方、法事は事前に日程が決まっているため、香典に新札を用いても問題ないと思う方もいるかもしれません。
しかし、弔事では新札は避けるべきという考え方も根強いため、新札は避けたほうが安心といえます。新札ではない、比較的きれいなお札を選ぶのがおすすめです。
袋にお札を入れる際は、向きを揃えるのがマナーです。また、不祝儀の場合は悲しみのため顔を伏せるという意味を込めて、お札の人物が描かれている面が袋の裏面を向くように入れます。
お札の枚数にも注意が必要です。「4」や「9」は忌み言葉といわれるため、枚数が4枚や9枚にならないようにします。さらに、偶数は望ましくないとされることがあるため、奇数になるよう用意しましょう。枚数だけでなく金額についても、「4」や「9」、偶数は避けるのがマナーです。
香典袋を持ち運ぶ際にも、袱紗(ふくさ)を使用するなどのマナーがあります。当日に恥ずかしい思いをしたり、失礼をしたりすることのないよう、正しい作法を知っておきましょう。
また、法事に参列できない場合、香典は郵送することも可能です。ここでは、香典の包み方や渡し方について解説します。
香典は、袱紗に包んで持参するのがマナーです。不祝儀では黒や紺、グレー、紫などの袱紗を使用しますが、ない場合は同様の色合いのハンカチなどで代用しても問題ありません。
袋を袱紗に包む場合は、まず袱紗がひし形になるよう広げます。そして、袋の表書きを上にして袱紗の中央に置き、右、下、上、左の順で角を畳みましょう。最後に、右端にはみ出た角を裏面に折り込みます。
袱紗から香典袋を出してお渡しする際は、相手が表書きを読めるようにして両手で袋を持ち、「仏前にお供えください」などと一言添えて渡しましょう。
法事に参加できない場合は、香典だけ贈ることも可能です。その場合は、ほかの人に代理で渡してもらうか、現金書留で郵送するとよいでしょう。なお、普通郵便や宅配便などでお金を送ることは法律で禁止されているため注意が必要です。
香典を現金書留で送る際にも、お金を直接封筒に入れるのではなく、香典袋に包みます。参列できないことへのお詫びとお悔やみを伝える手紙を同封すると、より丁寧な印象になるでしょう。
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香典については、知っておきたいさまざまなマナーがあります。香典を入れる袋についても、宗派や金額などを踏まえて選ばなくてはなりません。そのほか、表書きの書き方やお金の包み方、渡し方なども、ルールを踏まえて失礼のないように準備しましょう。
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